国境の南、太陽の西 の商品レビュー
ずっと拒否してきた作家さんでしたが、図書館のおすすめコーナーに置いてあったので、なんとなく借りてきて半日で読んでしまいました。 今まで感覚的な作家んで合わないと思っていたのですが、やっと分かるようになってきたみたいです。言葉の、やり取りだけで話を進めてゆく小説ではない感覚で読者に...
ずっと拒否してきた作家さんでしたが、図書館のおすすめコーナーに置いてあったので、なんとなく借りてきて半日で読んでしまいました。 今まで感覚的な作家んで合わないと思っていたのですが、やっと分かるようになってきたみたいです。言葉の、やり取りだけで話を進めてゆく小説ではない感覚で読者に語りかけてゆく感じが、ひょっとしたらこの人らしいのかな?と思ったり なんか気に入ったので、他の作品も次に読んでみようと思う。
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読みながら、村上春樹は表現したいことを書いているのか、こう読んでほしいと思うままに書いているのかどちらなのか分からなくなった。でも、個人的には後者のような気がする。読み方はあなたに任せますよ、ご自由に解釈なさい、なんて生易しい作品じゃなくて、病的なまでの倒錯した愛情を生々しいまま...
読みながら、村上春樹は表現したいことを書いているのか、こう読んでほしいと思うままに書いているのかどちらなのか分からなくなった。でも、個人的には後者のような気がする。読み方はあなたに任せますよ、ご自由に解釈なさい、なんて生易しい作品じゃなくて、病的なまでの倒錯した愛情を生々しいままに読みなさい、その狂おしさと儚さを存分に味わいなさい、ってガツーンと提示されたような印象です。読ませ方を熟知してるのかな。細かいところ突っ込んだらキリがないけど、彼女を片足不自由にしたのも、そこに必然性があったんだろうな。それが治癒したことにもきっと。因果関係ではなくて、そのことが作品に与える影響から感じなければいけないな。演繹法じゃ答えは出ない。
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こんなにも女性のことを好きになることがあっただろうか?と読みながら自分の過去のことがちらちら思い出されて落ち着かない気持ちになった。 初恋の人、島本さんからハジメくんに、タイトルになっている「太陽の西」の意味が語られる場面。 シベリアの農夫の話。 毎日毎日、地平線しか見えない畑で働いて、ある日心の中の何かがぷっつり死んでしまって、鍬を放り出し太陽の西に向けて歩き続けて、そのうち死んでしまう、それがヒステリア・シベリアナ。 この話し、人生か何かの比喩なんだろうけど、その日々があまりにも今の自分に近すぎて、なんか無性に泣けてきた。真夏なのに寒気がするくらい。 太陽の西って、どんなところなんだろう。
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最初タイトルだけ見て、遠くの広大な土地への旅の話? と思った。内容はそうじゃないけど、全部読んだ感想としてはそれでもだいたい合ってる気がする。 初恋の人ってそれほど引きずるものですか。そこまで運命なんですか。 主人公、小学生のハジメは、転校してきた島本さんのお世話係的なことから仲良くなって家に招かれて一緒にいままであまり聴いたことのない音楽を聴いて…たしかに濃密な時間を過ごしている。一人っ子同士だったというのもある。でも要は初恋で、最初に意識した女の子で、刷り込みみたいなものじゃないのかな。中学生では別々の学校になり、何時の間にか疎遠に。そして彼女は綺麗な思い出の中だけで生きていた。 高校生になって付き合ったイズミ。酷い別れ方をする。 会社員になって知り合い結婚した有紀子。娘2人と幸せな家庭を築いている。 この時点で島本さんには何も伝えてないけど、皆に同じように愛してるとか好きだとか言ってるような。こういう男は若い頃だったらまずこれで嫌いになってた。でも話の流れは面白い。どうなるのかなと思う。 島本さんと再会して時々会って話をしたり、突然会えなくなってまた彼女のことを考えると止まらなくなったり、それでまたやっと会えればそれはかなり運命の人だと思うよね。感動だよね。でも他の女性たちは? なんというか皆、男にとって都合のいい女達。理想的ですね。ちょっとした浮気相手も含めて。 男性からするといろいろあっても上手くいってる男の話だけど、女性目線で見るとさらにいろいろありそう。 島本さんが消えたのは、いまのハジメの生活を壊してまで幸せになりたくはなかったのか。なにか許されない状況、例えば家庭の事情があったり、体調(死亡説?)だったりしたのか。 それともいっそこの人のことは全部夢や幻想オチとか。それなら同時にお金が消えた謎も解決するんだけど。 妻の有紀子があんなに出来すぎなのは、実はもっとすごい体験をしたのでは。義父の言及だけでははっきりしないけど、有紀子とはそういうところから惹かれ合ったのかもしれない。 一番最後まで気になったのはイズミと従姉のこと。決して身体を許さなかったイズミ。イズミと付き合いながら、ハジメの初体験の相手だった年上の従姉。 勝手な想像だけど、この従姉の死因はイズミにあったのでは。直接ではないにしてもイズミがしたなにかがきっかけで従姉が亡くなって、ハジメのことに加えて、それでイズミは病んでしまったのかなと。ハジメは自分だけのせいだと悔やむことではないかもしれない。
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20150412 妻子がいるのに他の人を好きになっちゃうんだ。 でも誰にでもある弱さの話。 自分の選択に覚悟を持てないのはだめ人間だと思うけど、結局私も同じだな。 春樹はそれを肯定的にナルシスト的に書くけど、よくないからね。 文体とか雰囲気とか世界観とか好きですけど。 あと、最...
