異人たちとの夏 の商品レビュー
アンドリュー・ヘイ監督の映画『異人たち』(2023年)を観てとても好きだったので原作を調べたら日本の作家さんの小説だったのですぐに入手して読んだ。設定は異なるけれど主人公の孤独さやアパートや街の妙な静かさ、両親と再会する戸惑いと温かさ、切なさは共通していた。描かれている妙とも思え...
アンドリュー・ヘイ監督の映画『異人たち』(2023年)を観てとても好きだったので原作を調べたら日本の作家さんの小説だったのですぐに入手して読んだ。設定は異なるけれど主人公の孤独さやアパートや街の妙な静かさ、両親と再会する戸惑いと温かさ、切なさは共通していた。描かれている妙とも思える世界がとても好きで時間を忘れて読み耽った。終盤は2023年の映画版に比べると和製ホラーだったけれど、そこも好きだった。はー、好きなところが多くて満たされた。
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アンドリュー・ヘイ監督によるリメイクである『異人たち』がとても良かったので、原作も手にとってみた。 原作は1987年発行された山田太一による『異人たちとの夏』 読む前は『異人たち』と比べたら、1987年発行の本書は古臭いんじゃないかって訝っていたが、まったくそんなことはなかった。...
アンドリュー・ヘイ監督によるリメイクである『異人たち』がとても良かったので、原作も手にとってみた。 原作は1987年発行された山田太一による『異人たちとの夏』 読む前は『異人たち』と比べたら、1987年発行の本書は古臭いんじゃないかって訝っていたが、まったくそんなことはなかった。 もういない思い出のなかの両親と出会うという物語から、誰がいつ読んでもノスタルジーと普遍的な面白さがある作品だと感じた。
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作者の職業柄だと思うけど、最後に一波乱あるところが、テレビドラマ的なつくり。 傷ついた中年男性が、夢か幻かわからないけれど死に別れた両親と交流する描写は、切ないような温かいような感じで良かった。
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読み始めると、吸い込まれたように、時間を忘れ読み終えてしまった。読みやすい、怖そうで怖くない、共感できる終わり方がいい。
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亡き父母と過ごす時間の「甘さ」がとても心地よく、ページをめくりながら、いつかは離れるときがくること、そのときが刻一刻と近づいていることを感じて涙が溢れた。父母と別れるとき、父母の痕跡が残るものを持って帰ろうとして口の付いた箸を選ぶ主人公の行動も、衛生的なことを気にしない小さな子どものようでいて、いちばん父母に近そうなものを選ぶ、とても共感できるものだった。 恋人や友人がいるとして、彼らがそばにいてくれるのは、私のある点を好ましいと思うからである。寂しい話だが、私といることを不快に感じ、また、私に価値がないと思うならば、きっと離れてしまう。見返りのない愛を無条件でくれるのは父母だけなんじゃないだろうか。そのような愛をくれる存在があるというだけで、人の人生にどれほどの価値が生まれるだろうか。測り知れないほどである。
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映画『異人たち』鑑賞記念読書。最初の映画化作品を先に観ていた。 人生に迷う主人公の前に現れた「異人」たちとの交流。ノスタルジーとエロスに満ちた雰囲気の中、後者の色合いが強く感じるのは主人公が別れた家族にやや執着していることを感じるからか。喪失を愛で補い、愛された記憶を思い出すこと...
映画『異人たち』鑑賞記念読書。最初の映画化作品を先に観ていた。 人生に迷う主人公の前に現れた「異人」たちとの交流。ノスタルジーとエロスに満ちた雰囲気の中、後者の色合いが強く感じるのは主人公が別れた家族にやや執着していることを感じるからか。喪失を愛で補い、愛された記憶を思い出すことで人は孤独を受け入れ、それでも生きて愛そうとしていけるのかもしれない。映像化作品を先に観て読むと、それぞれの原作の解釈とリスペクトのあり方が面白く感じられる。
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現代のロンドンを舞台に同作が映画化されたとのニュースを見て、読み始めました。 離婚して妻にも息子にも遠ざけられる中年の主人公が12歳で事故で亡くした当時の若かった両親に再会?、同時に同じマンションに住む胸に傷痕のある若い綺麗な女性と恋に落ちるも、周りの人からは会うたびにやつれてい...
現代のロンドンを舞台に同作が映画化されたとのニュースを見て、読み始めました。 離婚して妻にも息子にも遠ざけられる中年の主人公が12歳で事故で亡くした当時の若かった両親に再会?、同時に同じマンションに住む胸に傷痕のある若い綺麗な女性と恋に落ちるも、周りの人からは会うたびにやつれていくと主人公は言われるが、本人は鏡を見ても気づかない。 怪談めいた話なのに妙に引き込まれ、自分が主人公になった気分で、一気読みの様に読んでしまいました。 幼少期の自分を包み込むように温かい親の愛、自分の存在意義の半分を形成する親の深い存在、そんなことを思い起こすストーリーでした。 脚本家の名手山田太一は人物の描き方、話の運び方がやはり上手いのかなあと感じました。
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「シナリオライターである男が12歳のときに交通事故死した両親に出会う。その両親は自分より若い。男は少年ふたりの元へ通い出す。」 こんなあらすじに惹かれた。また今月リメイク映画(イギリス制作)も公開されるとのことで、読んでみたくなった。 長くないお話だけれど、大満足。面白い。そ...
「シナリオライターである男が12歳のときに交通事故死した両親に出会う。その両親は自分より若い。男は少年ふたりの元へ通い出す。」 こんなあらすじに惹かれた。また今月リメイク映画(イギリス制作)も公開されるとのことで、読んでみたくなった。 長くないお話だけれど、大満足。面白い。そして切なさもあれば、先の見えないミステリー要素もホラー感もある。個人的には切なさが多く占めている。読後感は爽やか。ラストもいい。(田辺聖子さんの書くあとがきも良かった。) 偶然だけれど、良い作品に出会えてよかった。山田太一さんの書いたものを、もっと読みたくなった。 追記 映画の方を観てきました。良い映画でしたが、原作とは異なります。(小説はあくまで原案という感じ。) 小説の方がノスタルジーを感じますし、泣けます(^^)
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映画化されるということで読んでみた。 何となくハートウォーミングなストーリーかなと思いながら読み進めていたところ、最後にやられた。若い恋人とのくだりのために、この作品の流れが大きく変わった。ある意味、衝撃的。
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「異人」との繋がり 箸は持ち帰れたが、履物は残っていなかった 両親とケイが妻と息子(現実)との喪失を埋めてくれたが、 引き戻してくれたのは間宮だった 今の彼を本当に気にかけていたのは間宮だったことに安堵する
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