商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
| 発売年月日 | 2024/12/06 |
| JAN | 9784120058615 |
- 書籍
- 書籍
ルポ 国威発揚
商品が入荷した店舗:店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
オンラインストア上の価格と店頭価格は異なります
お電話やお問い合わせフォームでの在庫確認、お客様宅への発送やお取り置き・お取り寄せは行っておりません
ルポ 国威発揚
¥2,640
在庫あり
商品レビュー
4.3
6件のお客様レビュー
日本も参政党の躍進や高市政権の発足で、いよいよナショナリズムが前面に出てきた感がする。 近年のナショナリズムはSNS等での発揚が強いが、筆者はあえてリアルな場を求めて世界を巡る。 トランプあり安倍晋三があり、もちろん日本の戦前戦中の「八紘一宇」「神武天皇」を顕彰する場がある。と...
日本も参政党の躍進や高市政権の発足で、いよいよナショナリズムが前面に出てきた感がする。 近年のナショナリズムはSNS等での発揚が強いが、筆者はあえてリアルな場を求めて世界を巡る。 トランプあり安倍晋三があり、もちろん日本の戦前戦中の「八紘一宇」「神武天皇」を顕彰する場がある。と思いきや、難波大介(昭和天皇暗殺未遂事件)の生家も訪れている。 筆者の政治的スタンスは中立のような気がするが、現場で感じている感覚は自分にも近いので好感が持てる。かと言って、紹介されて場を訪れてみたいとは思わないが笑。 最後の総論で述べている「国威発揚の四象限」の解説は分かりやすく納得できる。
Posted by 
テーマは右だけど難波大助や伊藤野枝などのアナキストなんかも出て来て視座と志が高く視野も広い真面目な本。その一方でp320のだれにも共感してもらえない感動が胸をよぎったと言うのは爆笑させられた。完全にパキってる!
Posted by 
世界の右傾化が叫ばれて久しい昨今、わが国でも先の参院選で極右政党と揶揄される某政党が驚異的な議席数を伸ばした。ドイツやイギリス同様、日本にもいよいよ極右政党のトレンドが上陸してきた感がある。 そのトレンドをけん引してきたのが歴史戦だ。 歴史戦の主戦場はネット空間だが、著者はあえ...
世界の右傾化が叫ばれて久しい昨今、わが国でも先の参院選で極右政党と揶揄される某政党が驚異的な議席数を伸ばした。ドイツやイギリス同様、日本にもいよいよ極右政党のトレンドが上陸してきた感がある。 そのトレンドをけん引してきたのが歴史戦だ。 歴史戦の主戦場はネット空間だが、著者はあえて実際のリアル空間での「戦場」にスポットライトを当てる。そう、世界には、あまたの国威発揚を企図するモニュメントや造形にあふれかえっている。そのルポが本書だ。 上からナショナリズムやイデオロギーを押し付ける手法を「プロパガンダ」というが、一国の右傾化は何もお上主導にすべて牛耳られているわけではない。同様に民衆や私企業が積極的に愛国心を盛り立てていく「下からの参加」もある。そこであえて「国威発揚」という用語にその両方の意味を込めたという。 本書は国威発揚現象を成立させる5要素「偉大さを作る」「われわれをつくる」「敵をつくる」「永遠をつくる」「自発性をつくる」にも続き構成されている。 第1部は個人崇拝の最前線。偉大さの演出がこれでもかと試みられている様子を見ることができる。 まずは自らを徹底的にネタ化して売り込みに成功した米大統領トランプの本拠地たるトランプタワーの取材から冒頭を飾る。次に、神となった安倍晋三の神社がなぜか台湾に建てられており、そのキッチュなさまの紹介にも、個人的にはウケた。他方で、昭和天皇暗殺未遂を犯した人物の「大逆」ぶりが、100年以上たった今でも忘れられず、地元からいまだにリアルタイムで忌み嫌われている現状には呆れかえるほかなかった。 第2部「われわれ」の系譜学で取り上げるのは、祖国再発見の事象だ。近代化に伴い「国民」を創出する必要性から天皇中心の国家観が整備され、神社の再編及び格付けが加速した。その愛国シンボルのトップランナーといえば東京九段の「靖国神社」だが、その関西版ともいうべき神社が大阪府で再発見される。 また、教育版靖国として大阪城内に「教育塔」なるモニュメントがそびえたつさまのルポ。戦前に教育勅語発布に合わせてそこで開催された「教育祭」なるものが、なんと戦後の今でも日教組によって引き継がれ、毎年開催されているから驚きだ。むろん、宗教色は一切排した体裁にはなっているものの、雅楽の代わりにワーグナーの楽曲に変更したというくだりには思わず爆笑した。ワーグナーといえば、言わずと知れたナチスのヒトラーがこよなく愛した曲ではないか。なんでもクラシックにすれば高尚、と思い込んでいる左翼メンタリティーのなせるワザかと、自分にはイタいほど効いた(笑) 国威発揚にいかに向き合うべきか。それは「古代=近代」という図式が世界中でナショナリズムの生成、強化に利用されてきたという歴史に向き合うことでもある。つまり、日本に限らず人類全体の問題でもあるのだと著者は語る。 以下、第3部では燃え上がる国境地帯ー敵を名指しする、第4部では記念碑という戦場ー永遠を希求する、第5部では熱狂と利害の狭間ー自発的に国を愛する、と引き続く。 愛国イデオロギーやナショナリズム高揚は決して上からの押し付けばかりでは貫徹しない。必ず民衆からの積極的な参加も必要となる。戦前の軍国主義も消費社会とのマッチングがあった。多くの軍神が無自覚なままキャラクターのように消費されていった。その歴史を知ることで、いま世界に広がっているトレンドの理解の一助になれればと思えた一冊であった。
Posted by 
