商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | KADOKAWA |
| 発売年月日 | 2024/11/08 |
| JAN | 9784049156461 |
- 書籍
- 文庫
01 よって、初恋は証明された。
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01 よって、初恋は証明された。
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商品レビュー
4
7件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
KU。 逆井卓馬著『よって、初恋は証明された』を手に取ったとき、私はまず爽やかな青春小説を想像していた。理系の部活動を舞台にした友情や恋愛のきらめきが中心になるのだろうと。しかし、読み進めるうちに明らかになったのは、それだけではない――日常のなかに潜む小さな謎を、理系的思考と論理の力で解き明かしていく、知的で滋味深い物語だった。驚きとともに、その二重構造の巧みさに心を奪われたのである。 本作の魅力は、若者らしい感情の機微と、冷静な推理の積み重ねが緊張感をもって同居している点にある。登場人物たちは悩み、迷いながらも、検証や論理のプロセスを通じて自分自身や他者と真剣に向き合っていく。その姿は、単なる謎解きを超えた「青春の証明」そのものだと感じられた。 青春小説としての瑞々しさと、日常系ミステリーの知的快楽。その両方を併せ持つ本作は、読み手に爽やかな余韻と深い思索を同時に与える稀有な作品である。青春とは感情の奔流だけではなく、思考と対話を重ねる過程にこそ宿るのだという真理を、私はこの物語から強く教えられた。
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てっきりよくあるラブコメ系のラノベだと思っていたのでやりとりがガチガチの理学部のそれでびっくりした。面白いのだ。 学園もののラノベらしいいかにもな展開もありつつ、科学的な視点から根拠をもって日常の謎を推理していく様はまさにミステリ。振り返ってみて腑に落ちるところがいくつもある。衒...
てっきりよくあるラブコメ系のラノベだと思っていたのでやりとりがガチガチの理学部のそれでびっくりした。面白いのだ。 学園もののラノベらしいいかにもな展開もありつつ、科学的な視点から根拠をもって日常の謎を推理していく様はまさにミステリ。振り返ってみて腑に落ちるところがいくつもある。衒学趣味に走らず、読者がついて来られるようになっているのも嬉しい。良い買い物をした。
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ミステリにおいて犯人がトリックを用いるのはそりゃ自分の犯行を隠す為なのだけど、日常風景の中で探偵役に見破られないようトリックを弄する者が居たとしたら、何故トリックを使うのか?トリックを用いて何を為そうというのか?と理解できないだろうね 本作はそういった魔物のような恐ろしい存在が潜...
ミステリにおいて犯人がトリックを用いるのはそりゃ自分の犯行を隠す為なのだけど、日常風景の中で探偵役に見破られないようトリックを弄する者が居たとしたら、何故トリックを使うのか?トリックを用いて何を為そうというのか?と理解できないだろうね 本作はそういった魔物のような恐ろしい存在が潜んでいた作品でしたよ…… ただ、作品そのものが恐ろしいかと言えばそうではなく 作品傾向としては青春風景に科学的推理要素が組み合わされた物語と成っているね この科学的に推理するという要素は本書の青春っぽさをより増している印象を受けたよ 入学したばかりの高校一年生といえば新しい景色ばかりが目に飛び込んでくる時期でもある だからめちゃめちゃ可愛い同級生やら裏山に咲く桜などが気になってしまう。そこで腑に落ちない要素が見つかればつい気になって考えてしまう そうした瞬間に理系の樟が行う科学に基づいた推理は青春に潜む謎を解き明かすもの また、本作の多くのシーンで扱われる謎がまさしく日常で見掛けても可怪しくないタイプであるのは良いね 桜から消えたハートマークの謎やらちょっと変な新歓の謎、消された大銀杏の樹齢の謎やら… それらは悲劇的な殺人事件などでは決して無いから、樟や理桜が居る青春を崩さない だからか、青春的なミステリを過ごす中で青春的な悩みも見えてくる 樟にも父との軋轢が有るようだけど、それ以上に目立つのは理桜の閉塞感だね 科学が好きなのに中学時代の経験から、科学が好きとひけらかす事に負い目を感じている。科学が好きと言うよりも他人が自身に求める偶像に従順になってしまっている その悩みは青春模様として有りがちかもしれないけれど、だからこそ青春の中で解決してやりたくなるもの そう思えば、水崎や甘南備のサポートが有ったとはいえ、入学してすぐの段階で科学の楽しさを共有した樟が彼女を生物部に誘って、それに理桜が応えられたのはとても良い流れだったように思える だからこそ、そうした段階を踏んで前に進んでいく工程や謎解きを影から操る者が居るなんて微塵も想像していなかったけど 本作で度々示唆されつつも正体は見えなかった魔物。それが登場し、少しずつその恐ろしさが描写されるに従い、本感想文の序盤で記したような疑問が湧き、そして恐怖を覚える心地と成ってしまったよ…… いや、だって普通の学校生活の中に居ながら、あのレベルで全てを操る存在が登場するなんて理解を超えている。そんな存在を前にすれば自身の非力を自覚し、頭を垂れてしまうというもの そう思えただけに仮説も検証も無く科学的ですら無い論拠を樟が持ち出して魔物の企みを乗り越えてみせたシーンには感銘を受けてしまったな 誰かが作り上げた秩序と必然ではなく、己の心から導かれる幸福を願った。そこには樟がつい口にしてしまったような感情が無ければ成し遂げられなかった暴挙 魔物の論理を崩したのは人の心だったわけだ 樟がそのような本気の心で向かい合ってくれたから、きっと理桜は魔物が用意した道であっても異なる心地でその道へと進めたのだろうし、樟も自身の選択が間違いでなかったと思えたのだろうね 2人がラストシーンで見遣る透き通っているだろう海面や青空のような気持ちよさを感じられる内容と感じられたな 物語としてはまだ高校生活が始まったばかり。けれど、プロローグとエピローグでは未来の姿が描かれているわけで 樟がカタクリの花言葉に気付くまでの青春物語をじっくり楽しみたいと思えるとても良い第1巻でしたよ
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