人々の暮らしぶりから考える 中国経済はどこまで独特か？ 官と民のせめぎ合いで読み解く経済学

岡本信広(著者)

• 販売会社／発売会社: 白桃書房
• 発売年月日: 2025/04/03
• JAN: 9784561961451

商品レビュー

2025/04/29

普通の人々の実感のこもった語りから中国経済を読み解く
「官」（政府）と「民」（市場）が強くせめぎ合う独特な経済
「政府と市場のせめぎ合い」という核心的な視点
都市管理員（城管）と露天商の攻防：日常に潜むせめぎ合い
「政府のふるまい」だけでなく「市場の人々の反応」に注目する
改革開放の意味合いの変化：自由を与えるものからルールを設定するものへ
この「せめぎ合い」が経済発展を促すのか、抑制するのか？
計画経済時代：全員が貧しく、労働意欲も失われた
改革開放の工夫：「請負制」を活用した漸進的な市場経済化
鄧小平「白猫でも黒猫でもネズミを捕る猫がいい」：効率重視の象徴
社会主義市場経済：資本主義的要素と権威主義的体制の混合
国有企業と民間企業：混合市場における競争と共存、そして不公平
公有制の課題：「みんなで持つ」は「誰のものか」不明確になりがち
「大衆創業、万衆創新」：個人の起業を後押しした政策
郷鎮企業：「ハードな予算制約」下で市場に適応し成長
「国進民退」：国有企業の存在感が再び増しているという認識
国有企業が持つ市場での優位性：政府の支援と参入障壁
「戴紅帽子」：民間企業が不利な環境下で行った工夫
輸出志向型工業化：安い労働力と外資で「世界の工場」へ
新常態と中所得国の罠：イノベーションによる成長への転換が必須
高い貯蓄率がインフラ投資を支え、経済発展に貢献
「一帯一路」：対外的な経済的影響力の拡大戦略
人民元の国際化を目指しつつも続く為替レート管理
資本取引の自由化：公有経済を柱とする中国にとって敏感な問題
経済格差：市場経済化と都市・農村を分断する戸籍制度の複合的結果
農民工：都市経済を支えるも、戸籍がなく公共サービスから疎外
「市場の失敗」としての格差に対する政府の是正努力
クズネッツ仮説は中国の格差変動にも当てはまるか？
「共同富裕」：第三次所得分配による格差是正への新たな動き
資源・環境問題：経済発展と持続可能性の間のジレンマ
エネルギー問題のトリレンマ：安全保障、低価格、持続可能性の追求
環境クズネッツ仮説：経済発展が進めば環境は改善する？
共有地の悲劇：資源・環境問題の根底にある構造
一人っ子政策から多子容認へ：人口動態と政策の大転換
人口オーナス期への突入：中所得国のままで迎える高齢化社会
権威主義体制下の経済発展：「繁栄が統治力を強化している」側面
地方分権と地方間競争が経済発展を促進したメカニズム
デジタル技術による統治強化：「デジタル・レーニン主義」への懸念も
「灰色のサイ」：無視できない巨大リスク（人口・環境・国際関係）
政府への信頼（コンフィデンス）が「せめぎ合い」の効率性を左右する