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小説・捨てていく話 の商品レビュー

3.9

16件のお客様レビュー

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2023/12/27

子どもの頃から何度も読み返した、 モモちゃんとアカネちゃんシリーズを もう一度改めて読み返しながら、 この本を読みました。 子どものときには、ちょっと不気味で 意味が良くわからなかった 靴だけが帰って来ること、歩く木の意味が 大人になってから理解できたときの驚きは衝撃的でした。 ...

子どもの頃から何度も読み返した、 モモちゃんとアカネちゃんシリーズを もう一度改めて読み返しながら、 この本を読みました。 子どものときには、ちょっと不気味で 意味が良くわからなかった 靴だけが帰って来ること、歩く木の意味が 大人になってから理解できたときの驚きは衝撃的でした。 そして人生のままならなさならば、身に沁みてわかるようになった今知ったのは あの、愛と幸せがギュッと詰まったような物語の源にあったのが 嫉妬と怒りと猜疑心で出来上がっている 底なしの沼だったという事実でした。 人間の本性を濾過して浄化して出来上がったあの物語が たとえ子ども向けであっても、子どもだましであろうはずもなく 長い間大人も子どもも惹きつける理由なのだと思いました。

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2023/03/12

小説 捨てていく話 松谷みよ子 雨はやはり、こやみなく降っていました。三千大千世界の、どの暮らしにもあまねく、ひとしく、降りそそいでいました。 p82 雨 そうです。でも心だって、すうっと割れることもあるんですよね。 p14 薔薇の家 これ以降は引用しようと思う文は無か...

小説 捨てていく話 松谷みよ子 雨はやはり、こやみなく降っていました。三千大千世界の、どの暮らしにもあまねく、ひとしく、降りそそいでいました。 p82 雨 そうです。でも心だって、すうっと割れることもあるんですよね。 p14 薔薇の家 これ以降は引用しようと思う文は無かった。 最後まで読めば、これを書こうと彼女が思うのもなんとなくは理解した。 重なる部分は、わたしには無い。 涙した部分も。 ただ、図書館で今日偶然に手に取ったこの本が、夫との別れを描いている内容だったことがわたしを惹きつけただけだ。 わたしと重ならなくても、他人の離婚、人生と感情の積み重ねを見るのは新しい世界を知る手かがりとなる。新しい、というか、気づいていなかった自分自身の思いと出来事の側面を見ることに繋がる。

Posted byブクログ

2016/08/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「モモちゃんとアカネちゃん」シリーズや有名な「いないいないばあ」の児童書作家の松谷みよ子さんの自伝的小説で、劇団主宰の夫の浮気から離婚、その後の切れない関係まで描かれた本。「モモちゃんとアカネちゃん」の裏話的な、大人の事情が切々と描かれている。 「愛」とはまた違うような。「腐れ縁」というか、なんというか、人の情けというのか、切っても切れない縁の呪縛。 まさに、ヘドロのようにドロドロしたものが、ありありと感じられた。 「優しい」のとはまた違う。嫌われたくないのだろうな。必要とされた時に自分の存在意義を見つけ、拒否したり断れないのだろうな。人間の弱さは、自信の無さから生まれるのかもしれない。

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2016/01/13

作者が文中で自身を蛇になったと表現した通り、この本は執着という呪いに満ちてみえる。共依存とも言うべきか。この本を書くことで、おそらくは作者が多少は救われたのだと思うが、一方でそのヘドロの沼に、誰かを突き落としたとも思える。 まるで暴露本のような、自己満足にしか思えなくて、ただただ...

作者が文中で自身を蛇になったと表現した通り、この本は執着という呪いに満ちてみえる。共依存とも言うべきか。この本を書くことで、おそらくは作者が多少は救われたのだと思うが、一方でそのヘドロの沼に、誰かを突き落としたとも思える。 まるで暴露本のような、自己満足にしか思えなくて、ただただ悲しかった。 ただの小説にしてしまえれば良かったのに。

Posted byブクログ

2014/11/14

モモちゃんとアカネちゃんと一緒に幼少期を過ごした私にとっては、ハッとするエピソードがたくさんあった。アカネちゃんは本当に実在していたんだ。よいしょと新しいタバコを流し台のところに捨てたり、おきゃくさまのパパ、と呼んでみたり。快活なモモちゃんと違って、幼いのにとても繊細で、言葉選び...

モモちゃんとアカネちゃんと一緒に幼少期を過ごした私にとっては、ハッとするエピソードがたくさんあった。アカネちゃんは本当に実在していたんだ。よいしょと新しいタバコを流し台のところに捨てたり、おきゃくさまのパパ、と呼んでみたり。快活なモモちゃんと違って、幼いのにとても繊細で、言葉選びが独特で、不思議なアカネちゃんは、今はどんな人に成長したんだろう。 本作では小説内ではあまり語られなかったパパやママの葛藤が綴られていて、真実を知ってしまうことへの寂しさと幼少期の思い出をぐりぐりと抉られているような感覚に涙が出そうになった。親の事情を理解出来るようになるほどに私自身も成長してしまったようで切ない。狼だったパパの幼少期も辛辣で、ママもパパもなんだか寂しいなと思ってしまう。でもそんな複雑な環境の中でも、モモちゃんとアカネちゃんがすくすくと育っていったのは、松谷さんの言葉使いの優しさや、あたたかい表現を交えて離婚のことやパパのことを子供たちに童話のように語っていたからなのだろう。 この本が刊行されたのは私の生まれ年である1992年で、世代ではないのかもしれないけれど、そもそもモモちゃんを買ってくれたのは幼少期に読んで育った私の母で、物語は語られ続けていくんだなあと。アカネちゃんが大好きで、よく言動を真似していたことを思い出す。あの頃は、彼女が胸の内に秘めていた涙の意味がわからなかったけれど。

