イスラーム文化 の商品レビュー
イスラームについての…
イスラームについての最良の入門書。最近話題の中心にあるイスラームについて、日本人はほとんどその実体を知らない。それにイスラームについて書かれた本も表面的な部分を捉えるだけのものが多く、より深いところからそれを理解しようとしたものは少ない。本書は、日本におけるイスラーム思想の研究の...
イスラームについての最良の入門書。最近話題の中心にあるイスラームについて、日本人はほとんどその実体を知らない。それにイスラームについて書かれた本も表面的な部分を捉えるだけのものが多く、より深いところからそれを理解しようとしたものは少ない。本書は、日本におけるイスラーム思想の研究の基礎を作り上げた大家によるもので、表面的な解説よりも、思想構造からイスラーム文化を描き出している。
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テロや紛争などで話題…
テロや紛争などで話題に登場するイスラム世界。 その重要なファクターである宗教や文化を勉強できます!!!
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高校の世界史の授業で…
高校の世界史の授業でイスラム教はユダヤ教やキリスト教と同じ神を信仰していること、イスラム社会にあっては他宗教も許容されていて比較的寛容な社会だったと習った記憶がある。しかしニュースなどで接するイスラム教には大分違うイメージを持っていた。従って記憶は本当に正しい記憶なのか、ずっと不...
高校の世界史の授業でイスラム教はユダヤ教やキリスト教と同じ神を信仰していること、イスラム社会にあっては他宗教も許容されていて比較的寛容な社会だったと習った記憶がある。しかしニュースなどで接するイスラム教には大分違うイメージを持っていた。従って記憶は本当に正しい記憶なのか、ずっと不安に思っていた。その不安を払拭してくれたのが本書である。それだけではない。ムハンマドが目指したもの、コーラン、イスラム教の基本的なものの考え方、イスラム教における代表的な宗派そういったものの全体的な概念を本書は与えてくれた。なかな
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1. イスラームの時局的意義 - 日本人がイスラームについて真剣に考える必要性が高まっている。 - 近年の国際情勢(オイルショック、イラン革命、イラン・イラク戦争)によって、イスラームが日本人の生活に深く関わるようになった。 - 中近東における出来事は、日本の政治、外交、経済に直...
1. イスラームの時局的意義 - 日本人がイスラームについて真剣に考える必要性が高まっている。 - 近年の国際情勢(オイルショック、イラン革命、イラン・イラク戦争)によって、イスラームが日本人の生活に深く関わるようになった。 - 中近東における出来事は、日本の政治、外交、経済に直接的な影響を与えている。 2. イスラーム文化の基本的理解 - イスラーム文化は単なる宗教ではなく、政治や経済の重要な要素としても機能する。 - イスラームは、宗教的な基盤の上に特有の文化的構造を持つ。 3. イスラーム文化の国際性 - イスラームは広範な地域に広がり、サラセン帝国などの歴史的背景を持つ。 - 中東だけでなく、アジアや北アフリカ、スペインにも影響を与えている。 4. イスラームの宗教的特徴 - イスラームは信仰体系として、コーランを中心に成り立っている。 - コーランは神の啓示としての唯一無二の聖典であり、すべてのイスラーム文化の原点となっている。 5. イスラーム共同体(ウンマ)の概念 - イスラーム教徒は、自らを一つの共同体(ウンマ)として認識し、強い連帯感を持つ。 - 毎年のメッカ巡礼は、共同体の一体感を象徴する重要な行事である。 6. 異端と共同体の統一性 - イスラームの歴史には、異端を排除するための強力な制約が存在する。 - イスラームの共同体の統一性は、コーランの解釈に基づいて維持されている。 7. イスラーム法とその解釈 - イスラーム法(シャリーア)は、コーランとハディースに基づいた法律体系である。 - 法的解釈の自由が制限されており、固定的な法体系が構築されている。 8. イスラーム文化の多様性 - イスラーム文化はサンニー派とシーア派などの多様な側面を持ち、それぞれが異なる解釈を行っている。 - これらの異なる解釈は、イスラーム文化の内面的な対立を生む要因となっている。 9. スーフィズムと内面的宗教 - スーフィズムは、内面的な宗教体験を重視し、形式的な宗教実践に対して批判的である。 - スーフィーは現世を否定し、内面的な神との結びつきを追求する傾向がある。 10. 結論 - 日本人はイスラーム文化を理解し、時局的な関心を超えてその根源を探求することが重要である。 - イスラーム文化は、歴史的、社会的、政治的に重要な役割を果たしているため、深い理解が求められる。
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めっちゃくっちゃ分かりやすかった! イスラームにおいて『コーラン』ってものがどれほど重要のものかわかったし イスラームの考え方とか、世界観 宗教がどれほど生活に密着してるか分かった
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イスラーム文化という壮大なテーマを、わずか1時間×3回に凝縮して語られた講演録である。書籍化するにあたって加筆修正もされているようであるが、もともと話し言葉で語られたものであるだけに、とてもわかりやすく、私は行間からいくつもの絵や図を想起した。 本書では、クルアーンやハディース...
