群衆心理 の商品レビュー
群衆の性質について史実の考察は、現代にも当てはまることから、人の本質的な性質なのだろうと思う。 著者の知識には本書で紹介されない膨大な事例があり、それらも踏まえた考察であろうと思うが、挙げられた例だけで納得してよいのかは疑問だった。
Posted by
「蟻は、ある一定数を超える集団になったとき、働かなくなる蟻が現れる」という話を思い出した。私はそれを、集団で争い事なく生きるための無意識的な心理、もしかすると本能的な反応とさえ解釈してきた。しかし社会心理学というものは、集団というものをそんな単純な理解で終わらせずに、集団がいかに...
「蟻は、ある一定数を超える集団になったとき、働かなくなる蟻が現れる」という話を思い出した。私はそれを、集団で争い事なく生きるための無意識的な心理、もしかすると本能的な反応とさえ解釈してきた。しかし社会心理学というものは、集団というものをそんな単純な理解で終わらせずに、集団がいかに本能的で感情的で偏狭な、暗示を受けやすく、論理が苦手でイメージで考えようとし、常套句のような単純化された標語に対して従順etcと、読みとっているらしい。そしてメディアや政治は、その心理を利用し扇動しているなんて。漏れなく自分がそんな群衆のいちピースになっているなんて。自分を小市民と自覚しなくはないが、やっぱり自分の頭でよく考えなくてはならないと、改めて思わせる学びの多い本であった。
Posted by
NHKの番組で紹介されていたので読んでみた。 群衆心理、そこには知識や正答などに基づくものではなく、断言や反復で人の心にするりと入り込んだ言葉で作用する。結局、人間一人一人は弱く、影響を受けやすく、そして集団になると個人の弱さは置き去りになって強くなる錯覚を起こすのかな。 ネット...
NHKの番組で紹介されていたので読んでみた。 群衆心理、そこには知識や正答などに基づくものではなく、断言や反復で人の心にするりと入り込んだ言葉で作用する。結局、人間一人一人は弱く、影響を受けやすく、そして集団になると個人の弱さは置き去りになって強くなる錯覚を起こすのかな。 ネットで正論を吐いて、いいねをもらって、個人では実際はとても犯せないような暴言で人を傷つけるような、そんな心理にならないように、現代にも通じる警鐘だと思った。
Posted by
哲学書にある難解な言い回しが少なく、現代にも通じる内容なので、頭に入ってきやすかったのもあるが、かなり読みやすく感じた。 改めて人間の本質は時を経てもあまり変化していないということなのだろう。 難解な議論や理屈はほぼ効果がなく、断言、反復などによる感情と心象を想起させ、揺さぶ...
哲学書にある難解な言い回しが少なく、現代にも通じる内容なので、頭に入ってきやすかったのもあるが、かなり読みやすく感じた。 改めて人間の本質は時を経てもあまり変化していないということなのだろう。 難解な議論や理屈はほぼ効果がなく、断言、反復などによる感情と心象を想起させ、揺さぶりをかけることによる感染が群衆を従わせる有効な手段となる。
Posted by
哲学書?の割には固くなくて読みやすかった。また、世界史の知識があったので筆者の挙げる例がわかりやすかった。結局、群衆は理論ではなく感情に左右され、そこには種族の特徴が大きく影響し、群衆を引っ張るには威厳が必要であるということが繰り返し述べられていたのでそれが結論なのだろうと思う。
Posted by
古典的名著。 穐山貞登氏の解説が現代視点でなるほどと思った。しかし100年も前の考察ながら人類としては大して進歩していないようで、考察はともかく内容は以前と変わらずと言ったところか?
Posted by
100分de名著の今月の本。読んでみたら、いろんな意味で面白かった!ヒトラーがこの本を読んでいたことも納得。現代の私が読むといやいや、偏見が過ぎると思う描写も多いけれど、それも含めてこの本が書かれた時代感。自分も群衆であることを自覚したい。それを知っているだけでも、同じ過ちを繰り...
100分de名著の今月の本。読んでみたら、いろんな意味で面白かった!ヒトラーがこの本を読んでいたことも納得。現代の私が読むといやいや、偏見が過ぎると思う描写も多いけれど、それも含めてこの本が書かれた時代感。自分も群衆であることを自覚したい。それを知っているだけでも、同じ過ちを繰り返さずに済むかもしれない。
Posted by
2021/09/23 かなり長く掛かったが1回目読了。 再び評価を上げて⭐️4つ。 全体的に考えさせられる内容で楽しめた。 一つ⭐️を下げているのが「民族性」「種族性」を前提としている内容が多いこと。 確かに国民性とか民族性とかというものはある。それが何に起因するのか常々疑問...
