デパートを発明した夫婦 の商品レビュー
私たちの生活に深く根ざしているデパート。当たり前のように私たちはデパートと共に生活していますが、このデパートがいつどこで生まれたのか、皆さんはご存知でしょうか。 実はそれがこのフランス第二帝政期のパリだったのです。 デパートの誕生は世界の商業スタイルを一変させることになりました。...
私たちの生活に深く根ざしているデパート。当たり前のように私たちはデパートと共に生活していますが、このデパートがいつどこで生まれたのか、皆さんはご存知でしょうか。 実はそれがこのフランス第二帝政期のパリだったのです。 デパートの誕生は世界の商業スタイルを一変させることになりました。 私たちが普段何気なく買い物しているこの世界の成り立ちがビシッとこの一冊に凝縮されています。この本はものすごい本です。社会科の教科書にしてほしいくらいです。非常におすすめです。
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その当時のお店の在り方ってすごく恐ろしいのよ。 このデパートの形式が出る前ね。 買わないと出られないというおっかねぇやつ。 絶対入らないもん!! この形式の誕生により現在と遜色のない 販売形式が成立しています。 バーゲンとかももうこの当時からよ!! 基本変わらないんだなぁ。 あと給料制度に関しても。 ただしそれがメインだとやはりね… これはどこの業界でもありそう。 なんだろう、スケールがでかすぎてな。
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建物それ自体の魅力、デパートというイメージの力によって消費者を誘惑した。 消費者が何を買おうという目的がなくとも、無料のスペクタクルを見るような軽い気持ちで訪れられる場所。 デパートに一度足を踏み入れた買い物客は、必要によって買うのではなく、その場で初めて必要を見出すことになったのである。 女たちは、賢い主婦としての買い物に負け、次いで恋の駆け引きによって征服され、最後のに骨まで貪り食われた。 p.67,96,228
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「デパート」以前は全ての買い物は必要最低限を(値段の交渉をしながら)買う、という状態だったのが発明以後は売り場を見ながら買うのが楽しみのひとつとなり流行や文化を作り教育する立場になったという内容。 ・身分の差が少なくなったり大量生産などの環境が整って来た時代も相まって、バーゲン...
「デパート」以前は全ての買い物は必要最低限を(値段の交渉をしながら)買う、という状態だったのが発明以後は売り場を見ながら買うのが楽しみのひとつとなり流行や文化を作り教育する立場になったという内容。 ・身分の差が少なくなったり大量生産などの環境が整って来た時代も相まって、バーゲンや現金販売・返品可の他にはない斬新なシステムが人目を引き、更に何度も来てもらう信念で営業していた。確かにいくつもある挿絵でかなり大規模な様子が伺える。 ・通信販売で国外にまで顧客を持つことができた。 ・バカンス等の年間スケジュールと店の売出し日を併記した家計簿を配ったり、コンサートを開くなどデパートを通して上流階級への憧れを想起させていた。 ・店員に対する意識も違っていて今では当たり前の社員食堂や退職金制度・独身寮等の福利厚生を整えた。そのおかげで店員は見下されがちな地位だったが「稼げる憧れの職業」にまでなった。
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19世紀の半ば、フランス・パリに世界最初のデパート「ボン・マルシェ」を開店したアリスティッド・ブシコーの評伝です。 ブシコーは、人びとに新しいライフ・スタイルを提示することで、彼らの欲望を刺激し、大衆消費社会を切り開いたと著者は考えます。また、経営の管理や店員たちの福利厚生にも...
19世紀の半ば、フランス・パリに世界最初のデパート「ボン・マルシェ」を開店したアリスティッド・ブシコーの評伝です。 ブシコーは、人びとに新しいライフ・スタイルを提示することで、彼らの欲望を刺激し、大衆消費社会を切り開いたと著者は考えます。また、経営の管理や店員たちの福利厚生にも力を注ぎ、ホワイト・カラーという存在を作り出した点でも、現在の高度産業社会の基礎を築いた人物だとされます。 本書は、こうしたブシコーの一代記というべき内容をまとめたエッセイです。さらに著者は、このような視点から「近代社会」の形成をかいま見ようとしているといってよいように思います。
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19世紀の半ば、フランス・パリに世界最初のデパート 「ボン・マルシェ」を開店した アリスティッド・ブシコー https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B7%...
19世紀の半ば、フランス・パリに世界最初のデパート 「ボン・マルシェ」を開店した アリスティッド・ブシコー https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E7%99%BE%E8%B2%A8%E5%BA%97 https://nakaeshogo.com/boucicaut/
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年末年始には妙にデパートに行きたくなる。街の高揚した気分にのせられて、なんか買い物したくなるのだ。 というわけで、年始一冊目に選んだ本。 19世紀半ばのパリ、ブシコーとその夫人により世界初のデパート「ボン・マルシェ」が誕生した。それまでの買い物と言えば、必要なものを専門店...
