商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2025/09/25 |
| JAN | 9784105902032 |
- 書籍
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ジートコヴァーの最後の女神たち
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ジートコヴァーの最後の女神たち
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商品レビュー
3.9
7件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
チェコの山奥に残る女神(魔女、占い師、民間医療を行う人)の子孫でもある研究者が、女神について調査しつつ、育ての親を追い詰めた密告者の正体を追っていく…というと推理小説のようで、でも、民族学的な話題の中でドイツ支配、共産主義を経た歴史が語られるので、学問的な興味もそそられつつ、でも、最後にはホラーかも…額のあざが…
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チェコのスロヴァキア国境に近いジートコヴァーには,なんと最近まで女神が存在していた.女神と聞くとピンとこないが,要するに「良い魔女」である.例えが悪いかもしれないがの恐山のイタコのような,土着の魔女である. イタコが実在するように,女神もドイツ占領下,社会主義体制をかろうじて生き...
チェコのスロヴァキア国境に近いジートコヴァーには,なんと最近まで女神が存在していた.女神と聞くとピンとこないが,要するに「良い魔女」である.例えが悪いかもしれないがの恐山のイタコのような,土着の魔女である. イタコが実在するように,女神もドイツ占領下,社会主義体制をかろうじて生き残り,ごく最近まで実在していたのは史実らしい.本書はその史実を踏まえたフィクションである. 主人公(ドラ)は女神の血を引くのだが,自身は女神の秘術を受け継いだわけではなく,研究者として生きている.この主人公が自分の母や叔母,血族や,更には他の女神たち,あるいは「魔女」を目の敵にする諜報員にまつわる暗い秘密を,研究対象として徐々に解き明かしてゆくのが本書のストーリーである. 小説としては少しツメが甘いような気もするが,チェコではベストセラーになったとのことである.おそらく女神の存在についての認知度の高さのためなのだろう.
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モラフスケー・コパニツェ(Moravské Kopanice)は、チェコ東部、スロバキア国境に近い白カルパティア山脈の麓にある山間集落。地理的・経済的に孤立した地域で、生活は非常に困窮していたという。 ジートコヴァー(Žítková)は、点在する村の一つ。200人ほどが住むという...
モラフスケー・コパニツェ(Moravské Kopanice)は、チェコ東部、スロバキア国境に近い白カルパティア山脈の麓にある山間集落。地理的・経済的に孤立した地域で、生活は非常に困窮していたという。 ジートコヴァー(Žítková)は、点在する村の一つ。200人ほどが住むという。 この地域には、長い歴史の中で、母性と女性全般に敬意を払う伝統が息づいてきた。 出産を手助けするものとして、多種多様な薬草の効果に精通した治療者として、人生における様々な困難な状況で、ある種の占いを用いて助言をしたり、何らかの決定を下すものとして、尊敬を集める女性達が存在してきた。それが、“女神”だ。 女神の伝統は、地域の外から持ち込まれた物事-キリスト教会・ナチス・社会主義-によって脅かされてきた。 家父長制を神学的に正統化することで人々を支配してきた教会組織は、女神の存在は、自らの権威への脅威と捉えて弾圧した。 ナチスが侵攻してくると、ユダヤ=キリスト教を否定するための、古代ゲルマン民族を頂点とするアーリア人こそが文面の創始者とする、アーリア人学説(神話)の生き証人としてプロパガンダへの利用を企まれる。 社会主義の時代になって、科学的唯物論と体制維持を第一とする声高な主張に、ナチス協力者の汚名を着せられながら、存在を掻き消されてゆく。 まさに移り変わる時の権力の思惑に、翻弄されてきた存在だ。 本書は、歴史書ではない。民族学者であり、女神の末裔に連なるドラが、自らの家族の名誉と歴史に埋もれた事実を掘り起こそうと苦闘する物語だ。 ドラによる調査の中で浮かび上がってくるのは、歴史の中では取るに足らないちっぽけな個人の深い悪意と、一族の中で秘められてきた闇だった。 さて読み終わって想うのは、“女神”というモチーフにまつわる歴史のドラマや、彼女たちが連綿と伝えてきたものの面白さだ。 一方で、密告者は誰なのか、なぜドラの叔母は不当な密告の犠牲となったのか、血を分けた家族の中で女神たちの確執が明るみになっていくさまといった、ミステリー的要素は、答えが収束してゆくラストにかけて居心地の悪い思いが残った。 思うのは、ナチスや社会主義体制といった全体主義のなかで犯された個人の罪が追求されることと表裏一体だからだろう。本書がチェコで発表されたのは、ビロード革命から23年後だ。秘密警察の個人記録にアクセスできるようになってからは、たった10年だ。 チェコを含む東欧に住む人々にとっては、誰かしら一世代前の近い家族に関わりがある、生々しく、切実なテーマなのだと考える。それは本当は、この国では避けてきたテーマでもある。 ー ー ささやかな悪意が徐々に募り、毒が滴り落ちる。 “お黙り!言葉を信じていれば、亡くなった人はもっと少なかったかもしれない。もしあんたが何かを信じ、周囲にそのことを信じている人がいれば、望むと望まない人にかかわらず、そっちの方向に向かうことになるんだ。呪いを証明するために、特別な力が必要ではなかった。人間の信じる気持ち、何を信じる気持ちであろうと、強い、ゆるぎない気持ちであれば、恐ろしいほど強力なんだ、頭に入れておきな!”
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