商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2024/07/12 |
JAN | 9784065345054 |
- 書籍
- 文庫
暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ
商品が入荷した店舗:店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
オンラインストア上の価格と店頭価格は異なります
お電話やお問い合わせフォームでの在庫確認、お客様宅への発送やお取り置き・お取り寄せは行っておりません
暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ
¥1,045
在庫あり
商品レビュー
5
4件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本屋で見かけて気になったので。 原爆の話と想定して購入したし、実際原爆について勿論触れているのだが、大半は「海上輸送」の話だった。 これがまた自分が想定していた以上に興味深い内容で、なかなか分厚い本ながら最後まで楽しく(と書くと不謹慎かもしれないが)読むことができた。 輸送、特に兵器や兵糧など兵士以外の運搬について戦争の話をする際に意識することがあるだろうか。 つい兵士たちのエピソードに目が行きがちで、運搬のことまでは注目しないのではないだろうか。 それが戦中の、当時の人たちですら、運搬に関わる人以外は注視していなかったのだから、無理もあるまい。 島国の日本は輸送をどうしても船に頼らざるを得ないのに、その船が当初から手薄だったという。 よくその中、太平洋戦争を続けられたなとしみじみ思う。 アメリカがそんな日本の海上輸送をことごとく潰しにかかっていたのだから、日本人よりよほど日本のことを理解していたように思えてくる。 いや、日本にも勿論理解していた人はいたのだ。 その声をちゃんと聞いてくれるお偉方がいなかった。 お偉方が、正確には戦争を続けたい何者かが(もしくは「雰囲気」が)海上輸送を軽視していたばかりに、傷口は広がったのだ。 海上輸送、そしてその海上輸送の前線基地だった宇品港に特化した一冊であり、軽視されがちの輸送に注目しているだけでも価値ある一冊。 読めて本当によかった。 驚いたのは、原爆が落とされた後の災害復旧の手際のよさ。 その手際のよさは、関東大震災での経験を活かしたからだという話。 関東大震災と太平洋戦争がそこまで離れていなかったことに、関東大震災の復旧に関わった軍人さんが、原爆からの復旧に大いに貢献していたという事実に驚かされた。 歴史は繋がっているのだ。 あと帯にあった「なぜヒロシマに原爆が投下されなくてはならなかったか」この一冊を読み終えたあとに出てくるその答えの無情さにも驚いた。 気になる方は是非最後まで読んで、その衝撃を受け止めて欲しいと思う。 まさかの、答えだったので。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「ヒロシマ」という文字から原爆についての本と思い購入したが,いい意味で裏切られた。帝国の対外戦争を支えた船舶司令部の誕生から,敗戦による終焉までが記録されている。前線の戦闘部隊より軽くみられる中,戦術,戦略を支えるために奮闘する司令官。ガダルカナル以降,前線で悲惨な死を遂げる船員たち。冷徹な筆致から彼らの姿が生々しく浮かび上がる。絶望的状況の中で真摯に使命を全うした現場に対し,理念なき上層部の滑稽とも思える振る舞いには怒りを覚える。あの戦争の姿を理解する書物として必須の一冊である。
Posted by
これまで読んだノンフィクションの中でも最も心動かされた書の一つ。 陸軍の兵站が民間輸送船により成り立っていたことを初めて知る。日本のロジスティクスの貧弱さは、戦争の行方にとって致命症となった。今も、日本の経済や国民生活は船舶輸送に支えられているが、そこへの意識は低いと言わざるを得...
これまで読んだノンフィクションの中でも最も心動かされた書の一つ。 陸軍の兵站が民間輸送船により成り立っていたことを初めて知る。日本のロジスティクスの貧弱さは、戦争の行方にとって致命症となった。今も、日本の経済や国民生活は船舶輸送に支えられているが、そこへの意識は低いと言わざるを得ない。この現実への警鐘でもあると感じた。とにかく、傑作である。
Posted by