漱石の思い出 の商品レビュー
ひねくれ者の漱石先生…
ひねくれ者の漱石先生と、直球勝負の夫人・鏡子さんが、とことんぶつかり合ってすごした二十年を夫人自らが語ります。苦しい夫婦喧嘩の記述も多々ありますが、にもかかわらずこの本から溢れる、なみなみならぬ漱石への愛情はどうでしょう。解説は二人のお孫さん半藤末利子氏ですが、こちらも名エッセイ...
ひねくれ者の漱石先生と、直球勝負の夫人・鏡子さんが、とことんぶつかり合ってすごした二十年を夫人自らが語ります。苦しい夫婦喧嘩の記述も多々ありますが、にもかかわらずこの本から溢れる、なみなみならぬ漱石への愛情はどうでしょう。解説は二人のお孫さん半藤末利子氏ですが、こちらも名エッセイです。漱石ファンなら必読です。
文庫OFF
漱石夫人の語り口調だからこそ伝わってくるものがあって、雰囲気とか空気というか…それはよかった。たまに一文が長くて読みにくいところもあったけど楽しく読めた。解剖のところは仮名がカタカナだから頑張った〜。 夏目漱石は小さいころ大変だったのだな…かわいそうだよ。その後の神経衰弱もつらか...
漱石夫人の語り口調だからこそ伝わってくるものがあって、雰囲気とか空気というか…それはよかった。たまに一文が長くて読みにくいところもあったけど楽しく読めた。解剖のところは仮名がカタカナだから頑張った〜。 夏目漱石は小さいころ大変だったのだな…かわいそうだよ。その後の神経衰弱もつらかったでしょう。ご家族もどんなにか苦労しただろうと思うと…でも『坊っちゃん』とかおもしろい作品も書いちゃう漱石、大物だったのだろうな…漱石の千円札、一枚だけ手元にある。気の済むまで使わないつもり。
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※このレビューにはネタバレを含みます
妻・夏目鏡子から見た、夫・夏目漱石 夏目漱石に親しみを感じる、読み終えるのが寂しい また、読み返す一冊になると思う 今の世ですとかなり困った夫なのですが、明治の女は情が深く強かった 漱石先生、鏡子さんに甘えとる まあ、かなり鏡子さんに甘い夫でもあったようですが 10歳年下やしな お二人がご夫婦で良かった 奥さん凄いしっかりしてはる いろんなエピソードを読んでから、改めて作品を読み直したく思った 次男・伸六さんの後書きを読むと、漱石先生の行状が怖すぎる… よく見捨てられなかったな… また、“死”が現代より身近であった時代の死生観も考えさせられる ※「文豪」という言葉、「夏目漱石氏剖検(標本供覧)」長与又郎博士述 大正五年十二月十六日講演でも出てきている 「新小説」臨時増刊「文豪夏目漱石」は、大正六年一月二日発売 ※“文豪”という言葉の初出を調べてみる
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漱石の婦人が語り、娘婿が筆録した本。 BOOKOFFで購入。 漱石は「吾輩は猫である」以外はだいたい読んだから、裏話を知りたくて読んだ。夫人の目から見た漱石、「狂せり」と言われたロンドン留学の話、父親としての顔など、面白く読んだ。 私は1冊気にいると同じ著者のものをひと通り読む癖...
漱石の婦人が語り、娘婿が筆録した本。 BOOKOFFで購入。 漱石は「吾輩は猫である」以外はだいたい読んだから、裏話を知りたくて読んだ。夫人の目から見た漱石、「狂せり」と言われたロンドン留学の話、父親としての顔など、面白く読んだ。 私は1冊気にいると同じ著者のものをひと通り読む癖があるので、自然と著者の人となりも知りたくなる。 いい買い物をした。
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てっきり文豪漱石さんの奥さんは、悪妻とは言わねど、 恐妻か、嬢様奥様ではないかと、なんとなく思っていましたよ。 それは漱石さんの作品に影響されたところがあります。 登場する女性が気が強そうなお嬢様、伝法なひとっぽい女性、 あるいは静かだが芯が強くて分かりにくいひとが跋扈する...
