日本の近代建築(下 大正・昭和篇) の商品レビュー
先月読んだ上巻に続き下巻も読みました。大正時代にもなると西洋の建築理論が整理されて日本人に入っているので用語なども聞いたことのあるものが中心となります。とはいえ、個々の洋風建築にどの国の影響かの違いがこんなにあることに気づいてなかったので今後古い建築物を見るときの目が変わりそうで...
先月読んだ上巻に続き下巻も読みました。大正時代にもなると西洋の建築理論が整理されて日本人に入っているので用語なども聞いたことのあるものが中心となります。とはいえ、個々の洋風建築にどの国の影響かの違いがこんなにあることに気づいてなかったので今後古い建築物を見るときの目が変わりそうです。 あとこれは出版から30年近く経っているから言えることですが、ぜひ戦後編も出してください藤森先生。
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日本が明治時代を通して学んだ西洋の建築、いわゆる近代建築が時代の雰囲気によって大きな転換期を迎えた大正から、昭和の初期モダニズムの時代までを詳細に綴った本。 それぞれの時代背景によって大きく影響された日本の近代建築が変化していく様子を丁寧に解説していてとても勉強になる。 有名な建...
日本が明治時代を通して学んだ西洋の建築、いわゆる近代建築が時代の雰囲気によって大きな転換期を迎えた大正から、昭和の初期モダニズムの時代までを詳細に綴った本。 それぞれの時代背景によって大きく影響された日本の近代建築が変化していく様子を丁寧に解説していてとても勉強になる。 有名な建築家や目にすることのできる建築物も幅広く対象にして書かれているので、上巻(幕末・明治篇)よりも理解しやすい。 上巻と合わせて読むことにより、日本の近代建築史の流れを概観できる良著。
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※このレビューにはネタバレを含みます
日本の大正、昭和、第二次世界大戦までの建築の歴史を建築物と建築家、芸術運動と絡めて概説する。 アール・デコ、アール・ヌーボー、セセッション、モダンデザインの表現派、ライト派、バウハウス、オランダのモンドリアンのディ・スティル派からのコル・ビジュエ派など。 19世紀の産業化・近代化の台頭に伴い歴史・伝統主義が薄れ、様々な異国様式を導入したあと芸術は内省化し、植物→鉱物学→幾何学→数式の流れるモダニズムが新時代の表現として隆盛を極めるのであった。 興味深かったのは、鉄骨やコンクリートといった新しい素材をどのように活用するか19世紀の建築家たちが試行錯誤を重ねたこと。日本では耐震構造の問題からアメリカの鉄骨様式(関東大震災で壊れた)ではなく鉄筋コンクリートを使った独自の耐震技術が開発されたこと。 横河電機の創業者が横河民輔という建築家であったこと。 日本の都市計画が大蔵省の反対からなかなか資金的援助を受けられず、大正時代に用途地域制、建ぺい率などの建築制限、耐震制限、防火制限に行き着いたこと。 個人宅やプロジェクトなど散発的な場所が建築家の表現活動場所であったこと。 スラム問題から集合住宅の整備が行われ、イギリスではハワードのガーデン・シティ、ドイツのジードルングが日本独自の形で取り入れられ渋沢栄一の田園都市の開発や、同潤会が公営住宅を提供したことなど。 とても内容の濃い書籍だった。
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上巻の幕末・明治篇は建築界がフロンティア・パイオニア精神にあふれ読んでてわくわくしたが、下巻の大正・昭和篇では建築界も徐々に成熟し始め、多くの歴史的建物が生まれるも、時代のエピソードとしてはやや停滞感。ちょっと退屈?と思い始めたところで盛り上がったのが「10.社会政策派」の章。最...
上巻の幕末・明治篇は建築界がフロンティア・パイオニア精神にあふれ読んでてわくわくしたが、下巻の大正・昭和篇では建築界も徐々に成熟し始め、多くの歴史的建物が生まれるも、時代のエピソードとしてはやや停滞感。ちょっと退屈?と思い始めたところで盛り上がったのが「10.社会政策派」の章。最初の頃に結びつきが強かった国家・政治と建築の関係は、社会が成熟してくると、都市や社会の問題とも結びつき始める。関東大震災を経ての復興都市計画のくだりなんか最高に面白い。そしてモダニズムの時代の萌芽からコルビジェまで一気に進み、終戦を迎える。あー藤森先生の戦後篇が読みたい!
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思想を持つ、建築。 いよいよ日本の建築も成熟期に入ってきた。 追いつけ追いこせの模倣段階から、思想を表現するための建築へとなってきたよう。 特に興味深いのがモダンデザイン。植物→鉱物→幾何学→数式、と段階を踏んでより抽象かつ始原的なものへ向かう動きが興った。それは産業革命のため...
