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道草 の商品レビュー

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16件のお客様レビュー

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2010/12/03

夏目漱石の自伝的作品。 実際に読んだのは、高校生か大学生のころ。 大学教師の健三とその妻お住、かつての養父母島田夫妻などとのやり取り。 個人的にも金やプライベートには何かと苦労した学生時代。 そのためか、記憶に残るのは、稼ぎの少ない健三の苦心、冷めた夫婦仲、親族とのしがらみ、...

夏目漱石の自伝的作品。 実際に読んだのは、高校生か大学生のころ。 大学教師の健三とその妻お住、かつての養父母島田夫妻などとのやり取り。 個人的にも金やプライベートには何かと苦労した学生時代。 そのためか、記憶に残るのは、稼ぎの少ない健三の苦心、冷めた夫婦仲、親族とのしがらみ、などなど・・・。 とにかく、主人公健三の先の見えない不安や焦り、これらを肌身に感じたことを覚えている。 そして、もう一つ、強烈に記憶に残っているのは、江藤淳の「夏目漱石ー決定版」でも引用された、この一節。 「その時細君は別に嬉しい顔もしなかった。しかしもし夫が優しい言葉に添えて、それを渡してくれたなら、きっと嬉しい顔をする事が出来たろうにと思った。健三はまたもし細君が嬉しそうにそれを受取ってくれたら優しい言葉も掛けられたろうにと考えた。」 世の多くの人々は、慎ましくともささやかな幸せを求めるものかと。 だが、この作品を読むとどうしても頭をよぎる、所詮世の中は先立つものがなければ幸福などありえない、という思い。 同時に、もしそのとき最良の相手と思ったとしてもその後も幸福な結婚はありえるのだろうか、という疑問。 そのせいなのかどうか、未だに独り身・・・。 ただ、学生のころから社会に出たいまもずっと、まだどこかにその思いや疑問を抱えているのは確か。 未だ独身なのは、少なからずこの作品の影響だとも思える。

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2010/11/22

養父・島田をはじめとして金をせびりにくる人たちに、決して裕福ではないのに金を渡してしまう主人公とそれを嫌がる妻。 心では分かっていても、やっぱりどうしようもないときはある。因縁とか、人情とか。そういう闇をしっかりと書きだしていると思う。 夫婦の行き違いや細君のいかにも女らしい物言...

養父・島田をはじめとして金をせびりにくる人たちに、決して裕福ではないのに金を渡してしまう主人公とそれを嫌がる妻。 心では分かっていても、やっぱりどうしようもないときはある。因縁とか、人情とか。そういう闇をしっかりと書きだしていると思う。 夫婦の行き違いや細君のいかにも女らしい物言いは凄くリアルで、現代でもこういうのはよくあるような。変わらないんだなあ。

Posted byブクログ

2010/10/01

白黒つかないと気が落ち着かないのが日本人の気質にある。 だけども世の中には、社会の問題から個人的な問題まで、そうそうにはっきり片付くものは少ない。 その山積した問題を前にした時の心持。 そう、いつもついて回るあの感じ。 無力感と諦めとしばしばの絶望とどこか他人事な、あの具合だ。

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2009/10/04

これを読んでいて、私は自分の将来が不安になってきました^^; お金をある程度稼げる職種につかなければ、将来のたれ死ぬのではないか・・・そんなことばかり考えてしまいます。そういう意味ではやはり今は重要な時期なのかもしれません。よし、勉強しよう^^

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2009/10/04

 すごい迫力を持った作品です。そうだよなあと感心することしきりです。  最後の一文がこの物語の主題を的確に表していると思います。  「世の中に片付くなんてものは殆(ほと)んどありゃしない。一遍起った事は何時までも続くのさ。ただ色々な形に変るから他(ひと)にも自分にも解らなくなるだ...

 すごい迫力を持った作品です。そうだよなあと感心することしきりです。  最後の一文がこの物語の主題を的確に表していると思います。  「世の中に片付くなんてものは殆(ほと)んどありゃしない。一遍起った事は何時までも続くのさ。ただ色々な形に変るから他(ひと)にも自分にも解らなくなるだけの事さ」

Posted byブクログ

2010/03/29

「近頃自我とか自覚とか唱えていくら自分の勝手な真似をしても構わないという符徴に使うようですが、その中にははなはだ怪しいのがたくさんあります。彼らは自分の自我をあくまで尊重するような事を云いながら、他人の自我に至っては毫も認めていないのです。」  (夏目漱石「私の自分主義」より)...

「近頃自我とか自覚とか唱えていくら自分の勝手な真似をしても構わないという符徴に使うようですが、その中にははなはだ怪しいのがたくさんあります。彼らは自分の自我をあくまで尊重するような事を云いながら、他人の自我に至っては毫も認めていないのです。」  (夏目漱石「私の自分主義」より) 「もし人格のないものがむやみに個性を発展しようとすると、他を妨害する、権力を用いようとすると、濫用に流れる、金力を使おうとすれば、社会の腐敗をもたらす。ずいぶん危険な現象を呈するに至るのです。」

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