群衆心理 の商品レビュー
一人では何もできない…
一人では何もできないくせに・・・と思うが、この心理はなるほどと思う。
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言い回しや実例が古いのできちんと読みこなすにはそれなりの時間がかかる。 だが、それだけの価値のある本。 例えば民衆が面倒だが全体の利益になる正しさよりも、間違っていてもわかりやすい権威に従うという現象。これは現在でも為政者が利用しているテクニックなので肌感覚でわかる。ただ何故そう...
言い回しや実例が古いのできちんと読みこなすにはそれなりの時間がかかる。 だが、それだけの価値のある本。 例えば民衆が面倒だが全体の利益になる正しさよりも、間違っていてもわかりやすい権威に従うという現象。これは現在でも為政者が利用しているテクニックなので肌感覚でわかる。ただ何故そういった現象が起こるのか、どうやって対処すべきかといったことについては流石に前世紀の研究結果なので物足りない。
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数ヶ月かけてやっと読んだ本。通勤や移動の電車の中で読み進めた。読み始めて、これは自力で読み終わるのは無理だと思い、まず100分で名著の本書を紹介しているテキストを読み、再び本書に戻ってきた。結局、本書の内容を理解したとは言い難いが、人間は集団になると恐ろしいということを覚えておけ...
数ヶ月かけてやっと読んだ本。通勤や移動の電車の中で読み進めた。読み始めて、これは自力で読み終わるのは無理だと思い、まず100分で名著の本書を紹介しているテキストを読み、再び本書に戻ってきた。結局、本書の内容を理解したとは言い難いが、人間は集団になると恐ろしいということを覚えておけば、まずはいいのかな。
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個人もしくは個人の活動による産物(=例えば組織)は、エントロピー増大分のいくらかを外付けに移転しようと試みるが、そのプロセスはゼロロスではなく、認知できないほどの小さな歪みが常に生じる。歪みが個体の制御下を大きく離れると、内部から崩壊をおこしリスタートというサイクル。 三人寄れ...
個人もしくは個人の活動による産物(=例えば組織)は、エントロピー増大分のいくらかを外付けに移転しようと試みるが、そのプロセスはゼロロスではなく、認知できないほどの小さな歪みが常に生じる。歪みが個体の制御下を大きく離れると、内部から崩壊をおこしリスタートというサイクル。 三人寄れば文殊の知恵というが、数百人集まったときに社会が求めるのは知恵ではなく推進力なんだろうなと思いました。
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マーケティングでよく言うのは「単純明快繰り返し」ですが、宣伝や販促の売り文句は誰でもわかる簡単な短い言葉でまとめ、いたるところで繰り返すのが肝要ということ。繰り返して言っていると、聞いている人は嘘でも段々と信じ始めるから、と…。 「指導者たちは主として次の三つの手段に頼る。すな...
マーケティングでよく言うのは「単純明快繰り返し」ですが、宣伝や販促の売り文句は誰でもわかる簡単な短い言葉でまとめ、いたるところで繰り返すのが肝要ということ。繰り返して言っていると、聞いている人は嘘でも段々と信じ始めるから、と…。 「指導者たちは主として次の三つの手段に頼る。すなわち、断言と反復と感染である」 嘘はいけないが、群衆を操作する指導者のテクニックである。 まずリーダーに大事なのは群衆の前での演説ですね。才智や学識は指導者にとって有害で、論理的な思考になってしまう人は歴史的なリーダーにはなりにくいとある。天下取った学者なんていませんからね。一般的に頭が良いと言われる論理的な人はリーダー向きではない。リーダーになる逸材は短くわかりやすい言葉で断言して繰り返せる人、そして何より必要なのは「威厳」なのだ。その人が話し始めると群衆は黙って聴き入ってしまうオーラみたいなもの。これは天性のものかもしれないが本物の威厳さえあれば天下が取れる。世界的宗教の創始者も天下を取った政治家も軍人もこれがあった。 「群集心理」。100年以上も前に書かれ、もはや学説としては古いものらしいが、ヒトラーをはじめ多くの政治的、宗教的、時代のリーダーがこれを読んで勉強したという社会心理学の先駆的名著。 しかし現実の群衆は無自覚に意見を変える。 「群衆にあっては、同感はただちに崇拝となり、反感は生まれるやいなや憎悪に変わる」 群衆は簡単に殉難者にもなり死刑執行人にもなる。そのうえ「群衆は思考力を持たないのと同様に持続的な意志をも持ち得ない」つまり、長続きしない。 怖いですねえ。持ち上げられて最後は殺される、裏切られる人多いですね。そして歴史はその人を英雄のように記録に残す。しかしそれも真実ではない。ストーリーが勝手に作られ、物語として語り継がれる。キリストもナポレオンもヒトラーも皆、最後はねえ。 極めつけは群衆が夢を持って革命的に社会を作り上げても意思が長続きしないので、一つの夢が効力を失うと衰えて死滅する、というのが民族の生活の周期的プロセスなのだそうです。人間の性なのでしょうか。切ないですね。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
人が集まりの賛同によって犯罪を犯した場合その犯罪は法律を凌駕する この文は、まとを得ている。昨今のSns時代においても叩かれている人叩くことを正義としているところと少し似ている所があるのかな これ以外にも群衆についての人の集まりの中心にある指導者について書かれていて興味ぶかかった
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2年前NHKの「100分de名著」で扱われていて、興味のあるテーマなので読んでみようと思った。結局番組は録画しただけで未だ見てない。単なる個人の意思の総和ではなくなって愚かで野蛮な振る舞いをするのは、どういった原因、素因があるのか、歴史上の事実を例としてたくさん紹介しながら説い...
