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群衆心理 の商品レビュー

3.8

57件のお客様レビュー

  1. 5つ

    11

  2. 4つ

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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2023/06/10

100年という時代の違いを多少感じるが、野蛮で無自覚な群衆が社会の骨格を壊して行く、というところは、身に染みる。 2019年からの数年間のことが、そのまんま書かれている。 あの騒ぎがあったから、この本がとてもよく理解できる。 そうでなかったら、何をいっているのか、私にはちっともわ...

100年という時代の違いを多少感じるが、野蛮で無自覚な群衆が社会の骨格を壊して行く、というところは、身に染みる。 2019年からの数年間のことが、そのまんま書かれている。 あの騒ぎがあったから、この本がとてもよく理解できる。 そうでなかったら、何をいっているのか、私にはちっともわからなかったかもしれない。 しかし、ラテン民族と中国が嫌いな作者だな、と感じる。 偏見も入っている気がする。 確かに学校の、教科書と先生を盲信することを強制する教育は、愚かな群衆を作る基盤になっている、とは思う。 また、ネットやテレビが普及していない時代の話なので、近年政府が行った言論統制についての見解は完全に甘い。 群衆を煽る方法が随分変化し、現代では規模も大きく洗脳も深くなってしまったのではないか、と私は思った。 自由の拘束は文明の老朽・衰退の証拠であるということはなるほどと思った。 その通りだろう。 しかし、大陸とは違い、島国である日本の民族性は少し特殊なのかもしれない、とも思う。

Posted byブクログ

2023/01/22

フランス革命により起きた大転換を中心に社会を動かす中心は何かを考察した古典的名著。 書かれたのは1895年と古いものではあるが、その内容は恐ろしくも現代にも当てはまる。 群衆とは、ただ人が集まったものでなく、ある指向された思想の元に集まり、個人個人の考えや思想とは別に群相ともい...

フランス革命により起きた大転換を中心に社会を動かす中心は何かを考察した古典的名著。 書かれたのは1895年と古いものではあるが、その内容は恐ろしくも現代にも当てはまる。 群衆とは、ただ人が集まったものでなく、ある指向された思想の元に集まり、個人個人の考えや思想とは別に群相ともいうべき思考様式が発現し、社会を変える程のうねりとなる事である。 その、不思議な特徴は群衆を構成するメンバーの知性や批判的精神は関係なく、人数すら関係ない。 2人以上の複数人がいれば群衆を形成しうる。 仮に個人個人は頭脳明晰で、合理的判断のもとに批判的思考に富んでいたとしても、群衆の一員となるとその理性は抑制され、無批判で感情に支配された時に自己犠牲的に、時に暴力的な集団の一員となる。 自分がある集団の一員でないとき、第三者視点から見ると、その集団の主張が支離滅裂で異常な人物の集まりに過ぎないと思ってしまうが、本論を鑑みると、誰でもなりうるというのが恐ろしい。 (確かに陰謀論やカルトには時たま非常な秀才が参加しているときもある。) この群集心理を理解すると、残念ながら現代においても重要な歴史的事件に群衆心理が生じている事が見受けられ、悲しくも本理論が正しかった部分があることを証明している。 それにしても、この群集心理をよく研究し、応用すればカルト教団を作れるほどだと感じたので、恐ろしい学問だと思う。 その餌食にならないためにも、こういう知識を知ることは重要であろう。

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2022/12/29

100分de名著  講談社学術文庫 ルボン 「群衆心理」 群衆心理を研究した本。読むのは 二度目だが、読むたびに凄さと怖さを感じる 群衆の中に入った個人は、集団の中の暗示や感染を通して、感情や観念が同一化していき、一つの有機体としての群衆が出来上がるという論調 群衆の中...