20150412 妻子がいるのに他の人を好きになっちゃうんだ。 でも誰にでもある弱さの話。 自分の選択に覚悟を持てないのはだめ人間だと思うけど、結局私も同じだな。 春樹はそれを肯定的にナルシスト的に書くけど、よくないからね。 文体とか雰囲気とか世界観とか好きですけど。 あと、最後まで読ませる力は本当にすごいなと思う。 結局明かされないけどイズミのいとこの死因とか、島本さんの背景とか気になりすぎて最後までよんじゃう。 子供の頃の話から学生時代の話と、ラストシーンが好きでした。 真っ暗な海に静かに降る雨と島本さんのイメージが結び付いて、少し切なくなる話だった。 結局手に入らない謎に包まれたまま人ほど魅力的に見えるものはないんだと思う。
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読み手によっていろんな解釈ができると思う。 村上春樹のふわふわしてるけどどこか軸があるようなこの世界観がすき
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最初に読んだのは大学生のころ。こういう村上春樹らしい日常の中にある、あちら側こちら側に別れた感じは好きだったなぁ。なんとも切ないというか、救いがないというか。そんな感じに惹かれてきっとまた読むのだろうな。
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好きな映画を何度も見たくなるように、この小説を手に取った。性描写が鼓動を高鳴らせるような、ただ性的であるシーンを超越し、そこに至る小学生の頃からの流れが、全てはそこに集約するかのように、何しろ、その印象が強く残る小説だった。二度目なら。何か違った世界を感じ取れただろうか。 ロビ...
好きな映画を何度も見たくなるように、この小説を手に取った。性描写が鼓動を高鳴らせるような、ただ性的であるシーンを超越し、そこに至る小学生の頃からの流れが、全てはそこに集約するかのように、何しろ、その印象が強く残る小説だった。二度目なら。何か違った世界を感じ取れただろうか。 ロビンズ・ネストという場所を少しだけ、この本を読むことで分け与えられた気になる。なぜ、10万円が消えたのだろうか。平和な家庭に訪れた一つの事件。それは、主人公の認識にしか、存在しなかったのではないだろうか。恋愛や好き嫌いは、認識論の問題である。いや、人間の存在そのものが、認識論の問題なのかも知れない。
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以前、別れた恋人と復縁したいと思いつつ、迷いがあった際に、友人に勧められて読んだ本です。そのような状況だったので、主人公の気持ちには共感しながら読み進めていきました。 この本を読んだことは、過去に踏ん切りをつけ、これからまた自分らしく生きていく為のきっかけの一つとなったと思いま...
以前、別れた恋人と復縁したいと思いつつ、迷いがあった際に、友人に勧められて読んだ本です。そのような状況だったので、主人公の気持ちには共感しながら読み進めていきました。 この本を読んだことは、過去に踏ん切りをつけ、これからまた自分らしく生きていく為のきっかけの一つとなったと思います。 ただ、描写に関しては所々生々しい部分があり、私個人としましては苦手なものがありました。(しかしそれもまた村上春樹さんの良さなのでしょう)
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自分には何か決定的に欠けたものがある。そのかけた部分を埋めてくれる「モノ」や「誰か」を求める主人公が到達した結論とは。 村上春樹らしい表現とストリー。まあまあ面白いかな。わりとすんなり読める。
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