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二つの祖国(上) の商品レビュー

4.4

47件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

    4

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2012/01/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アメリカと日本。 そのふたつを祖国とする日系アメリカ人達が 太平洋戦争を通じて体験した凄まじい葛藤と苦悩。 日本からもアメリカからも冷たく惨い仕打ちを受け、 それでも己の信じる正義を貫こうとする主人公。 日本人の狡さと卑劣さとアメリカ人の身勝手と残虐さが 容赦なく日系人を襲い、アメリカに残れば財産を奪われて 強制収容所へ。日本に戻れば裏切り者の誹りを受けて 白眼視される。 自らの国への忠誠を示すためには最前線に出向いて 命を賭して戦うしかない状況に追い込まれていく。 戦争がもたらす数々の悲劇の中でもひときわ悲惨な物語であった。

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2011/12/30

日本とアメリカ、ふたつの国籍をもつ自分がどちらの国を選ぶのか… 今とは違う、軍国主義の時代の葛藤は想像を超えるものであろう…。 そこまで正直に突き通さなくても…と切なくなるような真っ直ぐな人たちに自分を反省しながら読んでいます。 →その後… すっかり戦時中戦後の小説にはまって...

日本とアメリカ、ふたつの国籍をもつ自分がどちらの国を選ぶのか… 今とは違う、軍国主義の時代の葛藤は想像を超えるものであろう…。 そこまで正直に突き通さなくても…と切なくなるような真っ直ぐな人たちに自分を反省しながら読んでいます。 →その後… すっかり戦時中戦後の小説にはまってしまいました。

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2011/05/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どこからどこまでが引用で、どこからどこまでが参考資料なのか、 これを果たして小説と呼べるのか。 そんな論争はひとまず横においておき、 とにかくこんなに苦しいテーマから目を背けることなく、 描ききったことに対して、圧倒された。 軽い気持ちで読み始めたら、とても途中で本を伏せることが出来なくなり、三巻ぶっ通しで読んでしまったほど。 そして、読後もさまざまなことを考えている。今も。 日系アメリカ人の主人公天羽賢治が、 第二次大戦の日米開戦に伴い、強制収容所へ送られ、 語学兵養成のための日本語学校教官、語学兵としての出征、 日本国籍を取得した弟との対峙、といった過酷な状況を歩む。 戦後は、原爆の爆撃調査団を経て、東京裁判のモニター (通訳の誤訳がないかどうか監視する役目)を務める。 一つ一つの出来事において、「私は何人なのか」 「私の祖国はどこなのか」といった問いがちりばめられ、 胸が締め上げられるような苦しさを覚える。 一言で「日系人」といっても日本の教育を受けたのか、 ずっとアメリカで育ったのか、 アメリカのどこで育ったのかによって、 それぞれ立場も考え方もアイデンティティも異なる。 賢治の周囲の人物も、様々な背景を持ち、 たどる道もそれぞれである。 どの生き方がいい、悪い、ということ以前に 「生きるためにはそうせざるをえなかった」と 言うほうが正しいのかもしれない。 「僕は自分自身の国を見つけることができませんでした」 自分の国籍と自分のよりどころとしている国が一致していることを、あたりまえのこととして過ごしてきた私は、 この言葉の重さを、また違う角度からも深く心に刻むために、 また別の本を読んでいます。

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2010/12/23

衝撃的。 もちろんストーリーはフィクションだとしても。 大戦の裏にこんな歴史があったなんて。 戦時中のアメリカ。財産没収されて強制収容所。馬小屋の生活。 うちのおばあちゃんだって、ワシントンから日本への帰国の船に乗れていなかったらもしかしたら。。。 ヨーロッパで前線に立たされ...

