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椿説弓張月(5) 光文社古典新訳文庫
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椿説弓張月(5) 光文社古典新訳文庫

曲亭馬琴(著者), 菱岡憲司(訳者), 葛飾北斎(絵)

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椿説弓張月(5) 光文社古典新訳文庫

1,386

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 光文社
発売年月日 2025/12/10
JAN 9784334108748

椿説弓張月(5)

¥1,386

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2026/02/02

曲亭馬琴による鎮西為朝外伝、ついに完結。 前巻の最後に現われ、為朝と妻の白縫王女を救ったのは、崇徳院の霊のお告げを受けた、佳奇呂麻(かけろま)島の島長。為朝や王女とは既知の間柄で、お告げにより2人が窮地にあることを知り、助けに訪れたのだった。 捲土重来。このあたりから物語のギアが...

曲亭馬琴による鎮西為朝外伝、ついに完結。 前巻の最後に現われ、為朝と妻の白縫王女を救ったのは、崇徳院の霊のお告げを受けた、佳奇呂麻(かけろま)島の島長。為朝や王女とは既知の間柄で、お告げにより2人が窮地にあることを知り、助けに訪れたのだった。 捲土重来。このあたりから物語のギアが入って加速する。 馬琴先生、長い物語に散りばめていた伏線を力技で回収していく。 例えば、悪役の1人だった老巫女、阿公(くまぎみ)。子のない悪妃に取り入り、妃が子を産んだとでっちあげるため、忠臣の妻である妊婦の腹を裂き、その赤子を王子と偽る。悪妃はその後、死んでしまうのだが、この偽王子は阿公が乳母となって守り育てていく。忠臣の子である兄弟は、阿公が母親を殺したことは知っている。仇とつけ狙っているが、阿公の居場所をようやく突き止める。ところが阿公は驚きの真相を語り始める。実は忠臣の妻の出自は。そして阿公の夫は誰か。阿公と忠臣の子供たちの関係とは。このエピソードで「えー!? えー!? えー!?」と3回くらいびっくりする。 例えば、怪僧・曚雲の正体。琉球篇の初めの方に、宝珠が2つ出てくる話が確かにあった。その由来が終盤で紐解かれる。そして、怪僧、人ならぬものだったのですねぇ。ついに曚雲は倒され、琉球に平和が訪れる。めでたしめでたし、というわけなのだが。 この後、誰が王となるのかでまだいろいろすったもんだする。このあたり、現代の読者としてはややイライラするところなのだが、解説を読むと馬琴先生の意図が何となく見えてくる。 思い返せば、主役の為朝、最初は伊豆、それから琉球で活躍するけれど、そもそも崇徳院を奉じて、平家をやっつけるんじゃなかったっけ・・・? このまま琉球に留まっていいわけ? 一方、日本本土でも時代は動いていて、とっくに源頼朝が平家を滅ぼしていたりする。いまさら為朝が戻ってもな、というところ。 馬琴先生、どう落とし前をつけるのかな?と思っていると、ラストもびっくりするような力技である。えー!?とは思うが、まぁそうなっちゃったらそうなるか、と、謎の説得力がある。 全体に劇的な展開も多いのだが、実は1つ1つのエピソードは、古今東西の故事来歴から流用しているものも多い。それと知らずに娘を殺してしまう安達ケ原の鬼女の話や、ヤマトタケルの弟橘媛入水の話を基にしている部分もあるし、水滸伝のエピソードなどもあるらしい。伊豆や琉球に実際伝わっている伝説も取り入れられている。「史実」を盛り込みながら、アクロバティックな読み物に仕立てているのが馬琴先生のすごいところ。2巻で触れていた「雅俗」のバランスがいいのだ。「雅」を調べ上げる一方で、「俗」を生き生きと躍動させてみせる。並の人にできる芸当ではない。 本作、芝居仕立てにしてもおもしろそうである。 例えば阿公のお話などは何だか歌舞伎っぽい。悪役だと思っていたのが実は、とか、登場人物の出自が二転三転して、とか、歌舞伎では時々ある設定である。 実際、江戸期にも本作は浄瑠璃になっているんだそうである。 近年では三島由紀夫が新作歌舞伎にしており、この初演で白縫姫を演じたのが、三島に抜擢された当代の坂東玉三郎だという。確かに似合いそう・・・。この際の1969年が初演、最近では2012年に上演されている。 お話がややこしいので、いろいろ整理は必要そうだけど、為朝は桁外れの英雄だし、巨大な怪魚が出てきたり、謎の怪僧が出てきたり、なんだかんだと見せ場は多そうではある。 機会があれば鑑賞してみたいところだ。

