湖中の女 の商品レビュー
推理小説は、小学生の頃は、江戸川乱歩の怪人二十面相やモーリス・ルブランの怪盗アルセーヌ・ルパン、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズが大好きでした。中学生では、エラリー・クイーンにハマってました。でも、レイモンド・チャンドラーの作品に出て来るフィリップ・マーロウを楽しめるのは、...
推理小説は、小学生の頃は、江戸川乱歩の怪人二十面相やモーリス・ルブランの怪盗アルセーヌ・ルパン、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズが大好きでした。中学生では、エラリー・クイーンにハマってました。でも、レイモンド・チャンドラーの作品に出て来るフィリップ・マーロウを楽しめるのは、もしかしたら還暦を過ぎたこの歳になったからかも知れません。
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これはハードボイルドとしてだけではなく、推理小説としてもかなり優秀かも。犯人は、まあ誰をこの事件の犯人とするかはいろいろと問題があるにしても、結果的には怪しいやつがそのままなんだけど、被害者が入れ替わってるというオチはちょっとびっくり。これじゃあハードボイルドというよりも本格推理だよな。スカーフの使い方もうまかったし。 キングズリーが最後までいい人だったのが以外だった。フロムセットはそれほどいい女には思えないんだけど、マーロウはキングズリーに嫉妬しまくってるのが笑った。なんかこれまでの作品と人物の造形が違ってて新鮮だった気がする。デガーモはとことん嫌な奴だけど、それでも最後にいくらかの哀愁がただようのは、さすがチャンドラーというところか。 パーカーの「ユダの羊」みたいにガーッとくるものはないし、ウェットな部分もあまりないんだけど、じわじわといい感じ。ひょっとすると、これが個人的にはベスト・オブ・チャンドラーになるかも。チャンドラーに慣れただけかもしれないけど。 アルモア夫人、キングズリー夫人、ミルドレッド・ハビランド、クリス・レイバリー、デガーモと今回もいっぱい死んでます(^^;)。
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裏で糸を引く意味だと考えても、「湖中の女」が確かに中心人物だと言えると思った。 また、マーロウの「私」視点で書かれてはいるが、地の文からマーロウが考えていることがわかるわけではなく、マーロウが見たものやしたことしかわからないし、そのほかに書かれていることもマーロウとその相手の会...
裏で糸を引く意味だと考えても、「湖中の女」が確かに中心人物だと言えると思った。 また、マーロウの「私」視点で書かれてはいるが、地の文からマーロウが考えていることがわかるわけではなく、マーロウが見たものやしたことしかわからないし、そのほかに書かれていることもマーロウとその相手の会話文であるため、読者にわかることはマーロウの隣でマーロウの言動を眺めている場合と同じである。マーロウが気づかないことには読者も気づけないし、マーロウにしかわからないことは読者が知ることはできない。 主観というのは、自分にだけ都合が良いものだということがよくわかる物語である。客観とは、それこそマーロウの顧客がマーロウから得られるものでしかないこともよくわかるいきさつだった。 だが、読者がマーロウについて想像できることはあった。たとえば、「私」は、部屋が長い時間ずっと静かなことを「時が足音を忍ばせ」と表現し、実際にその後の場面で、自分と他人の足音に敏感なことがわかるため、探偵という職業に必要な繊細さを確かに持っていそうだと思える。また、時が足音を忍ばせた直後には、時間の経過を「三十分とタバコが三、四本たってから」と表していることから、「待つ」ことが日常のよくあるできごとであり、たとえ「待たされる」という望まない状況だったとしても、時計を見るのはだいたい30分間隔くらいという、気持ちに余裕がありそうな性格なのかもしれないとも思える。やはり探偵に向いている主人公だと思った。
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チャンドラーは評論を含め全て読んでるはずなのにこの作品は印象が薄い。 初期に傑作を沢山読んだせいかもしれない。
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読んでいる最中、何度も中断が入ったため、いまひとつ話に熱中できなかった。決してつまらない話ではなかったのだが...。やはり一気に読まなければいけないと思った。
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フィリップ・マーロウは4作目の本作で初めてロスを離れる。化粧品会社の社長から頼まれた妻の失踪事件を追って、彼の別荘があるロス近郊の湖のある山岳地帯の村に入り込む。そこの湖から女性の死体が上がる。その女性こそが社長の妻だろうと思われたが、別の女性の死体だったことが解る。そしてマーロ...
