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江戸・東京水道全史 筑摩選書0302
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江戸・東京水道全史 筑摩選書0302

鈴木浩三(著者)

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江戸・東京水道全史 筑摩選書0302

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内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2025/04/17
JAN 9784480018205

江戸・東京水道全史

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2025/05/19

家康による江戸の水道整備:都市の基礎を築く 本書は、徳川家康の江戸入府から始まる江戸・東京の水道の歴史を、近世から近代、そして高度経済成長期までを概観します。家康は、江戸の地の水事情の悪さから、まず千鳥ヶ淵、牛ヶ淵、そして小石川上水といった初期の水道整備に着手し、飲料水確保を最優...

家康による江戸の水道整備:都市の基礎を築く 本書は、徳川家康の江戸入府から始まる江戸・東京の水道の歴史を、近世から近代、そして高度経済成長期までを概観します。家康は、江戸の地の水事情の悪さから、まず千鳥ヶ淵、牛ヶ淵、そして小石川上水といった初期の水道整備に着手し、飲料水確保を最優先としました。当時の江戸城は未整備であり、水を得にくい地形であったため、水道の整備は都市の発展に不可欠でした。 天下普請による江戸の発展と水運の整備 江戸が幕府の本拠地となると、天下普請を通じて都市としての基盤が築かれました。大名に賦課された天下普請により、江戸城や市街、神田川の原型などが整備され、水運が重要な輸送手段として活用されました。市街は拡大を続け、江戸の経済活動は天下普請や参勤交代によって活況を呈し、水運網も急速に発達しました。 神田上水の成立と維持管理 小石川上水が発展して成立した神田上水は、水源を神田川本流にシフトさせ安定的な取水を可能にしました。幹線ルートは本郷台の裾野を回り込み、駿河台や神田方面へと導水され、主に道路敷に埋設された樋によって供給されました。神田上水の維持管理は特定の町々が負担していましたが、水道需要の増加に伴い、水源や樋線も変化していきました。 玉川上水の新設と江戸市街への給水 江戸の市街拡大に対応するため、新たに多摩川を水源とする玉川上水が建設されました。庄右衛門・清右衛門兄弟によって短期間で完成した玉川上水は、自然流下方式で江戸城をはじめ広範囲に給水を開始し、江戸の発展を支えました。しかし、玉川兄弟の管理体制には問題もあり、上水の永続経営が課題となりました。 江戸時代の上水経営と課題 江戸時代の上水経営は、幕府、町行政、大名など様々な関係機関が関与し、経済的負担と受益者負担の原則に基づいていました。井戸の維持管理や分水の経営、上水の大規模メンテナンスなども行われましたが、天明の飢饉時には上水に関する噂が広まるなど、社会情勢も水道事業に影響を与えました。 明治期における近代水道への胎動 明治初期には、上水事業に官費が投入されるなど、近代化に向けた動きが見られました。水道事業の経営主体を巡る議論や、水道鉄管の国産品使用の是非など、様々な検討がなされました。水道工事の現場では、多くの労働者が従事し、近代的な労働管理も導入され始めました。 近代水道の発展と現代への示唆 関東大震災を経て東京の水道は復旧と拡張が進められ、大東京水道計画では五河川からの導水が構想されました。玉川水道は市営化され、経営体制も変化しました。戦後には水道法が制定され、水源開発や料金改定などを経て現代に至ります。江戸から東京への水道の歩みは、人口減少が予測される現代において、水道の将来を考える上で多くの示唆を与えてくれます。

Posted by ブクログ