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2026/01/15

最終巻も人物紹介から始めよう。  白縫王女 琉球国の正嫡寧王女に、亡き白縫(為朝の正妻)の魂が憑き、みずから白縫王女と称する。 なんだかすっかり合体ロボになってしまったと感じるのは私だけか。寧王女~(オリンピックで有名な、原田選手の「ふなき~」風に)。  八丁礫紀平治 為朝...

最終巻も人物紹介から始めよう。  白縫王女 琉球国の正嫡寧王女に、亡き白縫(為朝の正妻)の魂が憑き、みずから白縫王女と称する。 なんだかすっかり合体ロボになってしまったと感じるのは私だけか。寧王女~(オリンピックで有名な、原田選手の「ふなき~」風に)。  八丁礫紀平治 為朝の腹心。石の礫をもって獲物を仕留め、百発百中の腕前をもつ。 舗装された道路ばかりの現代社会では、武器が一つも見つからず、無敵どころか、渡る世間は敵ばかり。とりあえずそこら中に石礫のある源平合戦の世界では、為朝の息子を守り通した忠義の臣下。  福禄寿仙 頭が長く、身体の半分ほどある老翁。 ラストに再登場する福禄寿。なるほど、妖かしまで登場したフィクション世界をまとめるのは、神しかおるまい。美白は無敵。  神を出したことで、作品全体のご都合主義が認められる。明らかに数の上で劣勢の為朝と白縫王女は絶体絶命の危機を脱出して巴麻島へと渡り、神仙の導きで息子舜天丸と家来の紀平治と再会。鶴と亀は因縁の敵である託女、阿公を天孫廟で仇討ちを果たす。為朝と舜天丸はふたたび首里を攻めてラスボス曚雲と対決し、舜天丸はついに琉球王に。悪しき者は滅び、善き者は栄える。めでたしめでたし。  ちなみにゴースト含むトライアングル・ラブだが、件の如く乗っ取られたため、トライアングルにもならなかった。嫌がっていた為朝も、説き伏せられて夫婦になったら、ぴったりとくっついた、とか。何が?とか聞かないように、野暮だから。そうか馬琴、君は細君とラブラブか、よきよき。  しかし、ここに至るまで、どれほどの犠牲があったことか。為朝は、今でいうところの内地人(ウチナンチュー)ではなく、外からやってきた、本土の人、まれびとだ。彼がいなければ琉球王朝は腐敗臭を放って滅びただろう。しかし、劇画調、もとい、劇薬為朝の投入で、あっという間に片がついた。しかし、その代償は大きい。命を捧げても惜しくない英雄・為朝のために、山雄、野風、真鶴、白縫、寧王女、琉球の人々も、他の人々も亡くなった。この事実は、源平合戦のはるか先、江戸時代からもはるか先の、二十世紀のど真ん中の、ある戦いを、思い起こさせずにはおかない。琉球=沖縄こそ、その戦争の激戦地であった。  のちの自身の失明も、長男を亡くす不幸も、見通せていたはずはない。しかし、別の未来だけは、見通せていたのだろうか。稀有な作家・馬琴ならば、そういうこともあろうか。  戦い済んで、日が暮れて、全ての人々に鎮魂の祈りを捧ぐ。

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