衝撃的。 もちろんストーリーはフィクションだとしても。 大戦の裏にこんな歴史があったなんて。 戦時中のアメリカ。財産没収されて強制収容所。馬小屋の生活。 うちのおばあちゃんだって、ワシントンから日本への帰国の船に乗れていなかったらもしかしたら。。。 ヨーロッパで前線に立たされる2世の悲劇。 引き裂かれる兄弟の運命。(←私こういう設定に弱い。) そういえばこないだ、本当に日本側とアメリカ側で戦ったという 沖縄の人の話を新聞で読んだ。実際にあり得たことなんだなぁ。 まだまだ知らないことってたくさんある。 本をもっと読もう、と思った一冊。 おがたさんからのお勧め。

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2019/01/16

 アメリカ人を始め白人はフェアで紳士なんてことはなく、だからといって日本人だけが優れた民族なのでもない。  「大地の子」、「沈まぬ太陽」を読んでもつくづく感じたのは、人は「国」や「人種」といったレッテルに判断を委ね、自らの思考を停止した時、レッテルの下に多数派が少数派を押し潰すと...

 アメリカ人を始め白人はフェアで紳士なんてことはなく、だからといって日本人だけが優れた民族なのでもない。  「大地の子」、「沈まぬ太陽」を読んでもつくづく感じたのは、人は「国」や「人種」といったレッテルに判断を委ね、自らの思考を停止した時、レッテルの下に多数派が少数派を押し潰すということ。  日本の経済が低迷し雇用状況も悪化する一方、中国が台頭し、北朝鮮との緊張が高まる昨今、マスコミからの情報だけに判断を委ねて会ったことも話したこともない「中国人」「朝鮮人」というレッテルで判断することの危険性。  過ちを繰り返さないために、過去を学ばなければならない。

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2010/01/17

ロサンゼルスの邦字新聞『加州新報』の記者天羽賢治、ケーン。 彼とその家族の運命を通し、真珠湾攻撃、ヒロシマ、東京裁判と 太平洋戦争の荒波の中で身も心も切り裂かれながらも、 愛と祖国を求め続けた日系人の悲劇を描いた感動巨編。 山崎豊子を読むのは沈まぬ太陽以来2作目。 例によって、...

ロサンゼルスの邦字新聞『加州新報』の記者天羽賢治、ケーン。 彼とその家族の運命を通し、真珠湾攻撃、ヒロシマ、東京裁判と 太平洋戦争の荒波の中で身も心も切り裂かれながらも、 愛と祖国を求め続けた日系人の悲劇を描いた感動巨編。 山崎豊子を読むのは沈まぬ太陽以来2作目。 例によって、本屋で平積みになっていたので、 何気なく買っただけでしたが、またしても 山崎豊子の世界に引き込まれました。 父祖の国日本に対する誇り、そしてアメリカで生まれた ものとして、自由の国アメリカに対する誇り。 二つの祖国に対する誇りの中で葛藤していく賢治。 そして、正義を貫けば貫くほど回りには理解されない このジレンマ。 先の戦争の中で、多くの人々が苦しみを味わいましたが、 彼らほど数奇な運命をたどった人もいないでしょう。 今まであまり詳しく知ることのなかった、フィリピンでの 激戦の様子や東京裁判のことについても、彼女ならではの 記述で詳細に知ることが出来ました。 日経新聞で東京裁判の検証が特集記事になっていましたが、 こっちのほうがその裏の人々の心情まで描かれていて、 その場の雰囲気を感じることが出来ます。 ちょうどこの本を読み終えたとき、靖国神社の すぐ近くで結婚式でした。翌日、なぜだか靖国参拝 したいという気持ちになりました。 それは二つの祖国の間に挟まれながらその人生を 送った賢治の忠魂の気持ちなのか、激戦の中で 日本の勝利のために命を捧げて逝った日本兵のことを 思ってなのか、はたまた、勝者の裁きによって、 死刑となったA級戦犯のことを思ってなのかは 自分でもよく分かっていません。 ただ一つ確かなのは、人々をこうやって引き裂いてしまった 戦争を繰り返してはいけないんだというその祈りを 捧げたい。そんな気持ちが芽生えたということだと思います。 今また戦争歴史観が話題となっていますが、 結果的には、アジア諸国に対して日本が侵略行為と 取られる行為を行ったというのは覆しようのない事実です。 しかしながら、その時々を生きた人たちにとって、 自分の立場でそれぞれが正義だと信じる路を歩んだんだと 思っています。 国家のレベルと個人のレベルでは分けて論じるべきかと。 http://teddy.blog.so-net.ne.jp/2008-11-02

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2010/01/06

日系二世が自分のアイデンティティーを掘り下げていく作品。太平洋戦争前後の物語で、日本人からは米国人、米国人からは日本人という認識のなかで、自分と向き合っていく…。 東京裁判にも通訳として参加し、敗戦国であり自分のルーツでもある日本を祖国である米国の観点から裁いていく。家族意識や民...