思想を持つ、建築。 いよいよ日本の建築も成熟期に入ってきた。 追いつけ追いこせの模倣段階から、思想を表現するための建築へとなってきたよう。 特に興味深いのがモダンデザイン。植物→鉱物→幾何学→数式、と段階を踏んでより抽象かつ始原的なものへ向かう動きが興った。それは産業革命のため、かつての歴史主義に空洞化が起こってしまったことから始まる。その空洞を埋めるものを各地へ求めたが、見つからない。行き詰まった建築家が自分の内側を見つめはじめ、感受性を掘り下げていくうちに、植物的な感覚の層、鉱物感覚の層、数学感覚の層と掘り進んで底を打ったらしい。 そういえば、その後の軍国主義ではあまり影響を受けなかったことから察するに、日本の近代建築は外向けのアピールが主だったのだろうか。国民の気勢を高める内向きの動きにはあまり建築は使われなかったもよう。
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いきなり下巻から読み始めたせいか、あまり内容に入り込めなかった。 本当に、自分はこの本のよい読者にはなれなかったような気がする。 (ミース・ファン・デル・ローエが、本文で「ミース」と呼ばれていることばかりが気になって仕方がないような読者である。) ただ、日本の大正以降の建築が、...
いきなり下巻から読み始めたせいか、あまり内容に入り込めなかった。 本当に、自分はこの本のよい読者にはなれなかったような気がする。 (ミース・ファン・デル・ローエが、本文で「ミース」と呼ばれていることばかりが気になって仕方がないような読者である。) ただ、日本の大正以降の建築が、欧米のほとんどの流派が流れ込んでいること、そしてドイツを除けばそんなに多様な展開が見られた場所は他にないということが分かった。 写真は白黒で、小さいというのが難点だが、たくさん載っているので、述べられている特色がどういうものかを理解するのに役立つ。 ちょうど内務省官僚長岡隆一郎の『官僚二十五年』を読んでいた時だったので、「10 社会改革派」は興味深かった。 都市計画局の長官として、スラム街の改良に取り組んだらしい。 公園建設を多数手がけた長岡安平の息子が、そういう道に進んでいたとは。
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同じ藤森照信氏著作の建築探偵シリーズとは対照的に、専門的な内容の本です。 取り上げられている建物の数は圧倒的に多く、住所付きの50音順索引は便利です。
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[ 内容 ] 明治の時代とともに展開した近代建築も、大正に入ると大きな転機を迎える。 第二世代が登場し、彼らは建築とは何かを内省し、社会性、技術の表現、実用性などのテーマを発見する。 新しい感性に目覚めアールヌーヴォーを手がける。 昭和に入ると、モダニズムの影響のもとに第三世代が...
[ 内容 ] 明治の時代とともに展開した近代建築も、大正に入ると大きな転機を迎える。 第二世代が登場し、彼らは建築とは何かを内省し、社会性、技術の表現、実用性などのテーマを発見する。 新しい感性に目覚めアールヌーヴォーを手がける。 昭和に入ると、モダニズムの影響のもとに第三世代が花開き、ファシズムの洗礼を経て、その流れはいまに続く。 [ 目次 ] 8 明治から大正へ―自覚の世代の表現 9 新世紀の歴史主義―アメリカ派の隆盛 10 社会政策派―都市と社会の問題 11 モダンデザイン―表現派にはじまる 12 初期モダニズム―バウハウス派とコルビュジエ派 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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今の建築学は西洋建築を教えている。そう言われる理由がわかる本である。 と、同時にこれからの建築も考えさせられる本である。
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篠田真由美氏の小説の作中でしばしば言及される書。 原典に当たってみました。 岩波新書にしては写真が豊富で、内容もすごく充実してます。 上巻の明治時代は、まだ、西洋の様式をわけも分らず取り入れたへんてこ擬洋風がわさわさだったのに対して、 下巻の時代になると建築思想が本格的...
篠田真由美氏の小説の作中でしばしば言及される書。 原典に当たってみました。 岩波新書にしては写真が豊富で、内容もすごく充実してます。 上巻の明治時代は、まだ、西洋の様式をわけも分らず取り入れたへんてこ擬洋風がわさわさだったのに対して、 下巻の時代になると建築思想が本格的に現れて、その中で日本的なものが「発見」されていく過程なんかは、近代の特質が現れてるなあと。 終盤でモダンデザインが出てくる辺りの記述もとても興味深かったです。 ぜひ続編で、「日本の現代建築」とか…
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