商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 彩流社 |
| 発売年月日 | 2025/03/17 |
| JAN | 9784779130236 |
- 書籍
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ネイションの名の下に
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主題と立場: 本書は、17世紀中頃の三王国戦争期(イングランド、スコットランド、アイルランド間の戦争)における「ネイション」概念の用法と意味を、ニュースブックなどの同時代史料を通じて詳細に分析し、ナショナリズムの起源論(近代主義 vs 反近代主義)に対して、歴史的文脈に即した新た...
主題と立場: 本書は、17世紀中頃の三王国戦争期(イングランド、スコットランド、アイルランド間の戦争)における「ネイション」概念の用法と意味を、ニュースブックなどの同時代史料を通じて詳細に分析し、ナショナリズムの起源論(近代主義 vs 反近代主義)に対して、歴史的文脈に即した新たな視点を提供する。著者はナショナリズムの近代的起源を認めつつも、前近代におけるネイション概念の存在とその連続性・断絶性を精査する。 理論的枠組み: ナショナリズム研究における近代主義と反近代主義の対立を紹介。ネイションの定義(固定的領域、価値的平等主義、文化的一体性、中央集権的権威など)や、マレシェヴィッチによるイデオロギーと実践に基づく定義、社会組織・政治体の累積的発展といった理論的背景を整理する。 前近代の「ネイション/ナシオ」概念: 中世の大学や公会議における「ナシオ」は、近代的な恒久的帰属を前提とせず、地理的範囲も広範で、エスノ文化的な結合体ではなかったことを確認。しかし、プラハ大学の例では民族対立との関連も見られる。近世ドイツ(マクシミリアン1世)では文化共同体としての性格を獲得し、初期スコットランドでは「Landsmannschaft」に近い意味を持った。これらの分析を通して、近代概念との単純な断絶・連続ではない複雑な関係性を示す。 三王国戦争期スコットランドのネイション: 国民契約運動を背景に、宗教的・政治的正当性の根源として「ネイション」が強調される。契約派と教会党の対立の中で、ネイションの自衛権能や神聖な契約といった概念が用いられ、政治的に利用される。ラザフォードらの言説分析から、ネイションが単なる「政治的国民」(エリート層)だけでなく、身分を超えた広範な人々を包摂する可能性や、「国民性」に近い意味合い、世論の政治的権威を認める側面があったことを明らかにする。 三王国戦争期イングランドのネイション: 同時期のイングランドのニュースブックを分析。王党派、議会派、急進派など党派ごとのネイション概念の用法、「意思の語り」「一体性の語り」「判断の語り」といった言説パターンを類型化。クロムウェルの言説では、王政から共和政への移行期においてネイション概念が政治的主体として明確化・特殊個別化する傾向が見られる。「政治的国民」による主導性がスコットランドよりも強い傾向がある。 結論と意義: 三王国戦争期のネイション概念は、近代的要素(政治的動員、公共圏形成、民衆意思の権威化など)と前近代的な流動性や身分的要素を併せ持つ複雑なものであった。この分析は、ナショナリズムの起源を単純に近代に求める近代主義的な見方を相対化し、歴史的文脈におけるネイション概念の多様性と動態性を理解する上で重要であり、よりニュアンスに富んだナショナリズム研究に貢献する。
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