日系二世が自分のアイデンティティーを掘り下げていく作品。太平洋戦争前後の物語で、日本人からは米国人、米国人からは日本人という認識のなかで、自分と向き合っていく…。 東京裁判にも通訳として参加し、敗戦国であり自分のルーツでもある日本を祖国である米国の観点から裁いていく。家族意識や民族観、戦争に関する描写が鋭くかかれており、オススメ。 考えさせられる一冊。 人は帰属意識を持っていて、自分が「帰れる」場所があると落ち着くんだそうです。僕もいままで転々としてきたので共感出来る部分あり。

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2009/12/20

パールハーバーアタックが行われた際、アメリカには11万人の日系アメリカ人が住んでいた。日本とアメリカが戦争を始めた後、これらの日系人たちは、強制収容所などに入れられ、辛酸をなめた。 この本は、そんな日系二世が、アメリカ人の語学兵として徴兵され、終戦後は東京裁判のモニターも務める...

パールハーバーアタックが行われた際、アメリカには11万人の日系アメリカ人が住んでいた。日本とアメリカが戦争を始めた後、これらの日系人たちは、強制収容所などに入れられ、辛酸をなめた。 この本は、そんな日系二世が、アメリカ人の語学兵として徴兵され、終戦後は東京裁判のモニターも務める。日系二世が日本とアメリカの狭間で葛藤しながら生きる様が描かれている。 当時の日系アメリカ人や東京裁判について知りたい方にはお勧めの一冊。

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2009/11/03

重い、この一言に尽きる。読後に抱える重苦しい靄と、解放されずにずるずると引きずってしまう。無理な人は無理なんだろうな〜、この本。。もちろんわたしの個人的な評価としては非常に高く、期待通り、いやそれ以上にぐいぐいと物語に熱中させられちゃいましたとさ。 山崎豊子の作品といえば、綿密な...

重い、この一言に尽きる。読後に抱える重苦しい靄と、解放されずにずるずると引きずってしまう。無理な人は無理なんだろうな〜、この本。。もちろんわたしの個人的な評価としては非常に高く、期待通り、いやそれ以上にぐいぐいと物語に熱中させられちゃいましたとさ。 山崎豊子の作品といえば、綿密な取材の下、緻密に構成されたストーリーと強いメッセージ性に定評がある。もちろん私もその評価を否定する気は全くない。ただ個人的には山崎豊子作品の一番の面白さはそれだけではなくて、読者が物語の最深部に入り込んだ瞬間に運命的な(としか言いようがない)展開に陥るところだと思う。それまで伏線だったということにも気づかされずに読み流していた伏線たちが一挙に絡み合って展開を引き寄せる瞬間はいつも鳥肌ものだ。推理ものなんかには伏線がつきものだけど、やっぱり後での種明かしにそれが出現したり、五月雨式に出てくるパターンが大半。これだけの能力ある作家さん、ほかにいらっしゃったら是非教えてほしいものです。

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2009/10/30

読んで損はありません。 いえ、日本人であるならば読むべき作品です。 第二次世界大戦中、アメリカに生まれたが故に『父祖の国、日本』と『母なる国、アメリカ』の板挟みに遭い、様々な葛藤を強いられた日系二世達の辛過ぎる運命を綴った衝撃的な作品。 膨大な資料と緻密な調査を元に書か...

読んで損はありません。 いえ、日本人であるならば読むべき作品です。 第二次世界大戦中、アメリカに生まれたが故に『父祖の国、日本』と『母なる国、アメリカ』の板挟みに遭い、様々な葛藤を強いられた日系二世達の辛過ぎる運命を綴った衝撃的な作品。 膨大な資料と緻密な調査を元に書かれた「小説」ではあるが、東京裁判の部分はもはや現実の資料をドキュメンタリーで追っているかのような錯覚に陥る程である。 戦争がもたらした悲劇、米国的民主主義の裏側、人種差別… アメリカ人でありながら、誰よりも日本人の心を強く持つ男『天羽賢治』の人生を通して、戦争を読み解く。

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