商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 名古屋大学出版会 |
| 発売年月日 | 2024/06/25 |
| JAN | 9784815811587 |
- 書籍
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日本統治下の台湾
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日本統治下の台湾
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序章:日本と台湾の関係、植民地支配、歴史認識 本書は、1895年から1945年までの日本統治時代の台湾に焦点を当て、経済史の視点から開発、植民地主義、そして台湾人の主体性を分析します。日本における台湾認識の現状、歴史認識問題、そして本書が依拠する「収奪論」と「近代化論」という二つ...
序章:日本と台湾の関係、植民地支配、歴史認識 本書は、1895年から1945年までの日本統治時代の台湾に焦点を当て、経済史の視点から開発、植民地主義、そして台湾人の主体性を分析します。日本における台湾認識の現状、歴史認識問題、そして本書が依拠する「収奪論」と「近代化論」という二つの対立する見解について概説します。著者は、「植民地性」を軽視する近代化論を批判的に捉え、多角的な視点から日本統治時代の台湾史を描き出すことを目指します。 第II部:対日開発の時代(1895年〜1910年代前半) 台湾割譲から本格的な統治開始までの過程を扱い、台湾統治の方法として「特別統治主義」が採用されたこと、内地が抱える経済問題を解消するための「対日開発」が進められたことを解説します。統治制度、インフラ整備、糖業育成、専売事業、鉄道事業といった官業を通じて、台湾を日本の食料・工業原料供給地、南進基地へと再編する目標が示され、財政独立が達成されました。 第III部:総合開発の時代(1910年代後半〜1930年代前半) 「内地延長主義」が導入され、日本・台湾間の制度同一化が目指される中、「対日開発」の成功と課題を踏まえ、「総合開発」が進められました。砂糖偏重、内地偏重といった課題を是正するため、農工併進、内外併進、官民協働といった政策が実行され、農業の多角化、米の生産拡大(蓬莱米、嘉南大圳)、そして南進基地化と合わせた工業化が推進されました。 第IV部:軍事開発の時代(1930年代後半〜1945年) 満洲事変以降の戦争拡大の中、台湾では皇民化政策が行われました。日本の経済の軍事化に対応するため、「軍事開発」が進められ、南進工業化や戦略物資の開発が推進されました。 終章:開発の評価、植民地性、台湾人の主体性 日本統治時代の開発は、総督府の積極的な姿勢により進められましたが、その動機は帝国内における台湾の価値アピールにありました。開発目標は常に日本の経済問題の解消に主眼が置かれ、台湾人の政治的・経済的地位向上は二次的に考慮されました。内地と台湾の間には「植民地性」が見られ、台湾には農業中心の開発が求められました。 経済成長の評価と限界、帝国外地域との関係 日本統治時代の高度な農業部門は戦後の台湾経済成長を下支えしましたが、本格的な経済成長は戦後の国際経済の中で実現したものであり、日本統治時代の役割は限定的でした。開発の担い手は内地資本だけでなく台湾人も重要であり、彼らは主体的に経済環境の変化に対応しました。台湾経済は内地関係だけで完結しておらず、帝国外地域との関係も重要でした。 本書の視点と今後の研究への期待 著者は、当時の台湾人の視点に立って歴史を評価することを読者に促し、台湾の経済成長における「日本」を相対化することで、歴史認識に関する新たな視点を提供しようとしています。本書は、植民地経済を評価する際に、利益配分の不平等性、被治者の主体性、帝国外地域との関係性などを考慮することの重要性を指摘し、今後の研究への発展を期待して締めくくられています。
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