てっきり文豪漱石さんの奥さんは、悪妻とは言わねど、 恐妻か、嬢様奥様ではないかと、なんとなく思っていましたよ。 それは漱石さんの作品に影響されたところがあります。 登場する女性が気が強そうなお嬢様、伝法なひとっぽい女性、 あるいは静かだが芯が強くて分かりにくいひとが跋扈するのですから。 漱石さんの奥様鏡子さんに漱石生前の出来事を思い出して話をしてもらい、 娘婿の作家松岡譲さんが書き留め文章に起こしたものなのです。 その話っぷりがあけすけでおもしろく、夫人の人柄がよく出ています。 そう、古き良き東京人ぽい、ちょっと伝法な雰囲気があります。 でも、なかなか開けている奥様でもありまして、 その住んでいらした本郷や早稲田近辺しか知らないひとでもなかったのです。 (東京人はほんとによそを知らない人が多いんですよ) 漱石さんが神経を病んでいるときにはパワハラあり「別れる」と言われ続け、 失敗すればしたで「オタンチンノパレオラガス」といろいろからかわれても、 添い遂げました。 話っぷりからすると愛情の深い、明るい何事にもめげない性格 それでなければ、あの胃弱で神経衰弱で気難しい作家についてられませんわね。 そして、家計経営でも貧乏は貧乏なりに、潤沢になってくれば、 ちゃんと采配する、しっかり者でもありました。 この本の初版は昭和3年、漱石13回忌のころという古さなのに、 作品はすべてのように親しんでも、わたし知らなかった本です(恥 漱石さんの作品の成り立ちも分かり、作品がなおなお、おもしろくなる読み物です。
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『漱石日記』といっしょに読んだ本。 →https://ameblo.jp/sunnyday-tomorrow/entry-12204109053.html
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1928年(昭和3年)80年前の夏目漱石夫人による回想録 作家夏目漱石個人の伝よりも 明治を生きた女性が夫を観察した記録として抜群に面白い 著名な業績を残したひとを対象にしているとはいえ これだけ夫について語ることがありできる女性が もちろん妻に対して夫がでも 過去も80年後の今...
1928年(昭和3年)80年前の夏目漱石夫人による回想録 作家夏目漱石個人の伝よりも 明治を生きた女性が夫を観察した記録として抜群に面白い 著名な業績を残したひとを対象にしているとはいえ これだけ夫について語ることがありできる女性が もちろん妻に対して夫がでも 過去も80年後の今もどれだけいるだろうか それだけでも充分に素晴らしい ついでに面白い記述があったので引用 「俺は昨日また野間と二人で神田の方を歩いて、飯時になったから牛肉屋に入ると、隣の客が噂しあってるのが、おれの知ってるやつの話だ。きいているといかにもウンデレでね」 と夏目(引用注:鏡子夫人からみた漱石のこと)が話します。そこで寺田さん(注:漱石の友人で様々な作品で好意的に描かれている物理学者、寺田寅彦のこと)が、「人間ウンデレに限りますよ。何でも細君のいうことをウンウンと聞いてやって、そうしてデレデレしていればこれに越したことはないじゃありませんか。ウンデレでなけりゃ夫婦喧嘩の絶え間がないわけでしょう」 で、夏目もそれはそうだなといったぐあいにいやいや賛成しているといったものでした。 (P164より) 「何々デレ」ということばは100年前からあったのか
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漱石婦人の回顧録。 長い。 しかし非常に興味深かった。 漱石のことのみならず当時の町のようす、矢来、馬場下町、夏目坂など今すぐいってみたくなる。 作品に出てくる作品も読んでみたくなる。 時間ないのに興味がすごい広がる。
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初読の時と違い、続けざまに『道草』まで漱石を読んでから再読すると、妻・鏡子が述懐する漱石との生活がより深く味わえる。英国留学を契機に発症した神経衰弱は、漱石にとっても辛かっただろうが、鏡子にとっても大変だったろう。今なら離婚をしていてもおかしくない。明治という時代と鏡子の人柄が漱...
初読の時と違い、続けざまに『道草』まで漱石を読んでから再読すると、妻・鏡子が述懐する漱石との生活がより深く味わえる。英国留学を契機に発症した神経衰弱は、漱石にとっても辛かっただろうが、鏡子にとっても大変だったろう。今なら離婚をしていてもおかしくない。明治という時代と鏡子の人柄が漱石と添い遂げる結果になったろうと思う。漱石臨終の場面では涙があふれそうになった。
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漱石の妻鏡子の思い出語りを、娘婿にあたる松岡譲が記した書。 一般に、写真の影響もあってか神経衰弱を患った気難しい文豪(一面、落語や洒落を好む)というイメージが強い漱石だが、本書では一番身近にあった鏡子の目を通し、むしろ愛嬌とユーモアを持ち合わせた愛すべき人物として描かれている。 ...
漱石の妻鏡子の思い出語りを、娘婿にあたる松岡譲が記した書。 一般に、写真の影響もあってか神経衰弱を患った気難しい文豪(一面、落語や洒落を好む)というイメージが強い漱石だが、本書では一番身近にあった鏡子の目を通し、むしろ愛嬌とユーモアを持ち合わせた愛すべき人物として描かれている。 夫婦の会話も多かったように思うし、この時代には珍しく折ふし妻の意見を取り入れているあたり、意外なくらい人当たりの柔らかい人物だったようだ。 (もちろん、神経衰弱の症状の出ているときは壮絶。) 学生時代に一通り読んだ漱石の作品も半ば忘れかけてしまっているので、これを機にまた読み返したい。
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