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道草 の商品レビュー

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15件のお客様レビュー

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夫婦喧嘩を緻密に描き…

夫婦喧嘩を緻密に描きながら、どちらが悪いとも決めず、ただ心の底に蟠る闇を描き出す手際は見事です。

文庫OFF

2024/03/04

入院中に自宅の本棚から供給してもらった。何年か購入してあった著書だ。 本著は純文学にカテゴライズされるだろうか、このジャンルを読むのは久しぶりだ。 本著は私小説としての議論があるようだが、今回は小説として十分に愉しめたとおもう。主人公とその細君の世の中の見方の違いが主人公の独白を...

入院中に自宅の本棚から供給してもらった。何年か購入してあった著書だ。 本著は純文学にカテゴライズされるだろうか、このジャンルを読むのは久しぶりだ。 本著は私小説としての議論があるようだが、今回は小説として十分に愉しめたとおもう。主人公とその細君の世の中の見方の違いが主人公の独白を通じて語られるところがいい。水と油のような性格の違いがある、例えば、娘に対する愛情のあり方にもその性格の違いを細君に語らせている。しかし、小説中で3人目の娘が誕生することから夫婦の関係が破綻的なものではないことがうかがわられる。この時代の夫婦関係なのか、こんな関係も面白い。そして最後に主人公が養父にお金を工面して関係を断ち切る段になっても主人公と細君ではその割り切り方が違いが明らかになっている。どちらがいいということではなく、考え方や気持ちの処理の仕方の対照性がこの作品の醍醐味だ。必要以上の修飾がなく大変読みやすい一冊だった。

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2016/07/09

家庭を持たず、親類関係者も少なめの僕には遠い世界に思えるが、家庭を持つようになればこの様な雁字搦めな状況にも陥るのかもしれないなぁ。

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2015/05/12

漱石のの自伝的小説。時代は猫を描いたあたりのものだと思う。 話の主な題材は金とそれに伴う人間関係が描き出されている。 ストーリーはともかく、漱石作品に頻出するテーマである、金の問題や人間関係の煩わしさの根幹を、(この作品の内容が事実ならば)垣間見ることができたのかなと思われる。...

漱石のの自伝的小説。時代は猫を描いたあたりのものだと思う。 話の主な題材は金とそれに伴う人間関係が描き出されている。 ストーリーはともかく、漱石作品に頻出するテーマである、金の問題や人間関係の煩わしさの根幹を、(この作品の内容が事実ならば)垣間見ることができたのかなと思われる。 ただ話は大して面白くもないので、漱石の溢れんばかりのボキャブラリーと他作品を読むに当たっての補完的な楽しみ方を提供してくれる作品なのかな?と個人的には思っています。笑

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2012/07/04

ずいぶんとお金の話が出てくる。 はっきりと断れない主人公の健三である。 今後もこのままの状態が続いていくのだろう。 「片付いたのは上部だけじゃないか・・」 「世の中に片付くなんてものは殆どありゃしない。・・」 健三は、このまま苦悩しながら今までの生活を続けていくことになるのだろう...

ずいぶんとお金の話が出てくる。 はっきりと断れない主人公の健三である。 今後もこのままの状態が続いていくのだろう。 「片付いたのは上部だけじゃないか・・」 「世の中に片付くなんてものは殆どありゃしない。・・」 健三は、このまま苦悩しながら今までの生活を続けていくことになるのだろう。 悩んで悩んで、なおさら解決の糸口が見つからないまま・・。

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2011/09/22

これは初めて読んだ。作者の自伝的な作品。 せっかくロンドンに留学したのに、帰国したら貧乏になっていた彼の家。 親戚縁者から借金や小遣いをせびりに来られてストレスを感じている。 奥さんともしっくりこないし、けんかをする。 何が面白いか、と言ったら人物描写だ。なかでも元養母が丸い年寄...