100分de名著  講談社学術文庫 ルボン 「群衆心理」 群衆心理を研究した本。読むのは 二度目だが、読むたびに凄さと怖さを感じる 群衆の中に入った個人は、集団の中の暗示や感染を通して、感情や観念が同一化していき、一つの有機体としての群衆が出来上がるという論調 群衆の中に入った各個人の感情でなく、群衆に下記の特徴的な感情が現れる *動揺しやすく、昂奮しやすい *暗示を受けやすく、信じやすい *誇張的で単純 *偏狭、横暴、保守的傾向 群衆の指導者の説得手段「断言、反復、感染」は 政治外交、企業活動など様々なシーンで用いられているように思う 群衆を「衰弱した肉体や死骸の分解を早めるバイ菌」と読んだり、群衆中の個人を「一箇の自動人形」としたり、かなり厳しめ 「判断力、経験、創意、気概などが、人生における成功の条件であって、教科書のなかで それらを学ぶのではない」

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2022/12/25

読みながら最近の事件を思い起こすことがめちゃくちゃ多かった。自らも群衆になり得るということに自覚的でありたいと思った。SNSの発達でより群衆化しやすい社会になっているとも思う。群衆を動かす方法も書いてあるのでマーケティングやらマネジメントやらにもちゃんと使えそう。 断言と反覆と...

読みながら最近の事件を思い起こすことがめちゃくちゃ多かった。自らも群衆になり得るということに自覚的でありたいと思った。SNSの発達でより群衆化しやすい社会になっているとも思う。群衆を動かす方法も書いてあるのでマーケティングやらマネジメントやらにもちゃんと使えそう。 断言と反覆と感染 178 論議の的にされる威厳は、もはや威厳とはいえない。久しいあいだ威厳を保つことができた神々や人々は、決して論議をゆるさなかった。群衆から称賛されるには、常に群衆をそばに近づけてはならない。 264 諸民族が束縛に甘んずれば、悪い結果を生ぜずにはいない。諸民族は、あらゆる束縛に堪えることに慣れて、やがて自ら束縛を求め、自発性や気力をことごとく失うにいたる。それは、もはや空虚な影法師、意志も抵抗力も力強さもない、受動的な自動人形にすぎなくなる。

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2022/12/17

人々に同じ意見をもって、それに合意して動いてもらわないと組織は力を発揮できない インパクトがあり、わかりやすいメッセージでないと多くの人は受け入れないし、耳を貸さない ややこしくわかりにくいことは、聞き手でなく話し手の問題とされがちで、結果として「聞き手が聞きたいこと(幻想)...

人々に同じ意見をもって、それに合意して動いてもらわないと組織は力を発揮できない インパクトがあり、わかりやすいメッセージでないと多くの人は受け入れないし、耳を貸さない ややこしくわかりにくいことは、聞き手でなく話し手の問題とされがちで、結果として「聞き手が聞きたいこと(幻想)」を話す人が、組織で力をもつようになる パーパスやビジョンを言葉にすることの力強さもある反面、メンバーもわかったような気になり、立ち止まって考えることをしなくなる怖さがある 思考の体力と忍耐力を鍛えるにはどうしたらいいのか、が気になってきました

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2022/11/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

Eテレ「100分de名著」を入口に、そのテキストと「まんが学術文庫」と進めて、ようやく原著を読了。 1895年の出版なんだけど、現代に十分に当てはまる指摘も多くあり、「恐っ」と口に出したか出さないか。でも確かにゾワゾワしながら読んだ。

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2022/11/08

【25年ぶりに再読したのでこちらにも記しておきます】 大学生の時に読んで以来の再読。実に四半世紀ぶりになったわけですが、まったく色褪せていないと感じて感動しました。従来の⭐️4を⭐️5に変更します。 群衆がいかに烏合の衆になるのか?社会にどのような影響を及ぼすのか?民主主義にお...

【25年ぶりに再読したのでこちらにも記しておきます】 大学生の時に読んで以来の再読。実に四半世紀ぶりになったわけですが、まったく色褪せていないと感じて感動しました。従来の⭐️4を⭐️5に変更します。 群衆がいかに烏合の衆になるのか?社会にどのような影響を及ぼすのか?民主主義における群衆とは?章立てもわかりやすく、国民性や国柄、指導者とは、など興味があるテーマを深掘りできます。 再読したきっかけは、イーロン・マスクによるツイッターTwitter買収。リバタリアンとされるマスクが監視体制を弱めて「自由な言論」重視の傾向を強めていくとなると、現代における群衆がいよいよ解き放たれてくるのかもしれない。いろんな示唆があり、とてもよい。NHKの「100分で名著」でも再放送しているが時宜を得たものだと考えます。 なお現代では異なるなと感じた点を少しだけ。 ル・ボンはフランス、ラテン系の種族性を情動的かつ中央集権思考などとやや否定的に、イギリスなどアングロサクソンを理知的で自由に重きを置くと肯定的に描いています。しかしブレグジットの国民投票からトラス首相の辞任に至るまでを見るにつけ、イギリスも前者の種族性に近づいた、いやむしろ中核に入っているのではないかと感じました。 再読了日:2022年11月6日 前のアイテム

