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東洋文庫の100年 開かれた世界屈指の学問の殿堂
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東洋文庫の100年 開かれた世界屈指の学問の殿堂

公益財団法人東洋文庫(監修), 牧野元紀(編著)

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東洋文庫の100年 開かれた世界屈指の学問の殿堂

2,750

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 平凡社
発売年月日 2025/03/24
JAN 9784582839760

東洋文庫の100年

¥2,750

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2025/09/17

ミュージアムで有名な東洋文庫、学生の頃図書館司書の講義を取っていた際に見学に行った。それからは魅力に取り憑かれたように企画展に行き、パンフレットも必ず買うようにしていたのだが、現在は休館中とのことで寂しい限りである。再開を心待ちにしている。 さて、話が逸れてしまったが、東洋文庫...

ミュージアムで有名な東洋文庫、学生の頃図書館司書の講義を取っていた際に見学に行った。それからは魅力に取り憑かれたように企画展に行き、パンフレットも必ず買うようにしていたのだが、現在は休館中とのことで寂しい限りである。再開を心待ちにしている。 さて、話が逸れてしまったが、東洋文庫はミュージアムである前に、図書館であり、研究機関である。それも世界でも有数のアジア専門の図書館・研究機関なのだ。三菱財閥が関わっているということはうっすらと知っていたが、本書を手に取ったことでその歴史や関係者、内情といった込み入ったところまで知ることができた。もともと関係者にのみ配布予定であったこちらの書籍を流通にのせてくれた牧野元紀さんに感謝である。 関係者のみを対象としていたこともあって、100年の歴史を振り返る序盤においては初めて聞く出来事や知らない関係者、聞き慣れない書籍名の羅列が続く上補足的な説明もあまりないため、正直頭の中に入ってこない。右から左に抜けていくような感覚である。しかしこの概略のような説明のおかげでその後の展開が掴みやすかった。ここは本当に流し読みしないで良かったなと思った。 中盤からは創設に関わった人々や寄贈者についての細かい解説に移っていくのだが、ここからがまさに本書の核といってよい部分だと思う。書物をこよなく愛し、人を信頼して資金は出すがあとは現場の人間に任せた岩崎久彌の漢気には本当に痺れた。現代の価値で凡そ70億円にもなるモリソン文庫の購入も二つ返事で了承(しかも玄関前の立ち話で)し、その後も追加の書籍の購入費用、維持費を惜しみなく出しながらも余計な注文は一切つけず、自身はこの図書館にふらりと立ち寄って書籍を読むのを楽しみにしていたという。まるで水滸伝の好漢のようではないか。こういう人がいたからこそ、東洋文庫は今も世界でも5本の指に入るアジア図書館として今も運営を続けていられるのだろう。そんな岩崎氏のコレクションは、モリソン文庫とともに東洋文庫の蔵書の中核を担っている。 中国総統顧問も務めたジョージアーネストモリソンの蒐集した書籍の冊数は、2万4000冊にも登ったという。それだけの資料の内訳がどうなっているのか気になっていたのだが、本書によると、その大部分は当時の定期刊行物と、雑誌から抜粋した論文を整理したパンフレットが占めているという。ミュージアムでは装丁された書籍の方が陳列されていて目を引いたが、研究者からしたら当時の状況を鮮明に写しだしてくれるこれらの資料の方がありがたいのだろう。自身の仕事の関係もあっただろうが、知的探究心からこれだけの書籍、論文を蒐集していったモリソンには脱帽である。それこそ気の遠くなるような時間と資金を要したであろう。日本へ運んできた際にこれらの資料は高潮の被害にあったとのことだったが、現在でめ読める状態まで復元した人々の苦労も推し量れないものがある。多くの人の学問への熱情があったかこそ、今もこの知恵の館で我々は浴びるように貴重な情報に触れることができるのだ。 財政難もあり、出資者の三菱金曜会からの条件提示でミュージアムとして一般公開されることになった東洋文庫。この本を読んでしまった今になってその重みを感じる。翌年1月に再開とのことだが、次に行く時にはそれこそ齧り付くように資料を読み込んでみようと思う。 この本は、数々の著名な研究者の索引としても有効活用できる。私も、自身の興味のある朝鮮関係の研究者として、前間恭作さん、幣原坦さんの名前を知ることができた。今後お二人の資料を読み込んでみたいと思う。

Posted by ブクログ

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