商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 名古屋大学出版会 |
| 発売年月日 | 2025/03/05 |
| JAN | 9784815811839 |
- 書籍
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近代イギリスの動物史
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近代イギリスの動物史
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商品レビュー
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イギリスの近代において動物がどのように扱われてきたのかの変遷が丁寧に書かれている。 特に最初にこれまでの動物史の変遷が書かれており個人的に大変ありがたかった。活用させていただく。 その後の各章についてもダーウィンという個人について、動物虐待、インドという温帯~亜熱帯地域の鳥をい...
イギリスの近代において動物がどのように扱われてきたのかの変遷が丁寧に書かれている。 特に最初にこれまでの動物史の変遷が書かれており個人的に大変ありがたかった。活用させていただく。 その後の各章についてもダーウィンという個人について、動物虐待、インドという温帯~亜熱帯地域の鳥をいかにして寒冷地英国に連れてくるか、育てるかという取り組みなど動物に関する様々なことについて触れられており大変面白く読んだ 2020年代までの動物史の系譜が書かれていることがとにかくありがたく今後の参考にさせてもらう
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◆ 序章「ペンギン、空を翔ぶ」 ペンギン展示の文化的意味からスタートし、人と動物の関係性の演出、可視化、境界の揺らぎを描く。 ロンドン動物園と旭山動物園の比較を通じて、人間中心の視点の再考を促す。 本書の三大テーマ:「動物の可視化と主題化」「人と動物の相互関係」「人新世における動...
◆ 序章「ペンギン、空を翔ぶ」 ペンギン展示の文化的意味からスタートし、人と動物の関係性の演出、可視化、境界の揺らぎを描く。 ロンドン動物園と旭山動物園の比較を通じて、人間中心の視点の再考を促す。 本書の三大テーマ:「動物の可視化と主題化」「人と動物の相互関係」「人新世における動物の位置づけ」を提示。 ◆ 第1章「黎明期の動物園」 ロンドン動物園(1828年開園)の設立背景と都市空間における意味を分析。 観客の体験(ベアピット等)を通じて、動物の展示が都市住民の自然観・帝国意識に与えた影響を示す。 動物園は科学の場であると同時に審美的・娯楽的空間でもあった。 ◆ 第2章「収集、展示、馴致」 キリン導入を通じて、展示空間の視覚性と文化的構成を分析。 展示とは、動物を「驚異」から「日常」に馴致する人間側の過程でもある。 動物園は知の視覚化・帝国の象徴空間であった。 ◆ 第3章「科学とカネ」 ロンドン動物学会の財政危機と商業化、そして入場料による収益化の過程。 「科学」の名を冠して税制優遇を受ける一方で、娯楽施設としての実態との矛盾。 動物園は「知と金」の交差点であり、公共性と市場性が共存・衝突した。 ◆ 第4章「銃を握れない牛のために」 世界初の動物虐待防止法「マーティン法」の成立とその政治的背景。 道徳・情動・宗教・法制度が絡み合い、「人間中心の正義」の拡張として動物保護が成立。 家畜市場と動物園の空間的・倫理的な分節化。 ◆ 第5章「幸福な家族」 見世物「幸福な家族」に見る、多種動物の共存=家族モデルの理想化。 少女・家庭・道徳教育という文脈の中で、動物はジェンダー学習・感情教育の道具となる。 動物との共存を通じた都市市民の「内面」の調整。 ◆ 第6章「進化論の被造物」 ダーウィンの進化論が動物観に与えた変化。 「人間と動物の連続性」「知性の階梯構造」などの新たな枠組みが提案される。 ダーウィン自身もまた「進化論によって構築された社会的存在」として再評価。 ◆ 第7章「気候に挑む」 イギリスおよび植民地における**気候馴化(acclimatization)**の実践。 動物の適応能力を科学的に管理することにより、生態系の人為的再編が試みられた。 帝国的支配・文化的輸出・科学実験が交差する場としての気候馴化政策。 ◆ 第8章「生物多様性の起源」 「生物多様性」の概念が19世紀にいかに成立したかを追う。 動物地理学、分類学、固有種の概念などが絡み合い、科学的知識と帝国的収集欲が生物多様性の土台を築いた。 博物館・動物園の展示による視覚的整理と教育的機能もその一環。 ◆ 終章「雪原のキリン」 現代日本の旭山動物園における「雪の中のキリン」から、近代的展示・視線の再考へ。 動物を一方向的に「見る」のではなく、動物と共に「生きる」視線の可能性。 本書全体を通じた歴史的な視点の集約と、「動物と共にある未来」のための提言。 本書の結論・意義 動物園や動物保護法、博物学などの営みは単なる社会現象ではなく、科学・帝国・倫理・ジェンダー・経済と結びつく複雑な文化装置であった。 動物を通して、人間社会の構造、価値観、視線の変遷を浮き彫りにすることで、人文学と動物史の交差=アニマル・ターンを提唱する。 現代の「人新世」において、動物との関係性を再構築することが問われている。
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