年末年始には妙にデパートに行きたくなる。街の高揚した気分にのせられて、なんか買い物したくなるのだ。 というわけで、年始一冊目に選んだ本。 19世紀半ばのパリ、ブシコーとその夫人により世界初のデパート「ボン・マルシェ」が誕生した。それまでの買い物と言えば、必要なものを専門店に買いに行くというスタンスが普通で、店の扉をくぐったら最後、何かを買わなければいけない。何も買わずに出ていくなんてことは失礼千万。店と客の立場はどちらかというと対等というより店のほうが上。買い物慣れしていない客に対しては、値段を吹っかけてきたり、粗悪品を売りつける。なんか骨董店みたいだ。当時のパリの多くの人々にとって買い物は緊張感を伴う、ストレスでもあったのだ。 そんな買い物文化に革命をもたらしたのがボン・マルシェ。入店自由、退店も自由。商品を眺めるだけで、何も買わなくてもいい。それはまるで最新のモードを無料で観覧できる博覧会場。所有するなんてことは夢のまた夢の高級品も見るのは自由。今は無理でもいつかはと、上昇志向を刺激する展示構成。ストレスが伴う買い物という行為を、高揚感が伴うお祭りに変えたのがボン・マルシェ。突如現れた夢の国なのだ! 図版も多数あるので、その外観や内装の豪華さにも驚かされる。まるで王侯貴族の屋敷に招待されたかのような気分に客はなっただろう。 ゆったりとしたソファーでくつろげる休憩所、無料のドリンクバー、図書室、そして清潔な化粧室。そんな空間を庶民に無料で提供できる場所の出現は驚き以外のなにものでもなかった。 客だけでなく、そこで働く従業員もボンマルシェで働くことに誇りを持ち、一流の販売員たらんとして働くのでますます店の格も上がる。接客に満足した客がまた次の客を呼ぶので大繁盛した。 従業員の福利厚生にも力を入れ、無料の大食堂や従業員のための教育施設、従業員オーケストラの結成など文化事業をはじめる。客はボンマルシェで提示された一段も二段も上の生活スタイルに憧れを抱いて、足を運んでくる。そのためには従業員も一段も二段も洗練された生活スタイル身に着けないと説得力がない、との考えからだ。 プロの指導により力をつけた従業員オーケストラは、その後、常連客を招待しデパート内の広い空間を利用した無料のコンサートをはじめる。オーディオ機器などなく、オーケストラ鑑賞など裕福な一部の階級の特権でしかなかった時代に、疑似的だとしても庶民がオーケストラ鑑賞できる機会を提供したという点は画期的だ。そして招待客は、自分たちはもしかしたらアッパーミドルになったんじゃないかしら?と、優越感に浸り、日々の生活の活力とするのだ。 客はなぜデパートに足を運ぶのか、それは物を買うためではなく、高揚感とくつろぎを得るためだった。 そういえば去年、そごうで全く買う気もなかったコーヒーメーカーを衝動買いしてしまった。 デパートの高揚感に浮かされてしまったいい例だ。
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一生を雇われ人として終わることを予め覚悟したうえで、ヒエラルキーを昇ることだけを励みに、全社のために人生を燃焼させる人間、すなわちサラリーマンが誕生することになる。 ベトナムなどを歩いても分かるが、本来お買い物とは、個人商店に行って値段交渉するものだった。しかもその商品は商店のオリジナル商品(一点モノ)である場合も多い。それがデパートの誕生によって一転し、どのような階級の人も同じ値段で大量に購入することができるようになった。ここまでは何となく想像がつくのだが、デパートは労働者も変えてしまったという。丁稚奉公なしにデパートに「入社」し、「昇進」することによって誰でもある程度の保障とお金を手に入れることができるようになったのだ。コネがなくてもチャンスさえあればお金持ちになれる社会の始まりだった。デパートに着眼し、現代への幕開けを語るとても面白い本。「悪女入門」の著者なので、軽やかな文章で読みやすかった。
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今年読んだ新書で一番おもしろい。 マルクスやエンゲルスも19世紀だが、ちょうどその時代も前史として扱われている。おかげで、「命がけの飛躍」とか、価値形態論が腑に落ちた。 勉強会でも扱った。
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再読。懐かしく読む。しかし、講談社現代新書のカバーが変わったのは残念。味も素っ気もない、気がします。 資本主義が発達するには、必要の経済から欲望の経済への転換(使用価値から交換価値へとも)があると言われる。その起爆剤となったものが、デパート。 当時の売り方から、変革を行い、顧客を消費者へと変化させていく様子は、とてもダイナミック。歴史が変わる瞬間が感じられるよう。
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