ロケットサバイバル2030 国産H3は世界市場で勝てるか

松浦晋也(著者)

• 販売会社／発売会社: 日経BP/日経BPマーケティン
• 発売年月日: 2024/12/23
• JAN: 9784296206681

商品レビュー

2025/01/23

1. H3ロケットの概要
- 後継機: H3ロケットはJAXAの現行基幹ロケット「HIIIA/B」の後継機として開発されている。
- 開発コンセプト: 「低価格」「高信頼性」「柔軟性」を重視し、国際競争力を高めることを目的としている。
- 打ち上げコスト: H3は、HIIIA/Bと比較して打ち上げ価格を約50億円に抑えることを目指している。

2. 打ち上げスケジュールと実績
- 初号機の打ち上げ: H3の初号機は2023年3月7日に打ち上げられたが、失敗し、第2段エンジンが着火しなかった。
- 成功した打ち上げ: 2024年2月17日にダミーのペイロードを搭載した2号機が成功し、続いて7月1日に「だいち4号」を搭載した3号機が打ち上げに成功。

3. 技術的特徴
- エンジン技術: H3ロケットは、過去の運用で蓄積した技術を活用した。特に、主エンジン「LE-9」はエキスパンダー・プリード・サイクルを採用し、性能向上を図っている。
- 製造効率: 年間6機程度の打ち上げを安定的に行える体制を目指している。

4. 市場競争と課題
- 競争環境: スペースXなどの回収型ロケットとの競争が激化している。H3は「究極の使い捨て打ち上げ機」として位置付けられているが、回収型に対する劣位が懸念されている。
- 課題: 射場へのアクセス、衛星の搬入等の物流面での課題が存在。種子島宇宙センターの施設老朽化も問題視されている。

5. 将来の展望
- 次世代開発: H3の技術を基にした次世代ロケットの開発が必要とされており、2030年代を見越したアップグレードプランが検討されている。
- 国際競争力: 円安の影響で国際市場における競争力の向上が期待されている。また、H3の成功した打ち上げ実績が信頼性を高める要因となっている。

6. まとめ
- H3ロケットは、低コストで高信頼性を重視した設計で国際競争力を持つことを目指しているが、回収型ロケットとの競争や射場の課題がある。今後の技術革新と市場動向に注目が集まる。