シルクロードのコイン(1) 帝京大学シルクロード叢書001

山内和也(編者)

• 販売会社／発売会社: 帝京大学出版会/星雲社
• 発売年月日: 2025/02/05
• JAN: 9784434352492

商品レビュー

2025/03/10

シルクロードのコインの種類
- クシャノササン鉗貨:
- キダーラによって発行された金貨で、王の肖像と拝火培の図が描かれている。
- クシャーン朝後期のデザインを踏襲した薄型の金貨が存在。

- キダーラ:
- 5世紀頃にガンダーラやインド北部を支配した。
- 銀貨や銅貨など多様なコインを発行し、特に王の胸像が描かれたササン朝タイプのものが多い。
- 東ソグド地域に勢力を拡大したことが特徴。

- アルハン（Al khan）:
- 4～5世紀に発行され、特に小型の銅貨が見られる。
- サマルカンドと類似したタムガを持つ銅貨が存在。

コインの発行と流通
- 発行者不詳のコイン:
- 多くのコインが発行者不詳で、地域ごとに異なるデザインや銘文が見られる。
- 特に北トハリスタンではササン朝の銀貨が流入し、模倣貨幣が発行された。

- ペーローズ1世とフスラウ1世の校倣貨:
- バクトリア文字銘を持つコインが発行され、地域の影響を示している。

文化的及び歴史的背景
- 民族移動の影響:
- ヒンドゥークシュ山脈周辺での遊牧民族との接触が、コインデザインや発行に影響を与えた。
- フンの影響が見られる地域では、特にキダーラが台頭し、彼らの文化的アイデンティティを表現した。

- 宗教とコイン:
- ササン朝時代のコインには、宗教的なシンボルや銘文が多く含まれており、商業や交易における信仰の重要性を反映している。

現代の研究と発見
- 発掘と研究の進展:
- 帝京大学文化財研究所による発掘が進められ、古銭の詳細な研究が行われている。
- アク・ペシム遺跡から出土したコインの解析を通じて、ソグド文化やその周辺地域の歴史が明らかにされつつある。

- 保存状態の重要性:
- コインの保存状態は、その歴史的価値を理解する上で重要であり、詳細な比較研究が求められている。

結論
本書では、シルクロードにおけるコインの多様性とその文化的、歴史的意義が強調されています。コインは単なる通貨ではなく、当時の社会、宗教、政治の影響を受けた重要な文化遺産であることが示されています。これらの知見は、今後の研究の基盤となるでしょう。