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罪名、一万年愛す
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罪名、一万年愛す
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商品レビュー
3.3
39件のお客様レビュー
個人所有の小さな孤島から、1人の老人が忽然と姿を消した。 老人の名は梅田壮吾。九州の富豪で島の持ち主だ。壮吾氏がいなくなったのは、氏の米寿を祝う内輪のパーティーが開かれた翌朝のことだった。 台風が間近に迫っており、本土に帰るのは不可能だ。島にはパーティー会場となった別荘が...
個人所有の小さな孤島から、1人の老人が忽然と姿を消した。 老人の名は梅田壮吾。九州の富豪で島の持ち主だ。壮吾氏がいなくなったのは、氏の米寿を祝う内輪のパーティーが開かれた翌朝のことだった。 台風が間近に迫っており、本土に帰るのは不可能だ。島にはパーティー会場となった別荘が1棟あるだけで他に身を隠すところはない。ならば壮吾氏はどこに消えたのか? 氏のベッドにあった「遺言書」に書かれていた謎めいたことば。そして氏がパーティー当日に見せた不自然な言動。 残された手がかりをもとに、懸命の捜索が始まった。 謎が謎を呼ぶヒューマンミステリー。 ◇ 長崎県北西部の北松浦半島。半島の西には九十九島と呼ばれる 200を超える群島が連なっている。島の大半は岩礁や無人島だが、個人所有の別荘島も多い。 野良島は、そんな別荘島の1つだ。 野良島の持ち主は梅田壮吾。高度経済成長期に九州を中心にデパート事業を展開し、一代で財を成した立志伝中の人である。 現在、事業は息子から孫へと引き継がれていて、すでに経営から退いている壮吾氏は、この野良島で隠居生活を送っていた。 今回、米寿を迎えた壮吾氏を祝おうと、内輪で野良島に集うことになった。 横浜で探偵事務所を営む遠刈田蘭平は、梅田豊大 ( 壮吾氏の孫です ) からある依頼を請け、豊大の招待客としてパーティーに出席したのだが……。 (「プロローグ」) ※全18話とプロローグ及びエピローグからなる。 * * * * * 吉田修一さんの探偵小説。しかもクローズドサークルで始まるコテコテ謎解きミステリーとは!? ということで、意外の感に駆られつつも、ワクワクしながら読み進めました。 物語の謎は3つあります。 1つ目は、梅田壮吾氏の行方です。 米寿のお祝いパーティーで少々はしゃぎすぎの感があった壮吾氏。翌朝、「遺言書」を残して姿を消しました。 けれど普段の壮吾氏を知る息子夫婦や孫たちは、壮吾氏が自殺するとは考えられないと言います。 別荘内にはいない。狭い島内に身を隠す場所はない。台風接近で本土には帰れない。 いったい壮吾氏はどこへ消えたのか? 2つ目は、壮吾氏が別荘内で紛失した時価35億円の宝石の行方です。 この宝石は、かつて壮吾氏がオークションで落札した25カラットはあるルビーで、「一万年愛す」という名がつけられています。 遠刈田が別荘を訪れたのは、宝石を探してほしいという豊大の依頼を請けてのことでした。 そして3つ目は、45年前に東京で起きた主婦失踪事件の真相です。 状況から見て自発的に失踪したのではないと判断した警察は捜査を開始。その途上で、容疑者として浮上したのが壮吾氏でした。 ただ、確証がなかったことと壮吾氏が九州の名士だったことで、壮吾氏の身柄が拘束されることはなく、事件は迷宮入りとなりました。 捜査を担当したのが坂巻丈一郎という警部だったのですが、坂巻と壮吾氏は以後もときおり連絡を取り合うようになり、その関係は互いに高齢となってからも続くことになります。 坂巻は今回も壮吾氏から招待されて、野良島を訪れていたのでした。 ということで、壮吾氏の身内以外でパーティーに招待されたゲスト2人、探偵・遠刈田蘭平と元刑事・坂巻丈一郎の主導によって真相が明らかになっていくプロセスが描かれます。 謎解き中心に展開する前半は古典的なミステリーのようなテイストで、過去の回想中心に展開する終盤は歴史問題や社会問題に目を向けさせられるような内容で、非常に奥行きが感じられる作品に仕上がっていたと思います。 新聞小説らしくメリハリを効かせた書き方がされていましたが、ただのエンタメ要素の強いミステリーで終わらせないのは、さすが吉田さんだと感心しました。
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前半部分はライトな推理小説という感じだったが、後半で主要人物の過去が明らかになるにつれて重くなっていく。 後半の展開が急すぎて、コンセプトがあんまりまとまっていない印象だった…
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タイトルの謎が解ける時が物語の真相が明らかになる時だと確信しながら読み進めた。スリリングな展開と驚きのラスト。物語とも実話とも取れる結びも含め、十分楽しめた。
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