漱石の思い出 の商品レビュー
生前から大きな評価を受けていた夫を支えながら、それに屈することなくちゃんと自分を貫いて生きてこられたということに、したたかさとつよさを感じました。明治から大正、そして戦前の女性の芯は、とても勁いと思います。
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荷風はこの本が出たのを聞いて怒ったと『斷膓亭日乘』に記しているが、後世の凡人たる我々にしてみれば、じつに面白い。 鏡子夫人はしばしば悪妻の代表みたいにいわれるが、それは誤解であろう。それどころか、漱石は病気だと掛かりつけの医師から聞くと、病気なら私が直してやると意を決して、以...
荷風はこの本が出たのを聞いて怒ったと『斷膓亭日乘』に記しているが、後世の凡人たる我々にしてみれば、じつに面白い。 鏡子夫人はしばしば悪妻の代表みたいにいわれるが、それは誤解であろう。それどころか、漱石は病気だと掛かりつけの医師から聞くと、病気なら私が直してやると意を決して、以後ひるむことなく立ち向かったところなど立派というしかない。若い頃はともかくも、漱石と暮らすうちに随分と成長した人なのだと思う。この成長という点が森鷗外の後妻と決定的に違うところである。
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漱石の、『道草』や『思い出すことなど』とあわせて読むと、漱石と鏡子の物の見方考え方の違いが分かっておもしろい。 一概には言えないけど、これが男女の思考の差なのかな、と。 世間では、鏡子と漱石の夫婦関係について、どちらかを悪者にするような考察も多々あるが、このふたりの在り方は理...
漱石の、『道草』や『思い出すことなど』とあわせて読むと、漱石と鏡子の物の見方考え方の違いが分かっておもしろい。 一概には言えないけど、これが男女の思考の差なのかな、と。 世間では、鏡子と漱石の夫婦関係について、どちらかを悪者にするような考察も多々あるが、このふたりの在り方は理論で片づけられるものじゃないというのが本当だろう。 漱石の人間らしい部分を覗くことができる一冊。 ほのぼのしたところもあっておもしろい。
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情報科教員MTのBlog(『漱石の想い出』を読了!!) https://willpwr.blog.jp/archives/50758178.html
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強烈な個性の漱石と渡りあう鏡子夫人の生き方が印象的だ。漱石の家族への暴力(DV)に対して、「病気なら仕方がない。離婚せずにつきあっていこう」と覚悟を決めてからの距離の取り方が見事だ。 『行人』執筆時の神経衰弱ぶりは実際にひどかったらしい。作中でも一郎が妻について「一度打っても...
強烈な個性の漱石と渡りあう鏡子夫人の生き方が印象的だ。漱石の家族への暴力(DV)に対して、「病気なら仕方がない。離婚せずにつきあっていこう」と覚悟を決めてからの距離の取り方が見事だ。 『行人』執筆時の神経衰弱ぶりは実際にひどかったらしい。作中でも一郎が妻について「一度打っても落ち着いている。二度打っても落ち着いている。三度目には抵抗するだろうと思ったが、矢っ張り逆らわない。僕が打てば打つほど向はレデーらしくなる。そのために僕は益無頼漢扱いにされなくては済まなくなる」と書いている。夫人の対応の仕方はおそらくこの通りだったろう。 漱石を崇拝してやまない門下生の夫婦への干渉は目に余る。とはいえ没後10年が経っての思い出語りのせいか、誰を特に悪く言うでもないところがあっぱれだ。こういう夫人のさっぱりした気性を漱石も愛したのだろう。 悪妻と言われた母を弁護する夏目伸六のあとがきも印象深かった。伝説の中で偉人化される漱石の、欠点も含めた等身大の姿を後世に残した娘婿松岡譲の労作だと思う。 作成日時 2008年02月23日 10:59
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夏目漱石の生涯の伴侶であった、鏡子夫人の口述によるもの。定かではありませんが、故久世光彦氏の晩年の作品に、モッくんと宮沢りえで漱石と鏡子を扱ったものがある筈ですが、これが原作だったのではないでしょうか。 副読本のカテゴリーに入れましたが、これ一つの作品としてもとても優れたものです...
夏目漱石の生涯の伴侶であった、鏡子夫人の口述によるもの。定かではありませんが、故久世光彦氏の晩年の作品に、モッくんと宮沢りえで漱石と鏡子を扱ったものがある筈ですが、これが原作だったのではないでしょうか。 副読本のカテゴリーに入れましたが、これ一つの作品としてもとても優れたものです。 ちょっと胸がきゅんとします。 この本を経て、漱石の、特に随筆などを読むと、かなり感想が変わるんじゃないかと思います。
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「漱石の片鱗がうかがわれる作品でした。旧1000円札のオジ様に漠然と抱いていたイメージが、ことごとく崩れて痛快にさえ思えました。」
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家族しか知らないような小話てんこ盛りで面白かった。門下生の"漱石先生"についての随筆も面白いけど、これは師弟関係ではなく奥さんの視点から書かれているのでなかなか興味深い。 なんかいろいろ言われたみたいだけど、奥さんも、いい!
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鏡子さん、真っ直ぐでいい性格だなあ。友達になりたいタイプ。こういうひとを選ぶ漱石のことも見直しちゃった。
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妻鏡子から見た漱石。純粋に漱石を尊敬していたい方は読まないほうがいいかも。だけど、漱石に少しでも興味を持った以上読むのが義務と思います。
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