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ことばの食卓 の商品レビュー

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68件のお客様レビュー

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2021/09/17

食物に関する昔の記憶や思い出を気取らず感性豊かな文章で綴ったエッセイ集。 子どもの頃の雛祭りに風邪で寝込んでいる時におばあさんが運んでくれたお膳、元旦に行った後楽園のサーカスの席で親子が食べていたおでんの匂い、上野の花見での酒盛りのにぎやかな光景とただよってくる様々な匂いなど巧み...

食物に関する昔の記憶や思い出を気取らず感性豊かな文章で綴ったエッセイ集。 子どもの頃の雛祭りに風邪で寝込んでいる時におばあさんが運んでくれたお膳、元旦に行った後楽園のサーカスの席で親子が食べていたおでんの匂い、上野の花見での酒盛りのにぎやかな光景とただよってくる様々な匂いなど巧みな描写で臨場感がある。 特にユーモアが効いて面白かったのは「夏の終り」。娘と一緒にバーゲンに行き、そのビルで昼食にと入ったオムレツ専門店での様子が楽しい。注文したオムレツがまずく、「口の中がげろの味と匂い」と娘が感想を述べ、自分はトイレへ走る。他の客を見ると、女の二人連れは半分残して帰り、はじめは、にこにこしていた職人風グループが途中から元気のない顔になる。最後に出てきたコーヒーだけは「普通のコーヒーの味がした」とだめ押しもされていて、思わず笑いが込み上げた。

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2021/05/22

著者の日常の食にまつわるエピソードをまとめた一冊。時代は幼少期(戦前?)から現代に至るまで幅広いが、常に楽しく和やかだけではない雰囲気と、それを冷静に見つめている著者の視点が一貫していた。そしてどの話にも不思議と懐かしい空気が流れていて世界に引きこまれた。

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2021/03/14

なんとも素朴な視点で綴られているなあ、と。書題に食卓とあり、ほぼ全編何かしら食べ物は登場するも取り立ててそれを軸に書いているでもなく、生きる上で避けがたい食物を当たり前のものとして視線の端に捉えつつ、それのあるあるがままの常を述懐している。暖かくも寒くもないけれど陽射しは感じる縁...

なんとも素朴な視点で綴られているなあ、と。書題に食卓とあり、ほぼ全編何かしら食べ物は登場するも取り立ててそれを軸に書いているでもなく、生きる上で避けがたい食物を当たり前のものとして視線の端に捉えつつ、それのあるあるがままの常を述懐している。暖かくも寒くもないけれど陽射しは感じる縁側にいる気分で眺めたエッセイ。

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2020/04/10

ほのぼの読めるものと、ひりひりとしたりじっとりとしたりするものと様々でしたか、好きです。 気持ちの切り取り方が素敵。 一番好きなのは「花の下」。なんだか幻想小説みたいな味わいで良いです。 画もとても好きです。線画。なのかな?不安になってくるスタイリッシュさ。 文と画と、良い空気で...

ほのぼの読めるものと、ひりひりとしたりじっとりとしたりするものと様々でしたか、好きです。 気持ちの切り取り方が素敵。 一番好きなのは「花の下」。なんだか幻想小説みたいな味わいで良いです。 画もとても好きです。線画。なのかな?不安になってくるスタイリッシュさ。 文と画と、良い空気でした。

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2020/03/08

2020.3 文章ってその人となりが出るんだなと思う。背筋が伸びるというか。生活をきちんとしたくなるというか。日常のおもしろさ。

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2019/09/06

食べ物も景色も人間も、ただ美味しそうだったり美しかったり素敵だったり、そういう華奢なエッセイとは真逆の骨太さ。いろんな匂い、臭いが本の中から漂ってくるよう。余計な装飾のない素直な文章、そのゴリゴリした存在感が心の中にしっかり残った。

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2019/05/25

食べ物や幼い頃の謎めいた不可解な出来事、匂いにまつわる記憶を柔らかい古き良い言葉で綴った随筆集。不思議少女のまま生き続けた人の綴る物語。浮遊感に魅了される。

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2019/08/14

子どもの頃に飲まされた牛乳、ロボットを作って遊んだ森永のキャラメルの箱、戦中の日の丸弁当、母親になってから成人した娘といっしょにデパートで食べたまずいオムレツ。死んだ夫の墓参り、死ぬ前の夫と食べたビワ。 ひとりの女性の、それぞれの年代の食べものと思い出が何か語りたそうに並べられて...

子どもの頃に飲まされた牛乳、ロボットを作って遊んだ森永のキャラメルの箱、戦中の日の丸弁当、母親になってから成人した娘といっしょにデパートで食べたまずいオムレツ。死んだ夫の墓参り、死ぬ前の夫と食べたビワ。 ひとりの女性の、それぞれの年代の食べものと思い出が何か語りたそうに並べられている。多感期がまるまる戦争だった1925年生まれの著者。そのことばは、やわらかく、すなおで、読みやすく、トゲがある。女性におすすめ、短編エッセイ集。

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2018/12/11

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2018/10/18

なんとも印象深い随筆。うっとりと読んでしまった。 「ひょっとしたらあのとき、枇杷を食べていたのだけれど、あの人の指と手も食べてしまったのかな」 「天井裏の奥のほうまでうねうねと、どこまでも広がった緋毛氈の上に、どこかだか、その辺りだけ照らす光が射していて、お内裏さまや官女や仕...

なんとも印象深い随筆。うっとりと読んでしまった。 「ひょっとしたらあのとき、枇杷を食べていたのだけれど、あの人の指と手も食べてしまったのかな」 「天井裏の奥のほうまでうねうねと、どこまでも広がった緋毛氈の上に、どこかだか、その辺りだけ照らす光が射していて、お内裏さまや官女や仕丁や五人囃子や高砂のじじばばが、うっすら開けた受け唇を濃く赤く光らせたまま、気絶したようになって、あっちを向いたり、こっちを向いたり、ひっくり返ったりしているのが見えた。」 「大殿から沸き流れてくる歌のようなものは、高音部にかかると、ヒィッと調子の外れた金切り声が混ざる。ー『実にうまく作曲してあるねぇ。おばさんたちって、どんなふうな歌を歌っても、こうなっちゃうところがある。その、こうなっちゃう音階や節回しばかり使って作曲してある』」

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