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2013/12/06

え?松谷みよ子さん?同姓同名?と思いながら手に取った。そうだ童話と人生は違うんだ。もう一度時間をおいて読み直したい1冊でもある。

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2013/09/28

こわい。 重くてこわい。 子供のころに好きだった「モモちゃんとあかねちゃん」って実話だったの? 靴だけ帰ってくる。 死神がママのところにくる。 パパは歩く木、ママは歩かない木、一緒の鉢では枯れてしまう。 それ、実話だったの?

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2012/08/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

松谷みよ子と言えば、モモちゃんシリーズの著者。 全6巻からなるシリーズで、子供の頃、3巻目まで夢中になって読んだ物ですが、それ以降を読んでなかったのと、公文の国語のプリントに「モモちゃんとプー」が掲載されており、懐かしくなって、全巻読破。 1巻目の小さなモモちゃんにはほとんど出番がない…と言うか、極めて影の薄いパパが、2巻目のモモちゃんとプーでは大活躍。なのに3巻目でいきなり離婚。繋がりとして分かりづらい。更に、理解不能なのは… お父さんは歩く木で、お母さんは1つ所に留まり成長する木。そんな性質の異なる木が同じ鉢の中にいては、お互いがお互いの足手まといになって枯れちまう…と言う事で離婚。子供心に分かり易い記述だったなぁ…とは思ったのですが、問題は、この場合、どちらが正しい、悪い…の問題ではなくて、考え方の相違、生き方の相違と言う事で、円満に別れた方だろう…と思われるのですが、4巻目以降、お父さんの出番が殆どありません。お母さんとモモちゃん、アカネちゃんの暮らす家に遊びに来たり、時々はお互いの家を往復したり…しても良さそうな物なのに案外冷たい。それで離婚の真相知りたくて読んだのがこの本でした。 正直、夫も少し勝手な人だなぁ…と(笑) 結局は、モモちゃんとプーが出版された頃から、夫婦間に隙間風が吹き始めてるんですね。夫がいきなり「仕事場」と言う名目で新しい家を借りたがったり…この頃から、別の女性の存在が明らかに。 でも、何だかんだ言って、元夫は、松谷みよこを一番愛してたいたのでしょう。 幼い頃に母親と半ば強引に切り離され、淋しい幼少時代を暮らした。その思いから誰よりも暖かい家庭を夢見ておきながら、いざ、それが手に入ると「いつまで続くのか?」という不安からか落ち着かず、結局、自らの手でぶっ潰してしまう。 劇団も家庭も全て同様。 一歩距離を置いた所から、自分だけを見つめ続けていて欲しい… そんな我儘通用する訳も無く、自分と言う物をきちんと持った女性である松谷みよ子には当然通じなかった。それが結果的に離婚へ。しかし、言うがまま…の大人しい性格の女性とは長年、同棲しておきながら「仕事仲間」とか「手伝い」とか見下げた言い方で人前で紹介するわ、モスクワまで仕事へ出掛ける事になった時、元妻の松谷に同行をお願いしたり…また、そう言う夫の性質を良く見抜いていたせいか、夫側の親戚とも長らく付き合いが保たれたり…この辺りは、正直、自分自身も見習いたい…と思う部分。 で、全てを読破した後の感想としては… やはりお父さんは歩く木で、何かと落ち着かない人だったのだなぁ… と^^; 例えとしては間違いではないが、それだけ書かれちゃうと分かりづらい、何かと複雑な大人事情か(^_^;)

Posted byブクログ

2011/12/11

小説とは銘打たれてはいるものの、ほぼ実話に近いであろう回顧記。劇団を主宰する一種カリスマ的異才であった夫との軋轢と離婚、そして死別までを「蛇女房の鱗をはぐような思い」でつづります。童話「モモちゃんとアカネちゃん」に出てくる数々の不思議なメタファーの謎解きも。歯を食いしばるような悔...

小説とは銘打たれてはいるものの、ほぼ実話に近いであろう回顧記。劇団を主宰する一種カリスマ的異才であった夫との軋轢と離婚、そして死別までを「蛇女房の鱗をはぐような思い」でつづります。童話「モモちゃんとアカネちゃん」に出てくる数々の不思議なメタファーの謎解きも。歯を食いしばるような悔しさも、ヘドロの沼を覗き見るような嫌悪の思いも、凛として創作を続ける姿勢と豊穣な想像力で浄化していく女の強さ。それに対する男のもろさ。死を前にした元夫の最後の花道となる仕事を用意してやるくだりが切ない。捨てたくても捨て切れなかったもの、を捨てていく話です。

Posted byブクログ

2011/10/30

文章表現が、すばらしい。エピソードをお話仕立てに書かれている箇所が何箇所かあるけれど、ファンタジーを交えつつ的確に表現されている。松谷さんの心中を直に覗いてるかの様。

Posted byブクログ