2021/09/23 かなり長く掛かったが1回目読了。 再び評価を上げて⭐️4つ。 全体的に考えさせられる内容で楽しめた。 一つ⭐️を下げているのが「民族性」「種族性」を前提としている内容が多いこと。 確かに国民性とか民族性とかというものはある。それが何に起因するのか常々疑問に思っていたところ。 それが後天的な環境だけに依るのでは無いと私も考えてはいたが… ル・ボン氏は 『発生学によって、生物の進化における過去の甚大な影響が証明されて以来…』(102ページ)とあっさりとこれを前提としている。 これってどういう理論なのか? 不明確なので⭐️マイナス。 もしかして…この本を読んでル・ボンさんを指導者とする「群衆心理」を信じる群衆になったかも笑 2021/09/12 まだ読んでいる最中だが… 三分の一ほど読み進んで違和感を感じる様になってきたので、 星⭐️5つから3つに変更。 これは社会学的に認められている書籍なのか。 この本は当時のフランス大衆を風刺した風刺小説なのでは。 NHKがスヴェトラーノフさんの「戦争は女の顔をしていない」に続けてこの本を選んだのには理由があるをじゃないかとか勘繰ってしまう笑 インターネット。特にSNSが普及する以前は大衆の意見形成に大きく寄与していたNHK。批判的になりたくなる? 2021/08/26 まだ読み始めたばかりだが… 本書の構成を見ていると、現代社会への痛烈な批判とも読める。 だからこそ『100分de名著』の対象に選ばれたのだろう。 「群衆の心理」を「SNSや記事へのコメント、いいね等をする不特定多数のお互いに関わり合いの無い人々の心理」と読むと、その性向を表す様々な分析は手厳しい程に当たっている。 その善し悪しを言う訳では無いが、自分がその渦中にいて、その心理に囚われている可能性がある事を認識する必要がありそうだ。 9月の放送が今から楽しみ。 また読みながら、放送を観ながら様々と考えてみたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
近くの書店の店頭で平積みにされていて、何気に購入したものですが、最近読んだなかでは白眉の内容です。 集団における人間の性質や指導者の関わりなど、類書では「自由からの逃走」「大衆の反逆」「自発的隷従論」などがあると思いますが、冷徹な洞察という点で、この「群集心理」も勝るとも劣らないと思います。断片的ですが、曰く、 ・群衆は力を尊重して、善良さには心を動かされない。 ・群衆は、弱い権力には常に反抗しようとしているが、強い権力の前では卑屈に屈服する。 ・動物の群にせよ、人間の群にせよ、ある数の生物が集合させらるやいなや、それらは、本能的に、首領、すなわち指導者の権力に服従する。 ・群衆の精神を常に支配しているのは、自由への要求ではなくて、服従への要求である。 ・群衆の精神に、思想や信念-例えば、近代の社会理論のような-を沁みこませる場合、指導者たちの用いる方法は、種々様々である。指導者たちは、主として、次の三つの手段にたよる。すなわち、断言と反覆と感染である。(中略)断言と反覆に対抗できるほどの強力なものは、これまた断言と反覆あるのみである。 ・新聞雑誌は、単なる報道機関に化して、どんな思想もどんな主義も強制しなくなり、ただ世論のあらゆる変化に追随する。 ・およそ指導者が、世論に先んずることはまれであって、多くの場合、世論の誤謬をそのまま受けいれるだけにとどまるのだ。 ・指導者が、往々、才智や学識を具えていることもある。しかし、これは、たいていの場合、指導者にとって有利であるよりも、むしろ有害となる。 欧州の事象、とくにフランス革命を軸に考察されているようで、日本にそのまま当てはまるかは多少割り引いて考える必要がありますが、それでも、久々に開眼させられた一冊です。
Posted by
難しいなと思って読んでいたら100年以上も前の本だった。通りで…。 フランスの歴史(特にフランス革命あたり)を知っていた方がわかりやすいかも。 内容はなんとなくわかって面白いところもあった。 トンチンカンな意見でも威厳のある指導者が豪語すれば、群衆は信じてしまうのかと考えると恐...
難しいなと思って読んでいたら100年以上も前の本だった。通りで…。 フランスの歴史(特にフランス革命あたり)を知っていた方がわかりやすいかも。 内容はなんとなくわかって面白いところもあった。 トンチンカンな意見でも威厳のある指導者が豪語すれば、群衆は信じてしまうのかと考えると恐ろしいが過去がそれを物語っている。 自分も群衆の1人になると知能が低下し、付和雷同してしまうのだろう。そうならないようにしなくては。 組織のリーダーになる人にはおすすめかもしれない
Posted by