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イスラームの日常世界 の商品レビュー

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32件のお客様レビュー

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勉強になります。イス…

勉強になります。イスラム教に興味のある方はぜひ。

文庫OFF

イスラム教が広がって…

イスラム教が広がっています。イスラム社会を分かりやすく解説。

文庫OFF

2023/10/20

私の周りにもムスリムの方がいる。朝会社で同じエレベータにのり、私とは違う階で降りていくから、同じビルに入居する別の会社である事は解るが、そこは最近伸びているIT企業である。その女性は頭をすっぽりとヒジャブで覆っており、一瞬でムスリムなんだと理解できる。世の中のニュースも最近は不穏...

私の周りにもムスリムの方がいる。朝会社で同じエレベータにのり、私とは違う階で降りていくから、同じビルに入居する別の会社である事は解るが、そこは最近伸びているIT企業である。その女性は頭をすっぽりとヒジャブで覆っており、一瞬でムスリムなんだと理解できる。世の中のニュースも最近は不穏な中東情勢からか、パレスチナの人々がテレビ映像に頻繁に登場してくる。彼らはイスラームであり、敵対するイスラエルは勿論ユダヤ教だ。日本人は何かと宗教に疎く、質問すれば神道でも仏教でもなく無宗教と答える方が多い。だから生活リズムや社会が教えによって動いているイスラームの世界観を斬新なものと感じる。当たり前だがムスリムの人々にとっては、それは宗教というよりも生き方、生活そのものとなっており、寧ろそれが当たり前の価値観である。海外旅行した際にタクシー運転手が目的地でもないところに途中で停車して、お祈りで20分ほど待たされたこともある。急か急かする日本人の私から見れば、客がいるのに、と理解に苦しむことも若い頃にはあった。だがそれも価値観の異なる国に居る事を忘れた、ただの日本人の感覚だったと今は思う。イスラーム人口は増えている。多産を善とする文化や教えもあるだろうが、それだけではなく、あらゆる人種民族を受け入れ、人が持つ生きる権利や平等を自然と実践するムスリムの生き方への憧れもあるのではないかと思う。 本書はそうしたイスラームの生活様式や考え方について書かれている。砂漠をゆったり流れる時間や、砂が風によって流され美しい紋様を描き、今にも白い建物からお香の香りが漂ってくるかの様な描写がされている。気がつくと私も部屋でウードを焚いて寝転びながら読んでいる。 全くの日本人の私には描かれる世界観への憧れはあるが、最近身近に増えてきたムスリムの人々の価値観を知っておきたい、という知的好奇心もある。彼らの世界を受け入れ互いに力を合わせてプロジェクトを進める。そんな日が近々来るに違いない。 テレビ映像で流れる悲惨な戦禍だけでない。本来は平和を愛し、隣人が互いに助け合って生活する社会が世界中に戻ってくる日を待ち望みながら、真っ青な空から突き刺さる様な陽射しが照りつける街並みを想像して本書を閉じた。

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2022/09/09

イスラームについての考えが360度変わった。 勝手に怖いイメージがあったり極端なイメージがあったけれど そうやって印象だけで決めつけたくないと改めて思った。

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2019/08/26

イスラム圏の人々の日常生活や価値観を分かりやすく書いた本。民博で行われるセミナー「文化人類学者・片倉もとこの見たサウジアラビア」に参加する前の予習として読んだ。 イスラム世界における女性の生き方や、労働感、断食の様子などが、著者の体験を元に詳しく書かれている。医学部では約半が女...

イスラム圏の人々の日常生活や価値観を分かりやすく書いた本。民博で行われるセミナー「文化人類学者・片倉もとこの見たサウジアラビア」に参加する前の予習として読んだ。 イスラム世界における女性の生き方や、労働感、断食の様子などが、著者の体験を元に詳しく書かれている。医学部では約半が女性であり、看護師も男性が女性と同じくらい必要とされているのだそうだ。さらに女性専用の銀行まであり、店員も客も全員女性だそうな。本書の出版が1991年となっているが、今はどうなのだろうか。(というか元々本当か?) 欧米的な近代社会とは違った社会のあり方を示し、イスラムに対する偏見へのカウンター情報を発信するのが重要なテーマだと感じたが、少し肯定的に書きすぎているのではないかという印象はある。 登場する人々は善良で高学歴で煩悩の薄そうな人ばかりで顔が見えてこないし、どことなく一昔前に共産圏の国を好意的にレポートした知識人たち文章のようでもある。

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2018/12/12

ムスリム社会の人間観(人と神は区別。人は弱いもの)と 近代西欧社会、日本社会の人間観との比較は 興味深い。近代西欧社会の人間観(人は強いもの)、日本社会の人間観(人と神は区別しない。性善説にたつ) この本を読む前と 後では ムスリム社会の人に対する印象が 全く異なる。ムスリム社...

