ヴェニスの商人の資本論 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
柴田元幸氏が「アメリカン・ナルシス」の中でどこかを引用してて、出典にあったタイトルに惹かれて。いわゆるジャケ買い(ってのは言葉のアヤで、シンプルというか味も素っ気もないちくま文庫なんですが)。 過激な発想や突飛さはなく、文章も読みやすい。 でも、That's all. まあー、たまにはフィクションでフワフワしてばかりいないでワルラスやらマルクスやらに挨拶しておくか、みたいな。
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著者のエッセイや書評、『不均衡動学』の解説や補足をおこなった論考などが収録されています。 冒頭のエッセイ「ヴェニスの商人の資本論」は、著者の妻である水村美苗からアイディアを示された執筆に至ったとのこと。シェイクスピアの『ヴェニスの商人』におけるアントーニオとシャイロックを、共同...
著者のエッセイや書評、『不均衡動学』の解説や補足をおこなった論考などが収録されています。 冒頭のエッセイ「ヴェニスの商人の資本論」は、著者の妻である水村美苗からアイディアを示された執筆に至ったとのこと。シェイクスピアの『ヴェニスの商人』におけるアントーニオとシャイロックを、共同体の論理と資本の論理の体現者として読み解き、さらにこのストーリーを展開させる「トリックスター」としてのポーシャを、「貨幣の謎」を体現する人物として解釈しています。 「遅れてきたマルクス」という論考は、シュンペーターがワルラスの一般均衡体系からどのように離脱を図ったのかを明らかにするとともに、マルクス主義経済学の観点からその意義について考察をおこなっています。シュンペーターの仕事は、新古典派の文脈の中で、マルクスの「特別剰余価値」に関する議論に相当する思索を展開したものと考えることができます。そして著者は、シュンペーターの企業家たちが技術革新競争を通じて「未来」を作り続けているという解釈を示し、マルクス経済学的な時間論へのつながりを示唆しています。 才気煥発な著者の思考が軽やかなスタイルで展開されており、やや難しいところもありましたが、おもしろく読みました。
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表題作読了(2013・2・11)。 登場人物のもつ役割の枠組みに対する切り口が斬新。 兄弟盟友的つながりのあり方から、貨幣を媒介にした個人と個人のつながる世界へと変貌していく様が作品の解説を通して理解できる。 貨幣の役割とか、資本主義とか、そういった話ぬきにして、大学生のこ...
表題作読了(2013・2・11)。 登場人物のもつ役割の枠組みに対する切り口が斬新。 兄弟盟友的つながりのあり方から、貨幣を媒介にした個人と個人のつながる世界へと変貌していく様が作品の解説を通して理解できる。 貨幣の役割とか、資本主義とか、そういった話ぬきにして、大学生のころに親しんだ本"ヴェニスの商人"について、より多面的な読み方を知ることができ、単に読み物としてもおもしろかったです。
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評判もよく、センター試験にも出ていたので期待して読んだが、結果は期待はずれだった。学者が好みそうな純・学術的であり、実用性を期待していた僕にとってほとんど感慨を起こさせるものではなかった。 ただ、純粋な学問的好奇心を求める人にとってはいい本かもしれない。
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記号化や”貨幣”という得体の知れないモノを、当たり前の領域から引きずり下ろしてもう一度考えるきっかけになる本。とてもわかりやすく、記号媒介的な私たちの世界の孕む不気味な雰囲気を描いていると思う。 世界は記号で表象されている。そして計量されている。しかし、貨幣という数字が表象する”...
記号化や”貨幣”という得体の知れないモノを、当たり前の領域から引きずり下ろしてもう一度考えるきっかけになる本。とてもわかりやすく、記号媒介的な私たちの世界の孕む不気味な雰囲気を描いていると思う。 世界は記号で表象されている。そして計量されている。しかし、貨幣という数字が表象する”資本”はその現実の量とは関係なく際限なく増殖し続けるものだ。
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注意!本書は『ヴェニスの商人の資本論』というタイトルながら、シェイクスピアのヴェニスの商人に関する話は最初の70ページほどで、あとは全く関係ないエッセイです。タイトルがミスリーディンクどころか、限りなく詐欺に近いと思います。 私はヴェニスの商人を読んだ後、著者がどんな読み方をし...