2年前NHKの「100分de名著」で扱われていて、興味のあるテーマなので読んでみようと思った。結局番組は録画しただけで未だ見てない。単なる個人の意思の総和ではなくなって愚かで野蛮な振る舞いをするのは、どういった原因、素因があるのか、歴史上の事実を例としてたくさん紹介しながら説いたもの。刊行されたのは1895年のパリ、ということで確かに時代や文化的な背景が今の日本から遠くなる分、分かりにくいかも、という懸念はあったが、意外と読めた。 あとは面白かった部分のメモ。「群衆においては、どんな感情もどんな行為も観戦しやすい。個人が集団の利益のためには自身の利益をも実に無造作に犠牲にしてしまうほど、感染しやすい」(p.33)の部分。これからおれが死ぬまでの間におれも群衆の中に「分かりやすく」入ることってあるのだろうか、と思う。別の例として、遭難者がいるという暗示にかけられ、実際には木の枝だったという、戦艦の話(pp.40-50)、つまり「集団的錯覚のからくり」というのは今ではヒューマン・エラーの領域で扱われるのではないだろうか。「正確に物を見る働きが失われ、かつ現実の事象が、それと関係のない錯覚にとってかわられるためには、群衆は多人数であるを要しない。数人の個人が集れば、群衆を構成する。そして、その個人が優秀な学者である場合でも、その専門外の事柄になると、群衆のあらゆる性質をおびるのである。各自の有する観察力と批判精神とが消えうせてしまうのである。」(p.50)、「群衆は、熟考と推理の能力を欠いているために、真実らしくないことを弁別することができない」(p.82)、「集団の観察は、あらゆる観察のうちで最も誤っており、かつ多くは単に、感染によって、他の者に暗示を与えた一個人の錯覚にすぎない」(p.55)というということだ。これは今読んでいる別の本で、マレーシア航空の事故の目撃情報にも言えることだろうか(その話はその本のブクログで)。また、「群衆というものは、どこにおいても女性的なものである。しかし、あらゆる群衆のうちで最も女性的なのは、ラテン系の群衆である。」(p.44)だって。ジェンダーの時代にこんなこと言ったら大変なことになるけど、やっぱり他のところにも書いてあったが、民族性の素因は大きいらしい。アジアの群衆はどう分析されるのだろうか。「群衆は、ただ過激な感情にのみ動かされるのであるから、その心をとらえようとする弁士は、強い断定的な言葉を大いに用いねばならない。誇張し断言し反覆すること、そして推論によって何かを証明しようと決して試みないこと、これが、民衆の会合で弁士がよく用いる論法である。」(p.62)らしい。ヒトラーとか絶対この本読んでたよな、とか思った。「断言と反覆と感染」(p.160)を利用する、とか。あと「威厳」が必要。「威厳を具え、従って有無をいわせず強引に自分の意見を押しつけ得ることが、肝要である。」(p.229)ということだ。なんか世界征服の仕方、とか宗教の教祖のなり方、みたいな本を読んだことがあるけど、独裁者にどうやったらなれるのか、みたいな本が出来そう(もうあるのか?)。(選挙の)「候補者は、選挙人に途方もないお世辞を浴びせかけ、このうえもなく架空的な約束をもすることに躊躇してはならない。労働者たちの前では、その雇主をどんなに罵詈中傷しようともしすぎるということはない。」(p.230)、「道理も議論も、ある種の言葉やある種の標語に対しては抵抗することができないであろう。群衆の前で、心をこめてそれらを口にすると、たちまち、人々の面はうやうやしくなり、頭をたれる。」(p.131)の部分も。学級経営とかで標語とか作って連呼したら役に立つかなあ?なんて考えてみたり。道理が通じない、という例として挙げられているp.148の例は(面倒なので書けないけど)、要するにその場の群衆を鎮めるためには正攻法でやったらダメ、ということが分かりやすく示されていた。 あとはこれに関連して教育について言及されている部分も面白かった。「社会に対する最悪の敵である無政府主義者たちは、諸学校の優等生のうちから出る」(p.114)、「青年にとって、教育とは、暗誦と服従とを意味する」(p.115)、「判断力、経験、創意、気概などが、人生における成功の条件であって、教科書のなかで、それらを学ぶのではない」(p.119)ということだ。ちなみに今の日本は「主体的で協働的な深い学び」がモットーです、というのも、何か色々考えてしまう。 そして最後に、文明が衰えていく様子、が説明されている(pp.267-9)けど、遠い未来から振り返ると今の日本は文明の発達のどの段階にいるのだろうか、と思う。 ということで、結構読みやすい本だし、面白かった。(23/06)
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集団心理の状況を丁寧に考察してあり、時代背景は違っても、現代にも通じる精神心理がうまく描かれています。 指導者の行動手段は、「断言と反覆」そして感染が暗示を与える最上の手段とか書かれていたのは、とても納得できました。 「内容てはなく、言い切る力!」そして「繰り返し言い続ける力!」...