イスラーム文化という壮大なテーマを、わずか1時間×3回に凝縮して語られた講演録である。書籍化するにあたって加筆修正もされているようであるが、もともと話し言葉で語られたものであるだけに、とてもわかりやすく、私は行間からいくつもの絵や図を想起した。 本書では、クルアーンやハディースなど聖典をめぐる問題、神と個人との関係から始まり、シャリーアといった法や倫理をめぐる問題、シーア派とスンニ派、イマームやスーフィズムに至るまで多岐にわたるテーマが出てくるが、それが紀元610年~622年のメッカ期と、622年~ムハンマドが亡くなる632年までのメディナ期という性格の異なる2つの時代にきれいに整理・収斂させてあり、これが分かりやすさを一層促している。他方で、わかりやすいから表面的説明に終始しているかと言えばそうではなく、第2章から第3章、特に第3章の「内面への道」では、イマーム、スーフィーというテーマを扱いながら、イスラームの持つ深い内面世界を端的に解説している。 さて、本書を読んで気になった点を少し残しておこう。 本書では、イスラームには業(カルマ)の概念がなく、輪廻転生を否定していると書かれている。つまり、私たちの生は1回きりであり、それゆえにこの世(今生)での生が重要なのであると。ここを読んだ時、私は「自爆テロ」ということを考えた。輪廻転生は無く、人生はここ1回きりと考えて疑わないムスリムの人々が、体に爆弾を巻きつけ「アッラーフ・アクバル!」と叫んで体当たりをしていく時、頭から灯油をかけて焼身自殺を図る時、彼らは何を思うのか。1回きりの人生と知りながら、それでもなお自爆テロや焼身自殺に走らなければならない、止むに止まれぬ彼らが置かれた状況とはどのようなものか。彼らの心理的状況とはいかなるものか。新聞やテレビに出る小さな記事をそこまで読まなければ、「自爆テロ」というニュースの意味は理解できないだろうと思われた。 本書の最後では、イスラームはアジアの西端を占めるダイナミックな多層文化であり、それこそがまさにイスラームなのだと説かれている。その上で、日本はこれまでイスラームに対してあまりにも冷淡・無関心でありすぎたとして、アジアの東端に位置する国として、イスラームに対する日本的理解の生成を呼びかけている。本書の講演が行われたのは昭和56年春というから既に40年ほど年月が経っており、社会は「グローバル化」という号令とともに、40年前よりはいささか緊密化してきたことは事実であろう。この間、湾岸戦争や9.11、アフガン戦争、イラク戦争、邦人人質事件、パレスチナに対するイスラエルのジェノサイドに対する国際世論の広がり、原油の高騰などがあって、我が国も中東に目を向ける(あるいは目を向けざるを得ない)ようになってきてはいるが、しかし戦争や紛争、物資の供給という点を除いて、文化としてのイスラームを私たちが理解しようとしているか、それが身近になっているかというと、大手を振ってYES!とは言い難いだろう。アジアの東西を占める我ら、と言っても、言葉も違い、文字も違い、文章を書く方向も(アラビア語は右から左へ書くのだ)、人種も民族も、宗教も、食べるものも、これまでの歴史も、物の考え方もあらゆるものが異なるけれど、両者で何らかの文化的プロジェクトが生まれればとっても面白いことになるんじゃないかと思っている。 取り止めのない話になってきたが、イスラームを知りたい人、ちょっと気になっている人には格好の入門書である。またイスラームを知る人も、わかりやすくイスラームを整理し理解するには最適な1冊である。時を経て再読したい。
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予備知識が無かったが読みやすかった。もちろん専門用語は多いし哲学の話も入ってくるが、都度必要なだけ説明があったのが良かった。 『脱常識の社会学』に引き続き、講演を書籍化したものは良著が多いなというイメージ。
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図書館で借りた。 イスラム学者が書く、イスラーム文化とはを文庫で短くまとめた本。イスラム教と簡単に言うが、それはどんな世界観なのかを学べる。講演を聞く感覚で通勤時に読み終えた。 私にとってはある程度他の本などでイスラムに関する知識の下積みは得ていたつもり、その上で深掘り・深みを得...