注意!本書は『ヴェニスの商人の資本論』というタイトルながら、シェイクスピアのヴェニスの商人に関する話は最初の70ページほどで、あとは全く関係ないエッセイです。タイトルがミスリーディンクどころか、限りなく詐欺に近いと思います。 私はヴェニスの商人を読んだ後、著者がどんな読み方をしたのか興味があったので購入したのですが、完全に裏切られました。私がもっと気をつければよかったのかもしれませんが、そんな企業の論理は少なくとも私は納得できません。 なんか他のレビューを読むと、東大教授という肩書きにビビっているのか賞賛が多いですが、こんなウソをつく本なんて読む必要ないですよ。経済学にはもっと誠実な学者が、読者のことを考えて書いた良書が沢山ありますから。
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経済学は全くの門外漢だけれども、知の興奮を得た。 なんとなくこれらの論文内容を数式化できるんじゃないかって気がするのは、良く理解していないからかな。 媒介が媒介について媒介しはじめる話がイイね! 水村美苗さんが奥様とは!彼女の日本語の話を再読したいと思います。
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これもまた水野先生からの課題図書。 モーリス・ゴドリエさんの「経済人類学序説」でマルクスの貨幣論を勉強した後に持ってこられた。まったく、いつもタイミングがすごすぎる。 表題作の「ヴェニスの商人の資本論」はとても面白い謎解きになっていて、貨幣の資本主義における働きが何となく掴める...
これもまた水野先生からの課題図書。 モーリス・ゴドリエさんの「経済人類学序説」でマルクスの貨幣論を勉強した後に持ってこられた。まったく、いつもタイミングがすごすぎる。 表題作の「ヴェニスの商人の資本論」はとても面白い謎解きになっていて、貨幣の資本主義における働きが何となく掴めるようなお話しである。おすすめ! 中盤は経済学のお話しがいろいろ続いて、なんだか一処にとどまり続ける息苦しさと行き詰まりを感じたのだけれども、最後まで読んで印象はひっくり返った。 最後の「十冊の本」という短いエッセイは、知と知識の違いを皮肉的に説明してあるようなお話しで、「本読んでるぞ~!」と思い上がっていた私の顔面にパンチを喰らわせてくれた。 日々毎日、その時その時に応じて「事」に当って応対していくというやり方と、実際にそのことに当たる前に事前に少しでも準備をしておいて、いざ!その「事」に対応するというやり方がある。万全の準備をしようとするとフレーム問題で全く身動きができなくなるのだけれども、全然準備をしていなければ、それはそれイチかバチかでとても危うい感じがする。しかし、どの程度の準備が適切かと考えてみてもちょっと即座には答えが出ない。案外なにも準備すること無くその場で対応したほうがうまく行ったりするのかも知れない。 ------------------------------------- 「知識」などという冗長な言葉はもうすっか死語になっている。今ではその代わりに、短く―「知」―と言わなければならないのである。仏教において絶対で不滅な人生の根源のことを意味している「識」という言葉の重みを取り払われた「知」は、軽妙で、微細で、多元的で、非中心的で、ズレに満ち、そしてなによりも胡散臭いものとして規定される様になったのである。ひとは、かつてのようにみずからの中に知識を貯えて「知識人」になるのではなく、この「識」を失った「知」なるものに対して、その冒険的な狩人になったり、それを祝祭的に蕩尽したり、そのねじれの構造を批評したり、それを玉手箱のように脱構築したり、それと軽やかに戯れたりしなければならなくなってしまったようだ。 ------------------------------------- と岩井さんは皮肉を言われる。 あくまで資本主義経済社会に踏みとどまり専門分野である経済に関して、なんとかして「知」を「識」にまで織り上げようと呻吟されている苦悶、苦闘が感じられる。なんか…学問って闘争というか死闘なんだなぁ~と感じてしまった。 それに比べて、自分のなんとお気楽なことか… しかし、読むのは止めないつもり。読むのをやめたらたちまち暗黒の闇に舞い戻り世界を呪い、自分を呪うことになってしまいそうだからである。ただただ時間を消費して、他人に迷惑をかけないために本を読むというのが、手持ちの脳のメモリーが小さくて、CPUのクロック数も低いが故に「知」を「識」に編みあげるなどとても出来ない相談である私の読書体験なんだなぁ… 水野先生が感想を聞いてくださるのが唯一の救いだな。
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昔(高校生の時)は四苦八苦しながら読んでた評論文だけど、少し大きくなってから、改めて通して読むと面白かった。なんでも経済学的に考えられて、それが思いもしない結論にたどり着く所が。 世の中の全ては、個々の「何に価値を見出すか」によって成り立ってるのね。 経済学の基礎知識を暗黙...
昔(高校生の時)は四苦八苦しながら読んでた評論文だけど、少し大きくなってから、改めて通して読むと面白かった。なんでも経済学的に考えられて、それが思いもしない結論にたどり着く所が。 世の中の全ては、個々の「何に価値を見出すか」によって成り立ってるのね。 経済学の基礎知識を暗黙の了解とするような内容ばかりで、具体例が出てくる話以外は経済を全く学んでいない私には少し難しかった。 どこまでが「一般常識」で、どこからが「筆者の発想」なのか分からないし論理をひねくり回してる感…
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いつ読んだか忘れちゃった… ヴェニスの商人に始まり、深く経済を説いていく。とても親しみやすくて楽しかった。
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