迷子のトウモロコシ

嘉成晴香(著者), 佳奈(イラスト)

• 販売会社／発売会社: 金の星社
• 発売年月日: 2024/09/18
• JAN: 9784323075525

商品レビュー

2025/07/05

特別。
自分は特別。
実はみんな思ってるのかもしれない。
でも、自分なんか特別じゃないとも思ってる。
外から見る人たちは勝手なこと言うけど、外から見てる人にしか気づけないこともある。
バランス良い作品だったな、リアルとファンタジー。
でも一番ファンタジーなのは、いつでも子どもたちだけで使って良い部屋があるってことかもしれない。
そんな部屋欲しかったな。
掃除とか片付けとか、みんなでやったのかなあ。直くんがやってくれてたのかなあ。

2024/12/11

天才アーティストの姉をもつ平凡な妹。天才（と周りは思っている）には天才なりの悩みもあるよね、という。

2024/10/27

中学生なのに有名画家として活躍する姉を持つリーナ。
姉に対して言葉にできない気持ちを抱えるリーナを支えるのは、元大家の「おばあちゃん」のおうち。
リーナを中心とした、姉のエリー、クラスメイトの前川さんたちの、「特別」な毎日。
＊
吉成晴香さんの作品はあったかい。
登場人物たちはみんな何かを抱えながら、一生懸命に生きている。
今回の主人公リーナはユニークな子で可愛らしい。
リーナの「トウモロコシのヒゲみたいな髪」が、癖毛を気にしている娘たちの髪のようで親近感がわいた。

表彰される誰かは実はとっても努力しているし、表彰されていない誰かも、とっても努力している。
そんなことを考えて、表彰式で誰よりも大きな拍手をするリーナが愛おしい。
前川さんがそれに救われたのもうれしい。
自分にとっての「特別」を見つけられないリーナが、得意なことではなく「楽しめること」を探し、前川さんや咲ちゃん、クラスのみんなが一つになっていくのがとても気持ちよかった。

みんなが純粋で、素直な自分を出せる吉成さんのお話。
こんなふうに恥ずかしがからないで、善意を出しあえる世の中だといいなぁ。
＊
帯にある吉成さんのメッセージもいい。
「大きな大きな拍手を送りたい。どこから来て、どこにいて、どこへ行きたいかもわからない、それでも空を見上げる迷子に。そんな気持ちを込めて、大切に書きました。
この物語を見つけ、手に取ってくださった全ての方の、ため息が出るような朝や涙をこらえる夜の先に、ドラマチックでなくとも特別に覚えていたくなるような一瞬が訪れますよう、心からお祈りいたします。」