ムスリム社会の人間観(人と神は区別。人は弱いもの)と 近代西欧社会、日本社会の人間観との比較は 興味深い。近代西欧社会の人間観(人は強いもの)、日本社会の人間観(人と神は区別しない。性善説にたつ) この本を読む前と 後では ムスリム社会の人に対する印象が 全く異なる。ムスリム社会の人にとって、西欧社会より 日本社会の方が 生活しやすい気がする。時間をかけて、日本人の ムスリム社会の人に対する誤解、先入観を 取り払う策は必要だが。 男女隔離、男女平等(女性優遇)の社会とは知らなかった。「男女隔離社会だからこそ、女性の実力が発揮され、社会進出が促される」とは なるほどである。女性専用の銀行、女性専用の公園があるらしい

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2017/11/08
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【215冊目】1990年初頭に第1版が発刊されてから、2010年代になっても版を重ね続けていることから名著と判断。基金のあるような名のある文化人類学者による本だと知るのは購入後のこと。 ◯ 池内恵先生が、イスラームを西欧や近代以降と対峙するイデオロギーとして理解、あるいは利用するため、必要以上に美化している連中がいるとおっしゃっていた。そういう論者に出会ったことがなかったのでいまいちピンとこなかったのだが、この本を読んで「なるほど」と思った。資本主義でも社会主義でもない、第三の軸としてのイスラームの解説という面が目立った。 ◯ それなのに、エコ・フレンドリーであるとか、女性の活躍だとか、特に昨今の日本を始めとする欧米諸国の価値観がイスラーム社会では生きているというような論調が垣間見え、結局評価基準は西欧的価値観に拠って立ってしまうのね、とも思ってしまった。 ◯ スンニ派とシーア派という重要な区別を、意図的に無視しているように思える。例えば、サラートとドゥアーの違いを説明する一節。 ◯ とまぁ、イスラム原理主義の時代を経て、日本でもイスラーム社会の研究が進んだ現在からは本書を様々批判することが可能ではあるものの、イスラーム社会に生きる人々の(ある種理想形の)価値観を提示することに成功している本書は、イスラームと向き合うためには一読しておきたい名著だとは思う。 ◯ あと、イスラーム社会は三層構造から成るという指摘はハッとさせられる。表層(第一層)の西欧近代社会の価値観。基底(第三層)には現地の土着社会。その間(第二層)にイスラーム文化が広がっている、と。

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2017/02/15
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筆者が留学やフィールドワークで見聞きした等身大のムスリムを書いていて、とても興味深い。西欧社会(人間性強説)や日本社会(人間性善説)とイスラム社会(人間性弱説)の基本的な考え方の違いを比較説明している部分も分かり易いし、クルアーンのどういう言葉がムスリムの日常生活にどのように表れているか、といった解説もとても面白かった。 ムスリムの基本的な考え方や生活(最大公約数的なものではあるが)を理解するのに非常に良い本だと思う。

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2017/01/22
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1991年刊。著者は中央大学教授。◆些かイスラム贔屓が過ぎる気がしないではないが、日常生活、社会生活、政治等全般に影響するイスラムの特徴を検討するのは新書としては高評価だろう。◇人間性弱説(欲望や誘惑に人間は弱い)。礼拝重視のため意外と清潔保持の文化あり。貧者・弱者・無業者にも暖かな目線(喜捨。なお富者から施しは義務的で、受取側が畏まらない)。現生利益をアッラーに求める祈りはサラー(礼拝)と別途に存在。意外と楽しいラマダン。厳格な男女の別は、逆に女子高大と同様のノリを生む。出席者女子限定の結婚披露宴。 これには去勢者だけは男性でも参加可。等といった思わぬ素顔が垣間見える。◆ところで、清水芳見氏著の「アラブ・ムスリムの日常生活―ヨルダン村落滞在記 (講談社現代新書)」よりは、内容から導き出される帰結を一般化しようとしている気がする。もっとも、どちらにも一長があることは間違いないし、余りそういうことに頓着しないでも楽しめる書なのは間違いない。

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2016/05/22

ムスリムのダンナを持つ日本人主婦が、イスラームの日常生活で体験したことを面白おかしく書いているのだろうくらいの気持ちで手に取った。 おっとドッコイ、下手なイスラム教解説書より余程中身が濃くて驚かされる。 それもそのはず、著者は文化人類学の大御所で、社会地理学と民俗学の権威であ...

ムスリムのダンナを持つ日本人主婦が、イスラームの日常生活で体験したことを面白おかしく書いているのだろうくらいの気持ちで手に取った。 おっとドッコイ、下手なイスラム教解説書より余程中身が濃くて驚かされる。 それもそのはず、著者は文化人類学の大御所で、社会地理学と民俗学の権威であった。 彼女が留学で、あるいはフィールドワークで体験したことを書いているのだが、取り上げたトピックのそれぞれがイスラム教の本質と深いつながりを持っていて感心させられる。 ぼくが常々イスラム教に対して持っていた疑問点の多くが、この本によって解決された。 もう四半世紀も前に書かれた本であるけれど、現在のイスラム社会を理解するのになんら遜色はない。 薄い新書だと思って侮ってはいけない。 イスラムに興味を持つ人必読の書である。

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