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2022/05/28

群衆心理 19世末にフランスの心理学者ギュスターヴ・ル・ボン氏が、心理学者の視点で群衆の心理を考察した著書です。 群衆の中で生じる心理、群衆を操る方法などが論じられ、ヒトラーの愛読書でもあったという逸話もある名著です。 【本書で学べること・考えること】 - 心理学的な群衆の定...

群衆心理 19世末にフランスの心理学者ギュスターヴ・ル・ボン氏が、心理学者の視点で群衆の心理を考察した著書です。 群衆の中で生じる心理、群衆を操る方法などが論じられ、ヒトラーの愛読書でもあったという逸話もある名著です。 【本書で学べること・考えること】 - 心理学的な群衆の定義 - 群衆心理の特徴  1. 衝動的で動揺しやすく昂奮しやすい  2. 暗示を受けやすく、物事を軽々しく信ずる  3. 感情が誇張的で、単純であること  4. 偏狭さと横暴さと保守的傾向(単純かつ極端な感情)  5. 徳性(自己放棄、献身、無私無欲、自己犠牲、公正への要求 - 群衆の説得方法  1. 断言(推理や論証をまぬかれた無条件的断言、簡潔)  2. 反復(繰り返さないと定着しない)  3. 感染(閾値を超えると一気に広がる)  4. その他  - 誇張し断言し反復する  - 推理によって何かを説明しようと試みないこと  - 特殊な場合を直ちに一般化する  - 幻想を与える術を心得ている → 支配者  - 幻想を打破 → 群衆のいけにえ  - 感情に訴える、理性に訴えない 読んでみての感想です。 19世紀末に書かれた本ですが、自分の身近にも近しい事例が多くあり、人間は変わっていないんだというのが感想です。 実例としては、政治家やユーチューバーなどで大きな支持を集める人は、群衆をうまくコントロールする術を知っているなと感じます。 最近流行のTikTokなどで流行ったものが、若者に絶大な支持を得るのもわかります。 単純で短いフレーズで断言、反復、感染・・・ 影響力のあるツールですね。 この本を読む価値としては、群衆心理を知ることで、自分が常に一歩引いて俯瞰する大事さを知ることにあると思います。 また、理論的反論は無意味なことも学びになります。

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2022/03/10

具体的にフランス革命時の例をとって、群衆(ここでは目的意識や地位などがバラバラな人たちがひと所に集まった状態)になった時にどのように行動するのか、そしてそれはどのような意識に基づいて行われるのかを説明する。 なるほどなあ、確かになぁ、今でもそうだなぁ、と思う。烏合の衆となった時、...

具体的にフランス革命時の例をとって、群衆(ここでは目的意識や地位などがバラバラな人たちがひと所に集まった状態)になった時にどのように行動するのか、そしてそれはどのような意識に基づいて行われるのかを説明する。 なるほどなあ、確かになぁ、今でもそうだなぁ、と思う。烏合の衆となった時、我々は平易に動かされてしまう恐れがあることを肝に銘じて、今の社会をおそるおそる生きていく必要があるのではないかと思う。

Posted byブクログ

2022/01/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

例えば、大地震などの大災害や戦時下の空襲された都市圏で起こるパニックの中で悪がどのように解き放たれていくか? パニック下の人々の群集心理を説く本書を、ヒトラーもムッソリーニもスターリン、チャーチル、ルーズベルトも熟読して群集心理の抑制と誘発について考察したらしい(「希望の歴史 上巻序文」より)。

Posted byブクログ