集団心理の状況を丁寧に考察してあり、時代背景は違っても、現代にも通じる精神心理がうまく描かれています。 指導者の行動手段は、「断言と反覆」そして感染が暗示を与える最上の手段とか書かれていたのは、とても納得できました。 「内容てはなく、言い切る力!」そして「繰り返し言い続ける力!」が暗示を与えるみたいです。。 良いか悪いかは別として、確かに当たっていると思います(笑) ぜひぜひ読んでみて下さい。
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100年という時代の違いを多少感じるが、野蛮で無自覚な群衆が社会の骨格を壊して行く、というところは、身に染みる。 2019年からの数年間のことが、そのまんま書かれている。 あの騒ぎがあったから、この本がとてもよく理解できる。 そうでなかったら、何をいっているのか、私にはちっともわ...
100年という時代の違いを多少感じるが、野蛮で無自覚な群衆が社会の骨格を壊して行く、というところは、身に染みる。 2019年からの数年間のことが、そのまんま書かれている。 あの騒ぎがあったから、この本がとてもよく理解できる。 そうでなかったら、何をいっているのか、私にはちっともわからなかったかもしれない。 しかし、ラテン民族と中国が嫌いな作者だな、と感じる。 偏見も入っている気がする。 確かに学校の、教科書と先生を盲信することを強制する教育は、愚かな群衆を作る基盤になっている、とは思う。 また、ネットやテレビが普及していない時代の話なので、近年政府が行った言論統制についての見解は完全に甘い。 群衆を煽る方法が随分変化し、現代では規模も大きく洗脳も深くなってしまったのではないか、と私は思った。 自由の拘束は文明の老朽・衰退の証拠であるということはなるほどと思った。 その通りだろう。 しかし、大陸とは違い、島国である日本の民族性は少し特殊なのかもしれない、とも思う。
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フランス革命により起きた大転換を中心に社会を動かす中心は何かを考察した古典的名著。 書かれたのは1895年と古いものではあるが、その内容は恐ろしくも現代にも当てはまる。 群衆とは、ただ人が集まったものでなく、ある指向された思想の元に集まり、個人個人の考えや思想とは別に群相ともい...
フランス革命により起きた大転換を中心に社会を動かす中心は何かを考察した古典的名著。 書かれたのは1895年と古いものではあるが、その内容は恐ろしくも現代にも当てはまる。 群衆とは、ただ人が集まったものでなく、ある指向された思想の元に集まり、個人個人の考えや思想とは別に群相ともいうべき思考様式が発現し、社会を変える程のうねりとなる事である。 その、不思議な特徴は群衆を構成するメンバーの知性や批判的精神は関係なく、人数すら関係ない。 2人以上の複数人がいれば群衆を形成しうる。 仮に個人個人は頭脳明晰で、合理的判断のもとに批判的思考に富んでいたとしても、群衆の一員となるとその理性は抑制され、無批判で感情に支配された時に自己犠牲的に、時に暴力的な集団の一員となる。 自分がある集団の一員でないとき、第三者視点から見ると、その集団の主張が支離滅裂で異常な人物の集まりに過ぎないと思ってしまうが、本論を鑑みると、誰でもなりうるというのが恐ろしい。 (確かに陰謀論やカルトには時たま非常な秀才が参加しているときもある。) この群集心理を理解すると、残念ながら現代においても重要な歴史的事件に群衆心理が生じている事が見受けられ、悲しくも本理論が正しかった部分があることを証明している。 それにしても、この群集心理をよく研究し、応用すればカルト教団を作れるほどだと感じたので、恐ろしい学問だと思う。 その餌食にならないためにも、こういう知識を知ることは重要であろう。
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