フィリップ・マーロウは4作目の本作で初めてロスを離れる。化粧品会社の社長から頼まれた妻の失踪事件を追って、彼の別荘があるロス近郊の湖のある山岳地帯の村に入り込む。そこの湖から女性の死体が上がる。その女性こそが社長の妻だろうと思われたが、別の女性の死体だったことが解る。そしてマーロウは別の事件に巻き込まれ、命を狙われる。 本書のテーマは卑しき街を行く騎士を、閉鎖的な村に放り込んだらどのように活躍するだろうかというところにある。しかもその村は悪徳警官が牛耳る村であり、法律は適用されず、警官自体が法律という無法地帯。つまり本書は以前にも増してハメット作品の色合いが濃い。 この閉鎖的な村で関係者を渡り歩くマーロウは今回危機に陥る。この危機はロスマクでも使われていた。 本書の最大の特長は他の作品に比べると実に物語がスピーディに動くことだ。原案となった同題の短編が基になっていることも展開に早さがある一因だろう。 そして事件は解決してみると、死体が3つも上がる。しかもそれは1人の犯人によるもので、けっこう陰惨な話だったことが解る。 しかし上にも書いたが、原型の短編を引き伸ばした感じが否めなかった。最初のスピーディな展開は多分チャンドラー作品の中でも随一なのだが、その後の展開が無理に引き伸ばしたような冗長さを感じた。特に印象に残るキャラがいないせいもあり、出来としては佳作といったところだろうか。 数年後、私はこの原型となった短編を読んだが、これは非常に面白かった。プロット自体はいいのだ。湖から上がった女性の死体と、どこか本格ミステリを思わせるシチュエーション。そして閉鎖的な村に現れたマーロウという名の騎士。ただそれを十分に生かせなかった。 どんな作家もいつもいい作品が書けるとは限らない。全7作を数えるフィリップ・マーロウの物語でちょうど折り返し地点に位置する本書は中だるみの1冊となるようだ。
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ひさしぶりにチャンドラー。ミステリーもあまり読まないので、どうしても細かい部分が読み進めるうちに拾えなくなってくるけど、雰囲気に浸りつつ読むのが楽しかった。マーロウのキャラクター好きだなぁ・・・。
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私立探偵フィリップ・マーロウの四作目。 愛してはいないが妻の行方を捜してほしいという化粧品会社の社長。 湖近くの別荘に探しに行くと、別の女性の水死体があがる。 女性二人の体格が似ているとあったところから、 そこがポイントとなるのかと思いきや、 思いがけない方向に話が転がってい...
私立探偵フィリップ・マーロウの四作目。 愛してはいないが妻の行方を捜してほしいという化粧品会社の社長。 湖近くの別荘に探しに行くと、別の女性の水死体があがる。 女性二人の体格が似ているとあったところから、 そこがポイントとなるのかと思いきや、 思いがけない方向に話が転がっていった感じ。
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1943年発表だが、いささかも古臭さを感じさせない。 本作は、ファンが泣いて喜ぶ名台詞も、マーロウ自身のロマンスも、魅力溢れる脇役やシビれるシーンも、チャンドラーマニアからの人気もあまりなく、いうならば地味な作品に位置する。 けれども、警察権力に傷め付けられながらもストイック...
1943年発表だが、いささかも古臭さを感じさせない。 本作は、ファンが泣いて喜ぶ名台詞も、マーロウ自身のロマンスも、魅力溢れる脇役やシビれるシーンも、チャンドラーマニアからの人気もあまりなく、いうならば地味な作品に位置する。 けれども、警察権力に傷め付けられながらもストイックに謎を追うマーロウの姿は、ストレートな私立探偵小説の基礎となるスタイルを幾つも提示しており、読まずにおくのは勿体無い。 マーロウの冷徹な視点を通した登場人物たちの造形と、湖畔などの自然や様々な情景での描写力はハードボイルドならずとも、秀れた小説技巧の手本となるべきものだ。すでに完成されていたスタイルはさらに磨き上げられており、硬質な清水俊二の翻訳によって輝きを増す。 情感を抑えた狂言回しとしてのマーロウ。物語的にも、後のロス・マクを想起させる。
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帯文(裏表紙):"別荘の管理人が大声を上げて指さしたものは、深い緑色の水底でゆらめく人間の腕だった。" "独自の抒情と文体で描く異色大作"
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