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野ばら の商品レビュー

3.7

51件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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2023/11/11

ずっと夢の中 出てくる言葉一つ一つが美しい 高円寺の読書喫茶的なところで読んだのも合わせて良かったな

Posted byブクログ

2023/04/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

私は不眠と過眠に悩まされていたとき、夢の中の夢というのを繰り返し見ていた経験があるのだが、その状態を彷彿とさせる作品だった。主人公の月彦が何に囚われているのかはっきりしないが、側から見ていて健康な状態ではないことは分かる。不健康な世界であるから月彦はずっとなんとなく居心地が悪そうなのだが、野ばらに囲まれた世界を離れたいとも思っていない。(その点がやはり不健康なのかも) 長野まゆみが描く夢の世界は美しいだけで我々を歓迎しないし、追い出したりもしない。そこに居場所を求めるか否かでこの作品の見方が変わりそうだとも思った。私は居場所を求めなかった人間だからか、唐突すぎる展開に少し辛さを感じた。他人に夢の話を聞かされるとどう反応して良いか分からないときがあるが、丁度その感じ。しかしとびきりの美しい夢の話であるから惹かれてしまうのだけど。 読了後、物語中のキーとなっていたミシンはなんだったのか気になった。規則的に音を鳴らすことで時間感覚を保っている何かだろうか。夢は時間感覚がなくなるものだから、夢と現実をかろうじて繋ぎ止めてるのだろうか。逆に規則的に音が鳴ることによって眠りを誘っているものだろうか。同じ周波数の音を聞き続けると麻薬を服用するようなリラックス効果が得られると聞いたことがあるが、そういう類のものだろうか。どれも正解な気がする。 ラスト、ミシンは錆びれて崩れ落ちてしまって、野ばらの庭には誰も残されていないような描写が見られるが、月彦は夢を抜け出せたのだろうか。それとも月彦の存在そのものが消えてしまったのだろうか。いずれにせよ残った野ばらの庭に、今度は我々が囚われてしまうのかもしれない。

Posted byブクログ

2021/12/08

再読。 長野まゆみさんのお話は、文章が本当に美しくて。その美しさを味合うために読んでいる感じ。 月彦と、美しい二匹の猫。風変わりな理科教師。そういえば、大人はだいたい何か知ってそうなんだけど、多くは語らず。というか、結局、いつも謎ばかり残ってしまうんですけどね。 解説がちょっと怖...

再読。 長野まゆみさんのお話は、文章が本当に美しくて。その美しさを味合うために読んでいる感じ。 月彦と、美しい二匹の猫。風変わりな理科教師。そういえば、大人はだいたい何か知ってそうなんだけど、多くは語らず。というか、結局、いつも謎ばかり残ってしまうんですけどね。 解説がちょっと怖かったなぁって思ったら、今読んでもやっぱりちょっと怖かった…。

Posted byブクログ

2019/06/23

再読でも面白かったです。 月彦はいつから夢の中にいて、どこからどこまでが夢の中なのか…なにもかもが夢の中です。 銀色と黒蜜糖が猫なら、他の少年たちも猫なのかな。性格がちょっとキツイところも猫っぽいです。 そして今回も植物の美しさにうっとりしました。 バラ科の鉄や、回転式螺子の昼顔...

再読でも面白かったです。 月彦はいつから夢の中にいて、どこからどこまでが夢の中なのか…なにもかもが夢の中です。 銀色と黒蜜糖が猫なら、他の少年たちも猫なのかな。性格がちょっとキツイところも猫っぽいです。 そして今回も植物の美しさにうっとりしました。 バラ科の鉄や、回転式螺子の昼顔。紅玉石の柘榴も綺麗です。 硬質な世界。堪能しました。 持ってる本の装丁はこちらではありません。 白と明るい緑の格子模様に、白い花の植物が描かれているのですが何の花だろう。

Posted byブクログ

2016/05/08

長野まゆみの初期作品、ということで読んでみた。世界観は耽美でほんのひと匙背中が冷やっとするような怖さがエッセンスとして滴らせられているといった感じだ。夢の中を巡りながら自ら(?)それに溺れる少年の世界が現と交互にループする構成になっていて、真夜中に読むのにうってつけな作品だ。夢の...

長野まゆみの初期作品、ということで読んでみた。世界観は耽美でほんのひと匙背中が冷やっとするような怖さがエッセンスとして滴らせられているといった感じだ。夢の中を巡りながら自ら(?)それに溺れる少年の世界が現と交互にループする構成になっていて、真夜中に読むのにうってつけな作品だ。夢の内容が、主人公月彦の精神世界と何か繋がりがあるのなら、そこまで書いて欲しかったような気がするが、そこは想像で愉しむべきなのかもしれない。解説も非常に面白かったので是非読んでほしい。 長野まゆみは児童文学っぽさを持った作家だと感じているが、これは大人でも楽しめる。玻璃のように繊細で儚げな少年少女の不安定な時期の心を懐かしむことが出来た。それと同時に幻想的な冷たい夢の世界も味わえた。

Posted byブクログ

2014/04/04

名前フェチみたいになるが、銀色という名を見たときには衝撃だった。 景色や時間が重なる演出は面白い。が全体的な印象としてはやや茫洋として帰着点がない。

Posted byブクログ

2013/04/24

長野まゆみさんの作品を初めて読みました。不思議な世界観。でも嫌じゃない。色の書き方、時の刻み方、無音のざわめき…どこかで触れた感じがあるなぁと思っていたけれど、宮沢賢治の作風に似ているのかも。 夢か現実か、はたまた全て夢なのか。白いバラと赤い石榴が織り成す不思議な世界にちらつく...

長野まゆみさんの作品を初めて読みました。不思議な世界観。でも嫌じゃない。色の書き方、時の刻み方、無音のざわめき…どこかで触れた感じがあるなぁと思っていたけれど、宮沢賢治の作風に似ているのかも。 夢か現実か、はたまた全て夢なのか。白いバラと赤い石榴が織り成す不思議な世界にちらつく二匹の猫の影。美しい文でした。

Posted byブクログ

2013/01/10

なかなか内容が掴めないまま読み進めたため、うまく世界が捉えられなかったのが残念。 でも、表現が綺麗で場面場面がまるで幻想的な絵画の様。 最後の解説を読んで、なるほど納得。 今まで読んで来た本の中では異質だった。

Posted byブクログ

2012/11/30

著者の作品を読むのはこれがはじめてで、いまいち世界観に浸れなかったのが残念。けれど甘やかで美しい描写が読んでいてとても心地がよかった。 解説で使われていた夢の言語という言葉に妙に納得。 とても不思議な物語で、こちらまで夢を見ているような錯覚を起こさせられるお話でした。

Posted byブクログ

2012/10/06

単行本の方を購入。 夢と現実の狭間が合間でふわふわとした作品でした。 最後まではっきりとさせないため、今読んでいる方が夢なのかどうかの判断もままなりませんが、それが心地良い。

Posted byブクログ