商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | Clover出版 |
| 発売年月日 | 2025/05/07 |
| JAN | 9784867342503 |
- 書籍
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技術と経営を守る「知財」のしくみ
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技術と経営を守る「知財」のしくみ
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序論:特許こそ日本の技術主権を守る魂 本書は、かつて技術大国と称された日本の経済的地位の低下と特許出願件数の減少に警鐘を鳴らし、技術力の再建における知的財産、特に特許の重要性を訴える一冊である。著者は、特許出願を単なる手続きではなく「企業の技術的主権を守り抜く魂の現れであり、まさ...
序論:特許こそ日本の技術主権を守る魂 本書は、かつて技術大国と称された日本の経済的地位の低下と特許出願件数の減少に警鐘を鳴らし、技術力の再建における知的財産、特に特許の重要性を訴える一冊である。著者は、特許出願を単なる手続きではなく「企業の技術的主権を守り抜く魂の現れであり、まさに企業の生き様そのもの」と位置づけ、技術者や理系学生に対し、日本の技術を守ることの大切さと素晴らしさを伝え、日本全体に「ワクワク感」を取り戻し、技術先進国への復活を果たすことを目指す。 技術者の情熱と葛藤:発明の源泉と知財への目覚め 著者の技術者としての道のりは、大学時代に教授から受けた「未だない日本の製造業を創り上げよ」という言葉への感銘から始まる。大手電機メーカーの設計者として、液晶プロジェクタ開発における過酷な実験や量産不良といった理想と現実のギャップ、中国工場での苦難を経験する中で、日本のものづくりの質を痛感する。そして、自身が筆頭発明者であるべき特許が意に沿わぬ形で出願された悔しい経験が、発明者の権利を守るべく「誰よりも良い特許明細書を書けるようになりたい」という強い思いを抱かせ、弁理士への転身を決意させる原動力となった。 特許権取得の道のり:制度理解と実務の基礎 知的財産とは人間の創造的活動から生まれる無体財産であり、特許法はその保護と利用のバランスを図り産業の発達に寄与することを目的とする。特許取得プロセスは、発明者・知財部・弁理士による「課題」の明確化を重視した相談・打ち合わせから始まり、技術内容と権利範囲を定める明細書等の作成、特許庁への出願へと進む。出願後3年以内に出願審査請求を行うことで審査が開始され、新規性・進歩性に関する拒絶理由通知への応答(補正や意見書提出)を経て、全ての拒絶理由が解消されれば特許査定が下り、特許料納付により特許権が発生する。 特許戦略の神髄:出願と権利化の真の意義 特許出願の最大の目的は、独占実施や模倣品排除といった権利取得後のメリット以前に、「誰にも邪魔されずに自社の技術を実施できるようにすること」、すなわち自社技術の実施確保にある。これにより他社による同一発明での特許取得を阻止し、侵害訴訟リスクを低減できる。さらに他社の実施を排除したい場合は特許権取得を目指すが、自社技術が他社の先願特許を利用する場合はクロスライセンスなども考慮される。全ての技術を出願する必要はなく、模倣困難性や侵害発見の難しさなどを考慮し、ノウハウとして秘匿化する戦略も有効だが、他社による先願リスクには注意が必要である。出願時期は、先行技術調査の程度と早期出願のバランスが重要であり、新規性が確認できれば、詳細な進歩性調査よりも特許庁審査官の活用を著者は推奨する。 弁理士が見た特許の世界:発明者の熱意と知財の最前線 弁理士として著者は、発明者や企業知財担当者の発明に対する情熱とプロ意識に感銘を受け、彼らと共に特許権取得を目指すことに大きなやりがいを感じている。特許権の存続期間満了が企業の収益に急落をもたらす「特許の崖」や、他社特許権不存在の証明の難しさ(「悪魔の証明」)といった知財実務の厳しさを目の当たりにする一方で、的確な明細書作成や審査官との面談を通じて特許査定を得た時の喜びは格別である。グローバル化が進む現代では、外国特許出願の重要性も増し、翻訳者や各国代理人と連携した総力戦で日本の技術を守り抜く使命感を抱いている。 知財立国への提言:数と質、そして士気向上 日本の特許出願件数減少に対し、著者は「量より質」一辺倒の風潮に警鐘を鳴らし、開発者の発明意欲維持と将来の技術力向上のためにはある程度の「数」も必要だと主張する。発明の源泉を活性化させるためには、出願・登録・実績に応じた「発明補償制度」が不可欠であり、さらに企業の知財戦略を担う「知的財産部担当者」にも同様の補償制度(例:登録支援補償金)を適用し、その士気を高めるべきだと大胆に提言する。これにより、企業全体の知財意識と活動レベルの向上が期待される。 結論:知財戦略による技術大国日本の再興 著者は、日本の技術力は依然として高いと信じ、その力を最大限に発揮し世界の最先端を行くためには「知財戦略」が不可欠であると結論づける。現代の高度な技術は、単一特許ではなく複数の特許権からなる「特許権の群」で守り抜く必要があり、これは城の天守閣を周囲の堀が守るイメージに例えられる。知財戦略は、平時には重要性が見えにくい国防戦略にも似るが、有事に備え、自社の技術力の範囲(縄張り)を守り抜く気概を示すために必須である。本書は、技術者、経営者、学生に対し、知的財産の戦略的価値を再認識させ、日本の未来を切り拓くための「ワクワク感」を与えることを目指している。
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