これは初めて読んだ。作者の自伝的な作品。 せっかくロンドンに留学したのに、帰国したら貧乏になっていた彼の家。 親戚縁者から借金や小遣いをせびりに来られてストレスを感じている。 奥さんともしっくりこないし、けんかをする。 何が面白いか、と言ったら人物描写だ。なかでも元養母が丸い年寄りになって座布団に座っている様子。 彼女の描写は見事。 喘息持ちのお姉さんの描写も面白い。口やかましくて愛されていないのに、夫に妾がいることに気づかず弟から貰っている小遣いを与えていて、夫孝行と呼ばれている。

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2011/06/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【概要・粗筋】 健三の前に十五、六年前に縁を切った養父・島田が再び姿を現した。第三者を通してまた付き合いを持ちたいと頼まれた健三は、内心では嫌がってはいても、断る理由がないため承諾してしまう。健三は、島田の出現により親族間のゴタゴタに巻き込まれていく。1915年発表の夏目漱石の自伝的小説。 【感想】 神経衰弱で頭でっかちな健三とヒステリックな妻御住のチグハグですれ違い続ける夫婦関係が可笑しい。腹の中ではいろいろ思っているくせにお互いそれを語らず、相手の悪いところばかり見てしまう冷え切った夫婦関係とも云えるのに、子作りはちゃんとしているのがさらに可笑しい。私は家庭喜劇として読んだ。 読者の解釈に影響を与えかねない注釈がちらほらあってかなり余計なお世話。固有名詞や当時の風俗に関する注釈に限定すべき。

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2011/05/23

起承転結の起伏が無いと感じるのに、面白いところがスゴイと思う。 状況が同じ輪の上を回る様に、人間関係も回って何とかならんかなーと感じるのは何時でも同じなんだなぁ。 細君が随分と恰好良い。男尊女卑の時代に、尊敬して欲しいなら尊敬される人格でないと、てのは強くて好き。細君がちょいちょ...

起承転結の起伏が無いと感じるのに、面白いところがスゴイと思う。 状況が同じ輪の上を回る様に、人間関係も回って何とかならんかなーと感じるのは何時でも同じなんだなぁ。 細君が随分と恰好良い。男尊女卑の時代に、尊敬して欲しいなら尊敬される人格でないと、てのは強くて好き。細君がちょいちょい良い味だしてる。

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2011/04/30

自分としては漱石の中で一番わかりやすくて大好き。 そこまで人間関係も複雑ではなく、多分小学生でも読める。 漱石読んだことない人へ第一番に勧める本ではないと思うけど、 読みやすさでは坊っちゃんやこころをはるかに凌ぐ。個人的には。

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2010/12/03

夏目漱石の自伝的作品。 実際に読んだのは、高校生か大学生のころ。 大学教師の健三とその妻お住、かつての養父母島田夫妻などとのやり取り。 個人的にも金やプライベートには何かと苦労した学生時代。 そのためか、記憶に残るのは、稼ぎの少ない健三の苦心、冷めた夫婦仲、親族とのしがらみ、...

夏目漱石の自伝的作品。 実際に読んだのは、高校生か大学生のころ。 大学教師の健三とその妻お住、かつての養父母島田夫妻などとのやり取り。 個人的にも金やプライベートには何かと苦労した学生時代。 そのためか、記憶に残るのは、稼ぎの少ない健三の苦心、冷めた夫婦仲、親族とのしがらみ、などなど・・・。 とにかく、主人公健三の先の見えない不安や焦り、これらを肌身に感じたことを覚えている。 そして、もう一つ、強烈に記憶に残っているのは、江藤淳の「夏目漱石ー決定版」でも引用された、この一節。 「その時細君は別に嬉しい顔もしなかった。しかしもし夫が優しい言葉に添えて、それを渡してくれたなら、きっと嬉しい顔をする事が出来たろうにと思った。健三はまたもし細君が嬉しそうにそれを受取ってくれたら優しい言葉も掛けられたろうにと考えた。」 世の多くの人々は、慎ましくともささやかな幸せを求めるものかと。 だが、この作品を読むとどうしても頭をよぎる、所詮世の中は先立つものがなければ幸福などありえない、という思い。 同時に、もしそのとき最良の相手と思ったとしてもその後も幸福な結婚はありえるのだろうか、という疑問。 そのせいなのかどうか、未だに独り身・・・。 ただ、学生のころから社会に出たいまもずっと、まだどこかにその思いや疑問を抱えているのは確か。 未だ独身なのは、少なからずこの作品の影響だとも思える。

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