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虚構の日米安保 憲法九条を棚にあげた共犯関係 筑摩選書0299
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虚構の日米安保 憲法九条を棚にあげた共犯関係 筑摩選書0299

古関彰一(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2025/03/14
JAN 9784480018175

虚構の日米安保

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2025/04/10

日米安保条約締結の経緯と「押しつけ安保」: 第二次世界大戦後、日本の再軍備構想は、当初「警察力の強化」として国民に示されたが、下村定による「新自衛軍構想」のように、大日本帝国を彷彿とさせる構想も存在した。 日米安保条約は、日本の主権回復と同時に、米国の極東における安全保障戦略の一...

日米安保条約締結の経緯と「押しつけ安保」: 第二次世界大戦後、日本の再軍備構想は、当初「警察力の強化」として国民に示されたが、下村定による「新自衛軍構想」のように、大日本帝国を彷彿とさせる構想も存在した。 日米安保条約は、日本の主権回復と同時に、米国の極東における安全保障戦略の一環として締結された。著者によれば、その過程において、米国側の意向が強く反映された「押しつけ安保」の側面があった。 米軍基地は治外法権的な特権を持ち、在日米軍人・関係者には特別な地位が与えられている。 憲法九条と日米安保の矛盾: 憲法第九条は、戦争放棄と戦力不保持を規定しているが、日米安保体制は米軍の駐留を認め、日本の防衛を米軍に依存する側面を持つ。 著者曰く、「日本が生み出した最大の『世界遺産』だ。これこそ世界有数のlTL小大国・日本の『平和憲法』の真の姿ではないのか。」 しかし、現実には「国際貢献」を叫びながらも、日米安保に偏重し、アジア・太平洋地域における日本の主体的な役割が果たせていない現状を批判する。 「密約」の存在と日本の主体性の欠如: 吉田茂首相による口頭密約や、岸信介首相、佐藤栄作首相による核兵器の事前協議に関する「密約」の存在が指摘されている。 特に、佐藤首相とニクソン大統領の間で交わされた沖縄返還に関する密約は、核兵器貯蔵施設の維持や緊急時の使用を認める内容であったとされる。 著者は、こうした密約が日本の主権と国民に対する裏切りであると強く批判し、「密約を軽視する危うい政治」と断じる。 日米一体化の深化と指揮権の問題: 冷戦終結後、特に1990年代以降、日米間の軍事協力は深化し、「周辺事態」「重要影響事態」といった概念の拡大とともに、自衛隊の活動範囲が広げられてきた。 アーミテージ元国務副長官の提言にもあるように、有事における日米の指揮権の一元化が議論されるなど、「日米一体化」が進んでいる。 しかし、政府は「自衛隊と米軍は独立した指揮系統」であると繰り返し説明しており、その実態との乖離が指摘されている。イラク派遣時の「統一された指揮」を「統合された司令部」と解釈するなどの例を挙げ、指揮権に関する政府の説明の曖昧さを批判する。 核兵器をめぐる日本の曖昧な姿勢: 日本は被爆国でありながら、「核の傘」の下で米国の核抑止力に依存している。 G7広島サミットにおいても「核抑止力」を肯定する岸田首相の姿勢を批判し、非核化への努力が小国から始まった歴史的事実を指摘する。 ニュージーランドの非核政策を例に挙げ、同盟関係を維持しながらも核兵器の持ち込みを拒否する姿勢も可能であることを示唆する。 安全保障概念の再考と「社会的共通資本」の重要性: 著者独自の視点として、国家安全保障だけでなく、社会保障や人権といった広範な要素を含む「社会的共通資本」の充実こそが、真の安全保障につながると主張する。 ベンサムやカントの平和論、ワイマール憲法の社会保障規定などを参照し、日本の憲法が持つ社会権的な側面の重要性を強調する。 ジョン・ダワーの言葉を引用し、「社会的共生」を通じて「平和国家」を再建することの重要性を訴える。 「政府内」文書と国際感覚の欠如: 日本政府の安全保障に関する文書や戦略は、国際社会の理念から乖離した、日本国内にしか通用しない自己流の「政府内」文書になっていると批判する。 マイナンバー制度の導入など、国民生活に深く関わる政策においても、国民への十分な説明や理解が得られていない現状を憂慮する。 民主主義の未完成と地位協定の問題: 男女平等の理念が十分に浸透していない現状や、米軍による事件・事故に対する日本の不十分な対応など、日本の民主主義の未完成さを指摘する。 日米地位協定の改定が進まない現状を批判し、米軍の特権が依然として存在していることを問題視する。 「神風」思想の復活と精神論の危険性: 陸上自衛隊陸上総隊の「総隊歌」の歌詞に触れ、「神風」という言葉が用いられていることを指摘し、過去の悲劇を繰り返すような精神論の復活に警鐘を鳴らす。 今後の日米関係と日本の主体的な外交: 米国一国では敵を抑止できなくなった現状を踏まえ、従来の「日米同盟」の枠組みを超えた、より多角的なネットワーク型の安全保障協力の必要性を指摘する。 エマニュエル駐日米大使の言葉を引用し、過去70年間触れられずにきた政策課題の変化を認識し、新たな時代に対応した外交戦略を構築する必要性を強調する。

Posted by ブクログ