鉄オタ集結！ 「好き」を強みに 発達障害のある子の居場所「鉄オタ倶楽部」

富井奈菜実(編著), 越野和之(編著), 別府哲(編著)

• 販売会社／発売会社: クリエイツかもがわ
• 発売年月日: 2024/08/26
• JAN: 9784863423725

商品レビュー

2024/12/26

ここに入れた子はラッキーだと思う。
好きなことがあるのは単純にうらやましい。
発達障害があってもなくても、自分の居場所があるということ、好きなことを思いっきり理解してもらえる場があるということは単純にとても幸せ。

私は、鉄道にも発達障害にもさほど関心はないのだけど、専門家のコラムは興味深く読んだ。
職場のチーム内にも発達障害の社員はいる。夫ももしかしすると…な部分が多い。

現状、奈良教育大学特別支援教育研究センターの「鉄オタ倶楽部」で活動できる大人は、発達障害に関する専門知識のある人か、教育機関または鉄道会社で働く人、ということになっているようだけど、「ただの電車好きのオッチャン」程度の電車が好きな大人もフラットに、ライトに関われるしくみがあったら、さらにとてもいいんじゃないかと、ド素人の私なんかは思ってしまう。発達障害がもっと身近に社会の中で受け止められて、居場所があったらいいと思う。

本書は、夫が図書館で予約していて数ヶ月待っていたもの。私の夫も鉄オタなので、興味があったらしい。
「こんな場所がもし自分が小学生のときにあったら…もしここに小学生のときに入れたり、なんらか関わることができてたら…人生変わってたと思うわ」夫はそう言っていた。
時刻表が大好きで、授業中にずーーーっと時刻表を眺めていて、東海道新幹線の時刻表はすっかり記憶していた小学生だったのだという。周囲には理解されず、先生もヒステリックに時刻表を取り上げて、毎日学校で揉めていたらしい。
そう考えるとセカンドプレイスとしての学校が、本人にフィットしていることが大事なんじゃないかという気もするけど、さすがに小学校で「ひとりひとりの個性を大事に」とか言っても限界あるよな、と思う。

先日、発達障害の子どもを育てる友人と久しぶりに会った。多くは話せなかったけれど、悩みは深そうで、そして私は「そうなんだね」と言うことしかできなかった。
別の知人とも話をする中でも、子どもが発達障害で、という話題になった。本書を読んだあとだったので、「好きなものに打ち込める環境を提供できるといいんだけど」という親としての思いに、少しは寄り添えたかな、とは思うけど、やっぱり「そうなんだね」と言う程度のことしかできない。
そんなこんなで、120ページもない本なので１時間程度でサクッと読めた本だったけど、感想を書くのにあたって気持ちがグルグルとまとまらなくなってしまった。

同じ社会のなかで、共に生きる。
障害があっても、なくても。
誰もが生きやすいと思える社会って、なんだろう。
私にできることはなんだろう、と思う。
私も親になった。これはいい機会だと思いたい。