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キンキーブーツの真実
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キンキーブーツの真実

スティーヴ・ペイトマン(著者), 田嶋リサ(訳者)

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キンキーブーツの真実

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 小鳥遊書房
発売年月日 2025/04/25
JAN 9784867800720

キンキーブーツの真実

¥3,080

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2025/06/03

「こいつらは単なる履き物ではない。僕は確信しはじめていた。こいつらは生きている。それぞれに独自の個性がある。ドアを蹴り開け、秘密のファンタジーを解き放ちーこいつらは、新しい生き方の中核をなす」(P 39) ミュージカル『キンキーブーツ』の観劇を控えた今、本書を読み終えた。 よう...

「こいつらは単なる履き物ではない。僕は確信しはじめていた。こいつらは生きている。それぞれに独自の個性がある。ドアを蹴り開け、秘密のファンタジーを解き放ちーこいつらは、新しい生き方の中核をなす」(P 39) ミュージカル『キンキーブーツ』の観劇を控えた今、本書を読み終えた。 ようやく上半期ベスト本を見つけられたかも…。舞台に負けず最高にエキサイティングで、ちょっぴりほろ苦かった。 読むまで知らなかったのだが、ミュージカル及びその前に製作された同名映画は、実話が基になっている。閉鎖寸前の靴工場を引き継ぐことになったチャーリーは、ドラァグ・クイーンのローラとの出会いを機に、男性でも履けるファッション性の高いブーツ(その名も「キンキーブーツ」)の開発に乗り出す。 …というのが、ミュージカルと映画のあらすじだが、このチャーリーのモデルとなったのが、本書の著者スティーヴ・ペイトマン氏なのだ。 ペイトマン氏も英ノーサンプトン州にある老舗の靴工場W・J・ブルックス社の社長で、同じく工場閉鎖の危機に追い込まれていた。最盛期には、エルトン・ジョンといったセレブの靴を手がける一流企業であったが、今や英国の靴メーカーは斜陽産業と化す一方…。 ステージで燦然と輝くローラのモデルは実在していないが、新規顧客からの1本の電話で、ペイトマン氏らの運命は大きく動き出したのだった。 結果的に英ポンド高や取引先の倒産等が重なり、ブルックス社はキンキーブーツ開発後、数年で閉業する。 しかし、顧客(一言で言えば、「多様」…!)との厚い信頼関係やモノづくりへの情熱と、企業としてのあるべき姿勢を社は示してくれていた。大抵の方はミュージカルが入口だと思うが、ビジネス書の視点で読んでも良い学びになりそうだ。 劇中に、“Step One”というナンバーがある。 キンキーブーツの試作を始めるシーンでチャーリーが歌うのだが(そして、ダサい試作品が仕上がる笑)、本文でも「一歩踏み出す時」といったフレーズが頻出していた。逆に「工場や従業員は家族同然だ」という内容も、バッチリ歌詞の中に含まれていたりする。 ペイトマン氏らへの徹底取材から映画が作られ、そこからミュージカルが生まれた。(ちなみにミュージカル化計画の話は、ペイトマン氏に伝えられなかったそう怒) 製作陣からのリスペクトがこもった取材があったから、どんな形になっても氏の信条は、多くの人に語り継がれていくんだなー…と、一人感慨に浸っている。 「僕が知り合い、大好きになった人たちはみな、偏見をもたず、受け入れ、信頼し、与えてくれた」(P 229) ペイトマン氏は現在、靴工場を継ぐ前から夢だった消防士として働いている。 「なりたい自分になる」という『キンキーブーツ』の理念に沿った生き方だが、靴工場時代の「出来事」は、彼の価値観までをも好転させた。普通はそう簡単に変わるものではない。劇作家のファイアスタイン氏が述べるように、どんな挑戦にも「イエス」と言っていかない限りは。 「それでも最初から無理を押して消防士になっていれば、閉業の悲しみを背負うことはなかったのに」って?いやいや、あれは彼のために、なくてはならない期間だったのだ。

Posted by ブクログ