図書館で借りた。 イスラム学者が書く、イスラーム文化とはを文庫で短くまとめた本。イスラム教と簡単に言うが、それはどんな世界観なのかを学べる。講演を聞く感覚で通勤時に読み終えた。 私にとってはある程度他の本などでイスラムに関する知識の下積みは得ていたつもり、その上で深掘り・深みを得るには丁度良かった感触。満足。 「予言者」と「預言者」の違いはハッとさせられた。 イスラムとムスリムは同じ語源で、語形変化であるというのは知らなかったので驚き。
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一昔前のビジネスマン?向けの公演の内容ということらしい。 堅苦しさはなく、読みやすい。 一宗教としてでなく、文化そのものを包含し吸収と発展を遂げてきたイスラームと、イスラームを育てた中近東について体系的に知ることができる。 イスラームとはなんぞや、という入門にはうってつけの本と言...
一昔前のビジネスマン?向けの公演の内容ということらしい。 堅苦しさはなく、読みやすい。 一宗教としてでなく、文化そのものを包含し吸収と発展を遂げてきたイスラームと、イスラームを育てた中近東について体系的に知ることができる。 イスラームとはなんぞや、という入門にはうってつけの本と言えるだろう。 詳しいことは他の本を読む必要があるが、読みやすさと幅広さをして良書と言える。
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イスラーム文化を、真にイスラーム的ならしめているものとは何か。今や世界動向を左右するほどの力を持つこの宗教の根源に、イスラーム研究の第一人者が迫った書籍。 イスラームは、アラビアの商人であった預言者ムハンマドが興した宗教で、商業取引における契約の重要性を意識している。すなわち、...
イスラーム文化を、真にイスラーム的ならしめているものとは何か。今や世界動向を左右するほどの力を持つこの宗教の根源に、イスラーム研究の第一人者が迫った書籍。 イスラームは、アラビアの商人であった預言者ムハンマドが興した宗教で、商業取引における契約の重要性を意識している。すなわち、イスラームは商売人の宗教といえる。 神の啓示を受けたムハンマドは、その神の言葉を記録した。それが聖典『コーラン』である。ここに書かれた言葉を解釈するのは人間であり、理解の仕方や解釈は人によって様々だ。この自由性が、イスラーム文化の多様性の源となっている。 イスラームという宗教は、聖と俗の領域を区別しない。神聖な領域のみならず、人間の日常生活のあらゆるところにまで、宗教が関わってくる。この点において、教会と世俗国家とを明確に区分するキリスト教とは大いに異なる。 イスラームの神「アッラー」は、キリスト教の神と同じ人格神である。キリスト教では、神と人との間に親子のような親しさがあるが、アッラーと人との間にそうした親密さはない。神は絶対的権力をもつ支配者で、人間はその奴隷である。 イスラームにおいて、宗教と法は密接に結びついている。善悪は神の意志によって決まり、それは法という形で人間に課される。すなわち、人が正しく行動し、生きるためには、『コーラン』を読み、神の意志を知らなければならない。 イスラーム法は、宗教的儀礼の規則や民法、商法、刑法はもちろんのこと、人々が日常生活においてなすべきこと、なさねばならないことまで細かく規定している。信者は、法を意識することなしに、日常生活を送ることができない。
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