イルカと否定神学 対話ごときでなぜ回復が起こるのか シリーズケアをひらく

斎藤環(著者)

• 販売会社／発売会社: 医学書院
• 発売年月日: 2024/10/07
• JAN: 9784260057356

商品レビュー

2025/01/22

オープンダイアログも知らないままに手に取ってしまい、読み始めましたが、難解過ぎて、一度は挫折。
その後、オープンダイアログ関連書籍を2冊程読んでリベンジ読了成功しました。まだ、十分に理解出来ていないので、★4つとしましたが、定期的に読み返してみたい1冊です。

2025/01/15

斎藤環さんの本だし、新聞書評にも載ってたし、と気軽に読み始めたものの、かなり専門的な知識が必要な内容だった。特にラカンが未履修なのでキツかった。
題名どおり「対話(オープンダイアログ)」でなぜ心の病が治るかということを理論的に考えた本だった。
それでも脳＝身体にアプローチすることと心にアプローチすることを立て分けて考えている部分など、素人にも興味深い分析があり、これを哲学として考えることも可能かと思う部分もあった。

2025/01/07

いやー、難しかった。これまでに読んだ斎藤環氏の本のなかでは最難関で、著者のいう「空中戦」を地上からながめて終わった感じ。
それでも読みたいと思ったのはオープンダイアローグに興味があるからで、身体性やポリフォニーの働きに惹かれるからなのだけど。またいつか読んでみる……かも？

＝＝＝自分なりに導入部分のまとめ＝＝＝
・オープンダイアローグはたしかに統合失調症の治療に効く。しかしなぜ「対話ごとき」で治るのか。
・これについて「つながりによるケア」すなわち、「一体感」によって治癒に向かうのではという誤解がある。しかしそうした一体感はカルトの洗脳に用いられたり、意識を変成させたりするような「ヤバい一体感」につながる可能性がある。
・むしろオープンダイアローグはその対極にあって、一体感とは無縁。「みんなのなかで1人でいられる」もの。ハーモニーやシンフォニーではなく「ポリフォニー」であるところが大切。同調圧力はない。
・治療においては主体性の回復が最重要課題。主体性とはそもそも「生ずる」もので能動的な他者が「引き出す」ものではない。「改善や治療を目指してはいけない」という究極の逆接が重視されている。
・オープンダイアローグの技法は精神分析を念入りに排除しているように見えるが、ラカン理論の「否定神学性」と相通じるところがある。
・このあとラカン理論の解説に入っていくと難しくてついていけなくなる。