アラビアンナイトを楽しむために の商品レビュー
阿刀田高著『アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)』(新潮社) 1986.12発行 2024.9.23読了 ササン朝ペルシャのシャーリャル王は、夜ごとに処女を求めて夜伽をさせ、朝が明けると殺すという日々を過ごしていた。ついには、町中から処女がいなくなり、大臣の娘シャーラ...
阿刀田高著『アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)』(新潮社) 1986.12発行 2024.9.23読了 ササン朝ペルシャのシャーリャル王は、夜ごとに処女を求めて夜伽をさせ、朝が明けると殺すという日々を過ごしていた。ついには、町中から処女がいなくなり、大臣の娘シャーラザッドがみずから夜伽の役に立候補する。シャーラザッドは王の枕辺でたぐいまれな物語を語るのだが、その物語のあまりの面白さにシャーリャル王はシャーラザッドを殺すことができず、ついに千夜と一夜目、シャーラザッドは王の悪習を止めさせることに成功する。 以上が千夜一夜物語の大枠であり、有名な「アリババと40人の盗賊」や「アラジンと魔法のランプ」や「シンドバッドの冒険」は、シャーラザッドが語る物語の一つである。 残念ながら、本書では上記の有名な物語の紹介は行われておらず、それ以外の12話が収録されているにすぎない。 本書で阿刀田高も述べているところではあるが、物語自体が熟していないこともあり、冗長で焦点が定まらない部分があって、読んでいて退屈な箇所もあった。阿刀田高にとっても書きづらい内容だったのではなかろうかと推測する。 https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001839131
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今は昔、ササン朝ペルシャはシャーリャル王の御代。大王は夜ごとに処女を求めて夜伽をさせ、朝が明けると殺す、という日々を過ごしていた。そこに現われたのが大臣の娘シャーラザッド。彼女は妹とともに王の寝所におもむき、王の枕辺でたぐいまれな物語を語った…。奇想溢れる千夜一夜の物語を題材に、...
今は昔、ササン朝ペルシャはシャーリャル王の御代。大王は夜ごとに処女を求めて夜伽をさせ、朝が明けると殺す、という日々を過ごしていた。そこに現われたのが大臣の娘シャーラザッド。彼女は妹とともに王の寝所におもむき、王の枕辺でたぐいまれな物語を語った…。奇想溢れる千夜一夜の物語を題材に、さまざまな人間模様を「奇妙な味」で味つけした阿刀田流やさしい古典読本第2弾。 目次 アジブと40人の美女 右手を呪われた男たち 戯れに恋はすまじ シャーラザッドの正体は バグダッドの幽霊屋敷 男と女でどちらが悪い 恋は海に揺れて 紺屋と床屋の物語 絵の中の美姫 待てばカイロの狐つき ハサンの道は破産 人生は運か努力か
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阿刀田高さんが咀嚼してくれたアラビアンナイトを読む。 ありがたい。 もしバートン版のような「現物」を読むとなったら、それを楽しめるかどうか、と言うより読めるかどうか疑問。 ひとつ気になったのは著者が女性の妊娠期間「十月十日」を310日と勘違いしている点でした。 千夜一夜物語の語...
阿刀田高さんが咀嚼してくれたアラビアンナイトを読む。 ありがたい。 もしバートン版のような「現物」を読むとなったら、それを楽しめるかどうか、と言うより読めるかどうか疑問。 ひとつ気になったのは著者が女性の妊娠期間「十月十日」を310日と勘違いしている点でした。 千夜一夜物語の語り手シャーラザットが話を終えるまでに3人の子供を産んだからには「310日x3」で産前産後を除いても最低でも「910日かかる」と書いてあったのです。 これだけ博識の方でもこんな勘違いはあるんだなあ。 著者も度々書いているように千夜一夜物語は話として筋が通った面白いものはあまりないと言う印象を受け、自分が若い頃幼なかった子供達に布団の中で聞かせた思いつきのお話しに近いのかもしれないと思った。 話の結末も考えずに話し始め、子供達の「それで、それで?」に乗せられて突飛でも出まかせでも話を進めると、大体の場合は話が大団円を迎える事なく彼らは寝ついてくれていた。 そんな事を思い出した。 阿刀田高さんの「知っていますか」のシリーズもコーラン、旧約聖書、新約聖書の「さわり」を面白おかしく知る事ができてありがたい。 これらの著書が無ければ一生触れることのない題材だったかもしれないので。
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2021/11/03 読了 有名な千一夜物語。いきなり本物に手を出すのは、と思い阿刀田さんのポップな文庫本から読み始めることに。 絶妙な著者の脚色や話題提供が加わり、ぐいぐい引き込まれて一気に読んでしまった。エピソードは多数あるが、どれも男女の色恋に関わること、また商人に...
