スラム産業が生み出すイノベーション 現代インド・ムンバイーの革製品工房

久保田和之(著者)

• 販売会社／発売会社: 昭和堂
• 発売年月日: 2025/02/18
• JAN: 9784812224106

商品レビュー

2025/03/17

1. ダーラーヴィーとスラム産業
- 地理的背景: ダーラーヴィーはムンバイーの中心に位置し、アジア最大のスラムの一つ。
- 生産活動: 革製品、アパレル、刺繍、陶器などが広範囲にわたって製作されている。
- 労働者の質: 若手工房主は高い教育を受け、英語やヒンディー語、マラーティー語を話す者が多い。

2. スラム産業の概念
- スラム産業の定義: 熟練労働者、デザイナー、起業家など多様な人々が結びつき、イノベーションを通じて経済活動を行うこと。
- インドの皮革産業: インドは世界的な皮革製品の主要輸出国であり、2018年度には約32億ドルの輸出を記録。

3. ダーラーヴィーの革製品産業
- 職人の教育: 多くの職人が大学の学位を持ち、社会的地位向上を目指している。
- 輸出市場の変化: 高級品の生産やオリジナルデザイン製品の開発にシフトしている。

4. インフォーマルセクターにおけるダリトの役割
- 社会的・経済的向上: ダリトはインフォーマルセクターでの起業を通じて社会的地位を向上させる可能性がある。
- 教育レベルの向上: 教育を受けたダリトが社会・経済的向上に寄与している。

5. ダーラーヴィーの工房ネットワーク
- 製造卸問屋制度: 工房間の結びつきや流通経路の形成が重要で、商人に代わって原材料や資金を提供する工房が存在。
- 異なる生産方式: 国内向け低価格製品と輸出向け高級品の生産が共存している。

6. 近年の革製品産業の変容
- ショールームの増加: ダーラーヴィーは革製品の卸売・小売業の中心地に変貌。
- デザイナーとの連携: 教育レベルが高い職人がデザイナーとの協働を通じて新たな製品を開発。

7. イノベーションと高級品開発
- 共同開発プロセス: デザイナーと職人の相互作用を通じて製品の改良や新しいデザインが生まれる。
- 市場への適応: 高級品市場への参入に成功し、新しい消費者ニーズに応える。

8. 結論
- ダーラーヴィーの特色: 従来のインフォーマルセクター観に当てはまらないユニークな産業構造を持ち、教育やイノベーションを通じて成長を続けている。
- 未来への展望: 引き続き地域性と結びついた経済活動の発展が期待される。