細川ガラシャ夫人(下巻) の商品レビュー
明智光秀の娘、玉子の生涯を描いた小説(上下巻)。歴史を学ぶ上でメインではないガラシャ夫人を知り興味を持ちました。 歴史小説は私にはハードルが高いのだけれど、三浦綾子さんが書いたもので読みやすかった。 戦国時代について考えさせられました。人権もなんもあったもんじゃない。野蛮で残虐極...
明智光秀の娘、玉子の生涯を描いた小説(上下巻)。歴史を学ぶ上でメインではないガラシャ夫人を知り興味を持ちました。 歴史小説は私にはハードルが高いのだけれど、三浦綾子さんが書いたもので読みやすかった。 戦国時代について考えさせられました。人権もなんもあったもんじゃない。野蛮で残虐極まりない、ひどい時代…。 そんな時代の中、明智光秀はめずらしく教養があって妻と娘を愛する人間らしい人。織田信長を裏切って暗殺したという一般的な悪いイメージが覆された。織田信長こそ、本当に極悪非道な人物で読んでいて気分が悪くなるほど。光秀は信長に追い詰められた被害者だった気もする。 その光秀のもと明智家で愛情を持って育てられた玉子は美しく聡明な女性。幼いころから女性が政略の道具に使われ物のように扱われることに疑問を抱く。玉子も信長の命令で嫁ぐことになるが、本能寺の変の後、激動の人生を生きることになる。 今日の友は明日の敵。誰が天下を取るかわからぬ戦国の世、お家を守るために殺したり殺されたりが日常茶飯事の時代。受け入れがたい運命の中、玉子は人間らしく生きたいともがき苦しむ。こんな世の中だったからこそ、信仰が彼女の大きな救いになったのだと思う。理不尽なことだらけで、信仰がなければ正常な精神を保てないんじゃないかと思う。 戦国時代、その中でのキリスト教のあり方について知る、非常に興味深い本でした。 ちなみに私は玉子を陰から見守る初之助の秘めたる深い愛に心打たれました。
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再読。 父光秀の起こした本能寺の変により暗転してしまったガラシャの運命。幽閉のために幼子たちと別れる場面が特に辛い。 けれど、深い悲しみと苦悩のその先には信仰という光が待っていた。彼女が信仰に触れるきっかけとなった清原マリヤの「苦難を恩寵と思えるように祈る」という言葉は宗教色こそ強いが、これは考え方の違い、発想の転換なのかと自分もハッと胸を突かれた記憶。 「散りぬべき時知りてこそ 世の中の花も花なれ人も人なれ」の辞世の句から滲み出るガラシャのひたむきな情熱と生き方の覚悟は、読む度に強く心に迫り訴えかけてくる。
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ガラシャの信念を持った生き方に胸いっぱいになる。密かに初の助に感動。報われないけどいつもずっと寄り添ってた密かな愛に涙涙。
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ちょっと期待外れだった。キリスト者としてのガラシャ夫人の生き方があまり伝わってこなかった。特に前半は明智光秀の方により焦点が置かれ、ただの時代小説といった感が否めない。
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本能寺、忠興の異常な愛情、キリスト教への改宗、そして大阪での見事なまでの最期へと織豊時代の多様性を映した見事な生涯。
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乱世の不穏な世情ながらも幸せに暮らしていたのは上巻まで。 本能寺の変から、一気に逆賊の娘として過酷な運命に 翻弄されていく様が描かれています。 歴史的にすでに知っている方でも面白く読めると思います。 自分は何もしていない、穏かに暮らしているだけなのに 次から次へと降りかかって...
乱世の不穏な世情ながらも幸せに暮らしていたのは上巻まで。 本能寺の変から、一気に逆賊の娘として過酷な運命に 翻弄されていく様が描かれています。 歴史的にすでに知っている方でも面白く読めると思います。 自分は何もしていない、穏かに暮らしているだけなのに 次から次へと降りかかってくる火の粉。 運命に翻弄されるってまさにこういう事ですよね。 何かにすがりたくもなる気持ちはよく理解出来ます。 ただなぜキリスト教なんでしょう? 傾倒するまでの心の移り変わりはよく描かれているのですが、 最後のところでやはり理解が及びませんでした。 信者でない私には、熱心さ真剣さは頑固さにしか思えず、 信者の心情を理解するには至りませんでしたが、 それでも玉子の生涯には感動を覚えました。 まっすぐに己の信念に従って進む姿は美しいです。 ただ死を目前に周りの者にも信者になれなれコールが 少しひつこかったかな・・・(笑)
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逆賊明智光秀の娘として、乱世を生きることになった細川ガラシャ。彼女を支えたのは、キリスト教の教えでした・・・。秀吉によりキリスト教が禁じられる中でも、自分らしく生きるためにキリスト教に殉じたガラシャ。人の心の支えとしての宗教を考えるきっかけになった作品です。
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この人の書く文章はとても優しく美しい。 時代を全く感じさせないで、スーッと心に沁み込んできます。 光秀の娘、ガラシャ。 どれ程までに美しかったのだろうか。 あとがきの一言がとても素敵だったので引用させていただきます。 『どの時代にあっても、人間が人間として生きることはむずか...
この人の書く文章はとても優しく美しい。 時代を全く感じさせないで、スーッと心に沁み込んできます。 光秀の娘、ガラシャ。 どれ程までに美しかったのだろうか。 あとがきの一言がとても素敵だったので引用させていただきます。 『どの時代にあっても、人間が人間として生きることはむずかしい。真に人間として生きるということは、実にたいへんなことなのだ。』 ズシンときました。 信仰の話を抜きにしても、やはりこの人が書く小説はとても面白いと思います。
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下巻は本能寺の変に始まる玉子の苦難とキリスト教への傾倒が語られます。政情に振り回されるキリシタンの姿、その中で人間社会のむなしさが強調されていきます。全体的には上巻に比べ淡々として面白みがなく、ラストの死についても「何故逃がさなかったのか」がいまいち腑に落ちないのが残念です。
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全ての敵は、己。 (以下抜粋) ○秀吉は誰をも信じられないのだ。 もし秀吉が、信長の遺児たちを立派に遇していたならば、 このような心配はなかったのではないかと玉子は思う。(P.256)
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