死に急ぐ鯨たち の商品レビュー
面白い。の一言に尽きます。 これは小説ではありません。論文、エッセイ、インタビュー、写真が詰まった評論集です。 四部構成で、?と?の一部だけ対話編です。 ?は難しい・・・。?は易しい文章で、非常に読み易かったです。 特に「タバコをやめる方法」。私は喫煙者ではありませんが、何だ...
面白い。の一言に尽きます。 これは小説ではありません。論文、エッセイ、インタビュー、写真が詰まった評論集です。 四部構成で、?と?の一部だけ対話編です。 ?は難しい・・・。?は易しい文章で、非常に読み易かったです。 特に「タバコをやめる方法」。私は喫煙者ではありませんが、何だか目に鱗。 そういえばタバコって習慣化するくせに禁断症状ないですよね。 「習慣化するにつれて本数が増えることはあっても、より刺激の強い銘柄に変更することはめったにない」し、「一時間ごとに最低一本吸わずにいられない常習者でも、熟睡中に目を覚してタバコに手をのばすことはまずない」ですよね。 「それは薬物を吸っているのではなく、時間を吸っているらしい」。 非常に面白い見方です。 対話編は、ちょうどこの本が作成されたのが「方舟さくら丸」の執筆時だったらしく、方舟さくら丸の解説になってます。 非常に有り難い。もう一度読み返したくなってきます・・・!最近読んだばっかりなのに。さくら丸はカドがある登場人物があまり出てこないし、主人公の「もぐら」(「豚」)は親しみが持てて結構好きです。 でも、「作者の解説を必要とする類の読者は、いずれよき読者ではありえない」だそうです・・・orzズーンww 安部公房は、書いた作品を自分であまり読み返さないらしいです。 かっこいいです。 本人が撮った写真が5枚ほど収録されていますが、全部ゴミの写真です。 そういえば「笑う月」で、ゴミに惹かれるって書いていたのを思い出しました。 単なる汚いものには見えないのが不思議です。ゴミの写真は安部公房の世界に不思議とマッチします。 表題となっている「死に急ぐ鯨たち」のエッセイは、非常に解り易くて、安部公房の考え方がよく解ります。 スプーン曲げの少年の話は結局書かれなかったのかな。すごくおもしろそうなんだけどな。 これは手元に置いておきたい本ですね。なんで絶版になっちゃったの〜 ちなみに解説は養老孟司でした。
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ガキの頃に読んだエッセイ。難しかったかな。でも彼の先見性の鋭さと思想には今でも自分の根本となすところになっている。 僕バイブルの1冊。
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安部氏の論文、エッセイ、インタビューで構成された本。安部氏のインタビューが掲載されている点で非常に貴重であり、小説や戯曲の執筆が中心の氏の思想や世界観を読むことができる数少ない書物である。私にとって是非とも手に入れておきたい書物No1であった。 とりわけ?の「シャーマンは祖国...
安部氏の論文、エッセイ、インタビューで構成された本。安部氏のインタビューが掲載されている点で非常に貴重であり、小説や戯曲の執筆が中心の氏の思想や世界観を読むことができる数少ない書物である。私にとって是非とも手に入れておきたい書物No1であった。 とりわけ?の「シャーマンは祖国を歌う 儀式・言語・国家、そしてDNA」は秀逸で刺激的な文章である。科学技術と人間の文明の関係を考え、そしてそれを解く鍵として「ことば」に注目し、ロシアの大脳生理学者I・パブロフ、オーストリーの動物行動学者K・ローレンツ、アメリカの言語学者N・チョムスキー、という3人の「ことば」の先駆的研究者を引き合いに出して、人間にとって「ことば」とは何なのかということを考察している。最終的には「分化」と「集団化」という「ことば」の二つの機能をとりあげ、人間にとっての儀式の意味、国家儀式の肥大とテレビの関係、さらにはそれらをふまえた新しい教育のありかたまで考察している。すでに1959年の「第四間氷期」という小説で、地球環境の変化による海面上昇やコンピュータを用いた(当時はコンピュータが実用化されるとは誰も思っていなかった)未来予測、遺伝子組み換え技術によって生まれたエラをはやした水棲人間、といった今日でもまったく見劣りすることのない卓抜なモチーフをとりあげた氏ならではの鋭い評論である。この「シャーマンは祖国を歌う 儀式・言語・国家、そしてDNA」は、この本の中でも特に文章が難解で、実のところ一回読んだだけではしっくりこなかったのだが、今は手元にあるので繰り返し読んでみようと思っている。 他の章も、鯨の集団自殺や、日本人の右脳閉塞、世界全体のナショナリズム傾向などなど、昭和61年にここまで世界を見通していた人が他にいたであろうか、と思わせるものばかりである。私のおススメは「タバコをやめる方法」。タバコをやめたいと思っている方はこれだけでも読んでみてほしい。氏の言う方法のただひとつの欠点は、あまり簡単に禁煙ができるのでまたすぐに吸いはじめてしまうこと、だとか。 私はノーベル賞作家エリアス・カネッティのことをこの本で始めて知ったので、近いうちに読んでみようと思っている。というか、ノーベル賞作家の本はひととおり読む必要があると思った。
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明晰な頭脳、鋭い視点で書かれた、安部公房の評論集。 いまの新潮社の社風にそぐわないため、現在、絶版状態にあります。
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インタビューやら、エッセイやらがまとめられてあってですな、 脳がちっさなあたくしでも楽しく拝読できた1冊です。 これで、ガルシア・マルケスって方のご本を拝読することに決定。
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