2021/11/03 読了 有名な千一夜物語。いきなり本物に手を出すのは、と思い阿刀田さんのポップな文庫本から読み始めることに。 絶妙な著者の脚色や話題提供が加わり、ぐいぐい引き込まれて一気に読んでしまった。エピソードは多数あるが、どれも男女の色恋に関わること、また商人に関わる話が多かったが、それぞれ面白かった。 本当の千一夜物語に手を出す前の入門書として良い。
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アラビアンナイトと千夜一夜物語。 どちらも名称は知っていたけど、中身は???? 同じものだったのね。 概要もわかったし、アラジンもアリババもこの物語のひとつだったんだ。 一つ一つの物語を今の大人が読むと陳腐なものだけど、昔々は人々の心を癒やし、楽しましたのでしょう
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シンドバットやアラジンなどの主要エピソードがなかったのは残念だったが、毎度分かりやすく面白いトーンで概要を解説してくれるので読みやすい。
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大のお気に入り。この本をきっかけに阿刀田先生の古典解説シリーズを片っ端から買い求めるようになった。 エピソードの紹介・引用の仕方が巧みで、本書内で元の物語の起承転結がきちんとわかる上に、シンプルに読み物として面白い。原作の千夜一夜物語に触れたいという気持ちも掻き立ててくれた。 ...
大のお気に入り。この本をきっかけに阿刀田先生の古典解説シリーズを片っ端から買い求めるようになった。 エピソードの紹介・引用の仕方が巧みで、本書内で元の物語の起承転結がきちんとわかる上に、シンプルに読み物として面白い。原作の千夜一夜物語に触れたいという気持ちも掻き立ててくれた。 ともに異性嫌いのカマル・アル・ザマン王子とブドゥル姫の婚姻と冒険のエピソードがとくに面白く、記憶に残った。 百合あり疑似BL要素ありで嗜好に刺さる人は多いのではなかろうか。 珍説と前置きされた上での紹介だが、シャーラザッド(シェヘラザード)男性説も興味深かった。 あえてアラビアンナイト一番の有名どころであるアラジン、シンドバッド、アリババを外して他のエピソードを紹介しているため、ピンポイントでこのあたりに触れたい方はご注意。
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アラビアンナイトに対する知識は、冒頭に奥様が著者の問いに答えたよりも少ない。玉石混交で石が多いとなると、全部に当たらずとも本書で十分な気がする。知っていますかシリーズの旧約・新約聖書を読了直後に本書を読むと、いきなり俗の世界に紛れ込んだ印象。アラーの神がおわすイスラム世界(当時)...
アラビアンナイトに対する知識は、冒頭に奥様が著者の問いに答えたよりも少ない。玉石混交で石が多いとなると、全部に当たらずとも本書で十分な気がする。知っていますかシリーズの旧約・新約聖書を読了直後に本書を読むと、いきなり俗の世界に紛れ込んだ印象。アラーの神がおわすイスラム世界(当時)の、男女の営みに対する自由さが感じられた。
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20160107.Thu 阿刀田高流解説シリーズ。今回は千夜一夜物語から数作。 全体的に風刺に富んではいない。ここはジョナサンスウィフトの『ガリバー旅行記』とは違う。 ディズニーのアラジンを思い浮かべるように、日本にとってアラブは不思議な国、例えば、麝香の香り、ランプの精、ターバ...
20160107.Thu 阿刀田高流解説シリーズ。今回は千夜一夜物語から数作。 全体的に風刺に富んではいない。ここはジョナサンスウィフトの『ガリバー旅行記』とは違う。 ディズニーのアラジンを思い浮かべるように、日本にとってアラブは不思議な国、例えば、麝香の香り、ランプの精、ターバン、不思議な女性像という印象をアラブは感じさせる。 アラビアンナイトもこの例に漏れない。圧倒的に神秘的な世界を描いて、不思議なままで終わることもよくある。想像力を働かせて、批判力を働かせない、本来文学とはこのような側面もあるだろう。むしろ、純粋に物語を楽しむことは意識しないと忘れてしまう。 アラビアンナイトに流れるテーマは、エロスを中心にした人間の様々な欲と、神への加護の話である。人間が生きていく上で、とても身近にあるテーマであり、砂漠や炎天下の悪環境を耐え抜く人間の英知がアラビアンナイトなのかもしれない。
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阿刀田さんが選んだ12編の物語のなかで、自分がシャーリャル王だったら殺してしまいそうな面白くない話もあるが、きっと夜伽プラスお楽しみがセットになっていた千夜一夜なので仕方がない。 現代人にも読みやすいようにまとめるのは大変な仕事とはいえ、最後まで読ませるのはやはりプロです。
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