イスラーム文化 の商品レビュー
イスラム教研究の第一人者の講演をまとめた本。 シーア派は内面を重視する教派だということや、 啓典の民は人頭税を払えば改宗せずに済んだが、 改宗されてしまうと税金を払ってもらえなくなるので、 むしろ改宗して欲しくなかった等の事情も分かり、 私のようなイスラム教を全く知らない人間で...
イスラム教研究の第一人者の講演をまとめた本。 シーア派は内面を重視する教派だということや、 啓典の民は人頭税を払えば改宗せずに済んだが、 改宗されてしまうと税金を払ってもらえなくなるので、 むしろ改宗して欲しくなかった等の事情も分かり、 私のようなイスラム教を全く知らない人間でも イスラム教をわかったような気になれる。 佐藤優はキリスト教をいいかげんな宗教と評したが、 イスラム教は神と人間を区別したきっちりした宗教なのだな。
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前期コーラン・後期コーランそれぞれから アラブ的イスラムとペルシア的イスラムが分流しているのが良く分かった。 日本にいると同じイスラムでしょと思うが、 経典は同じで実質の別宗教のような印象を受ける。 特にスーフィズムなどは。 スンニ派にとってはイスラム法という聖俗を廃した厳格な...
前期コーラン・後期コーランそれぞれから アラブ的イスラムとペルシア的イスラムが分流しているのが良く分かった。 日本にいると同じイスラムでしょと思うが、 経典は同じで実質の別宗教のような印象を受ける。 特にスーフィズムなどは。 スンニ派にとってはイスラム法という聖俗を廃した厳格な規律がよく帝国を支え、 共同体形成のニーズに対して上手に応えてきたのであろうことを推測できる。 また、それが当時と異なる現在の国際情勢と摩擦を引き起こす一端となっていることも推測できる。 またシーア派にとっては現世が神の国でない以上、 より現世においては極端な思想と行動を促しやすいことも推測できる。 イスラムへの理解が深まる講演内容だった。
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タイトルの通り、イスラーム文化の根底にあるものを解説した本で、イスラームの入門書として非常に良著です。2012年末に34刷まで行っているのも頷けます。 イスラーム文化とは、著者の言葉を引用すると次のとおりです。 『第一にシャリーア、宗教法に全面的に依拠するスンニー派の共同体的イ...
タイトルの通り、イスラーム文化の根底にあるものを解説した本で、イスラームの入門書として非常に良著です。2012年末に34刷まで行っているのも頷けます。 イスラーム文化とは、著者の言葉を引用すると次のとおりです。 『第一にシャリーア、宗教法に全面的に依拠するスンニー派の共同体的イスラーム、第二に、イマームによって解釈され、イマームによって体現された形でのハキーカに基くシーア的イスラーム、そして第三に、ハキーカそのものから発出する光の照射のうちに成立するスーフィズム、(略)。 (略)このような相対立する三つのエネルギーのあいだに醸し出される内的緊張を含んだダイナミックで多層的な文化、それがイスラーム文化なのだ、(略)。』
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再読。一般の聴衆相手の講演をまとめたイスラム文化を理解するにおいて最良の入門書。イスラム文化は砂漠の文化として簡単に類型化できるものでなくヘレニズム的異文化の網の目の中で生まれた国際的文化を起源とし、コーランもまた商業専門語の表現に満ちている。神との関係はキリスト的父子関係を否定...
再読。一般の聴衆相手の講演をまとめたイスラム文化を理解するにおいて最良の入門書。イスラム文化は砂漠の文化として簡単に類型化できるものでなくヘレニズム的異文化の網の目の中で生まれた国際的文化を起源とし、コーランもまた商業専門語の表現に満ちている。神との関係はキリスト的父子関係を否定し主従関係的であるが、そもそもイスラムという言葉自体が「絶対帰依」の意味を持つが為。因果律を認めず、時間に対する非連続的存在感は興味深い。封印された聖典解釈の扉を開くことで、イスラムのルネサンスは果たされるとの指摘は現実となるか。
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イスラームの根源的なところを知ることができる。同じイスラームのなかにある、スンニ派、シーア派そしてスーフィズムの対極的な思想がどのように成立し、今に至るのかということを理解することに一助してくれる。また、現在のアラブの抱える問題を理解するうえでも、重要な書物であると思う。
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イスラム学の泰斗井筒俊彦が石坂記念財団で三回に渡り行ったイスラム文化に関する講演をまとめたもの。イスラムとは、シーア派とスンニ派、スーフィズムetc,恐ろしく深く、そして恐ろしくわかりやすい。
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読みやすかった。 土地の色ってのは、簡単に変わらないものなのかね。 外からでないと、その色は見えづらいのかもしれない。 ここ100年で、日本の色は変わったのだろうと思えるけど、どうなのだろう?と余計なことを考えました。
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イスラムについてほとんど無知な当方にとっては良い入門書という感じ。 あらゆる事象がコーランから導かれるのであって、例えば政教分離などあり得ないということが簡潔かつ論理的に説明されている。 確かにここには一つの帰着があり、ヨーロッパ的思考とは相容れない。 でも古今東西、やっぱり行き...
イスラムについてほとんど無知な当方にとっては良い入門書という感じ。 あらゆる事象がコーランから導かれるのであって、例えば政教分離などあり得ないということが簡潔かつ論理的に説明されている。 確かにここには一つの帰着があり、ヨーロッパ的思考とは相容れない。 でも古今東西、やっぱり行きつくところは経済というか懐。 究極のところこの点を巡り、完全に現在社会を牛耳る資本主義との間で激しい摩擦が起きるのは自明の理ということがよく分かりますな。
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イスラームに詳しい学者さんが財界からの依頼で公演した内容を、活字にした本。 イスラームについて何も知らなかったので、とても勉強になった。 エキスを抽出して書き出したような本なので、一番初めに読むにはちょうどいいと思う。 異文化を知るのはとても面白いが、本を読んだだけでは少し想...
イスラームに詳しい学者さんが財界からの依頼で公演した内容を、活字にした本。 イスラームについて何も知らなかったので、とても勉強になった。 エキスを抽出して書き出したような本なので、一番初めに読むにはちょうどいいと思う。 異文化を知るのはとても面白いが、本を読んだだけでは少し想像ができるようになるのみだ。 人々は本気で神を信じているのか、信じていることにしているだけなのか、それは一部の敬虔な教徒だけなのか、それとも広く一般的なことなのか、本当のところが分からない。 宗教に熱心になることがまず理解出来ないので、私には難しい…。
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イスラム教の宗派に対する印象が変わった。スンニ派は宗教法が宗教そのものであるとみなし、宗教的繋がりを持つ共同体によって現世をよくしようと考えること、シーア派はコーランの裏に内面的意味があるとして、それを解釈するイマームを神的人間ととらえること。ただ、多数派と少数派と簡単に分けられ...
イスラム教の宗派に対する印象が変わった。スンニ派は宗教法が宗教そのものであるとみなし、宗教的繋がりを持つ共同体によって現世をよくしようと考えること、シーア派はコーランの裏に内面的意味があるとして、それを解釈するイマームを神的人間ととらえること。ただ、多数派と少数派と簡単に分けられてしまう両派の感覚的な違いもよくわかった。
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