大地の子(4) の商品レビュー
【読書その111】大地の子の4冊目。これで完結。この巻でついに実の父と巡り会うが、過ぎ去った時間と境遇に悩む親子を描いている。中国残留邦人の家族との離別の悲惨な状況を描くだけではなく、それに日中共同の一大プロジェクトである製鉄所建設を入れ込み、主人公とその生き別れた父との家族関係...
【読書その111】大地の子の4冊目。これで完結。この巻でついに実の父と巡り会うが、過ぎ去った時間と境遇に悩む親子を描いている。中国残留邦人の家族との離別の悲惨な状況を描くだけではなく、それに日中共同の一大プロジェクトである製鉄所建設を入れ込み、主人公とその生き別れた父との家族関係を一層複雑なものとしている。現実の世界においても、この小説の範囲に止まることなく、残留邦人をめぐる様々な現実が繰り広げられたのだと思う。筆者である山崎氏は、この本の執筆に当たり、100冊以上の参考文献をこなし、3年間の現地取材を含め、中国人と日本人をあわせて千人以上もの人々に取材をし、8年がかりで世に出したという。この小説は、非常に読み応えのある素晴らしい小説だった。是非ともドラマ版も見てみたいと思った。
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陸一心を、松本所長を、日本人技術者をもういじめないであげてと思って しまうほど、容赦ない仕打ちが続く。けれど、すべて事実に基づいて書かれた話、 いや実際にはもっと凄惨で、もっとたくさんの苦労があったはず。 あとがき・解説から窺える作者の、本作を描き切ることへの執念、みんなに 知っ...
陸一心を、松本所長を、日本人技術者をもういじめないであげてと思って しまうほど、容赦ない仕打ちが続く。けれど、すべて事実に基づいて書かれた話、 いや実際にはもっと凄惨で、もっとたくさんの苦労があったはず。 あとがき・解説から窺える作者の、本作を描き切ることへの執念、みんなに 知ってほしいという執念、その迫力を感じた。 結末はさておき、最後の峡谷を抜ける描写が、陸一心のこれまでの境遇と 重なって、印象的だった。本作の各所で描かれてきた過酷な天候に象徴される 中国の社会情勢、中国国民が心穏やかに暮らせる日は近いのか否か。
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日本敗戦で満州に取り残され、技術者として生きていく男の話。 日本に捨てられた彼が、戦後の中国でどう生き延びていくのかというなかなか考えさせられる本。 生き別れた妹との再会は涙出るものがあった。 最後のシーンも寂しいんだけど、なぜか清々しくなる良作。 戦後中国が舞台でこれだけ...
日本敗戦で満州に取り残され、技術者として生きていく男の話。 日本に捨てられた彼が、戦後の中国でどう生き延びていくのかというなかなか考えさせられる本。 生き別れた妹との再会は涙出るものがあった。 最後のシーンも寂しいんだけど、なぜか清々しくなる良作。 戦後中国が舞台でこれだけの話を書けるのは、山崎豊子以外にいないんじゃないかな。
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ラストシーンは、何度読んでも、感動の場面!自分自身の運命に対する呼びかけである。と作家が書いている。「私はこの大地の子です。」涙なくして、読み終わることが無い。家族とは?故郷とは?自分が生きて行くときに大切にしてきたものとは?そして大切に育んでくれた人々。色々なことを考えずにはいられなかった。
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人の残酷さ、慈悲深さを感じる作品。また、日本の戦争中の行い。それに対する中国の日本人差別の根深さ。中国と言う国について、垣間見るという貴重な体験ができた。 作者の取材にかける労力にただただ脱帽。
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奇しくも終戦記念日に読了した。 ようやく、親子が巡り会えたのに、妹のアツコは死んでしまった。 でも、巡り会えた事はやはり何かの運命なのかしら。 一心の真面目さはとても凄いな。 出会いと別れ。ラストには鳥肌が立った。 大地の子。やっぱり、大地の子なんだね。 また、後書きに書かれている胡耀邦の言葉にも感動した。 "…中国を美しく書かなくて結構、中国の欠点も暗い影も書いてよろしい、それが真実であるならば、真実の中日友好になる" 本文を読んでいると、こんな言葉が中国側から聞けるなんてとても信じられない。 著者自身も記してあるけれど、この大作を書くにはそれはそれは想像を絶する労苦があったと思う。 きっと取材を続けて行く中で、一心の魅力にはまっていったに違いない。
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長かった。戦争に人生を左右され、必死に生きる人達の姿が感動的だった。 状況により恐ろしいほど残酷になれる人は怖い・・・
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おわった・・・ ひとこと感想:血vs絆、社会的地位vs家族愛を語るには、肉付けが薄すぎた気がする。 ノンフィクションっぽい。故に苦手。
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遂に読み終わりました。 開拓団として満州に参加した長野県のある一家、そして中国と日本という国家をめぐる壮大なストーリーです。 非常にリアリティがあり、かつあくまでドラマティックな文学に仕上げる作業が、この山崎豊子氏は抜群にうまいだろう。 これを読んで中国の全てを知ることはでき...
遂に読み終わりました。 開拓団として満州に参加した長野県のある一家、そして中国と日本という国家をめぐる壮大なストーリーです。 非常にリアリティがあり、かつあくまでドラマティックな文学に仕上げる作業が、この山崎豊子氏は抜群にうまいだろう。 これを読んで中国の全てを知ることはできないだろうが、この文革前後に生じたある種の陰の部分は非常によく描かれてるのではないだろうか。 読みごたえもあり、これは氏の著書の中でも今のところ一番心を動かされた作品である。
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