商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2024/04/12 |
JAN | 9784480439499 |
- 書籍
- 文庫
ザ・ロード
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ザ・ロード
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商品レビュー
3.7
3件のお客様レビュー
冒険と旅とワクワクするようなエピソードが満載かと思いましたが、ホーボーの生活のリアルなレポートみたいな感じでした。
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・ジャック・ロンドン「ザ・ロード アメリカ放浪記」(ちくま文庫)を読んだ。私はジャック・ロンドンを「野性の呼び声」と「白い牙」 でしか知らない。日本で有名な作品である。動物文学作家だと思つてゐた。しかしさうではないらしい。海外文学に対する無知である。作家といふもの、そんな単純なも...
・ジャック・ロンドン「ザ・ロード アメリカ放浪記」(ちくま文庫)を読んだ。私はジャック・ロンドンを「野性の呼び声」と「白い牙」 でしか知らない。日本で有名な作品である。動物文学作家だと思つてゐた。しかしさうではないらしい。海外文学に対する無知である。作家といふもの、そんな単純なものではない。 ジャック・ロンドンは40年の生涯の「20年間に53冊の著書と200以上の短編小説を発表した。」(Wiki)さうである。結構な量である。この「ザ・ロード」もその1つ、かなり読まれたらしい。「ホーボーとしての経験が書かれたこの本は、その冒険物語があまりに魅力にあふれていたので、当時、彼の真似をしてホーボーになろうと家出する少年達が増えた。」(川本三郎「訳者解説」269頁)さうである。当然、ホーボーのことは書いてくれるなともゐはれた(同前)といふ。このホーボー、「決して社会的落伍者ではない。むしろ中世の吟遊詩人たちのような自由な放浪者という面が強い。」(266頁)とか、「移動性を重んじるアメリカ社会から生まれたひとつの文化英雄である。 決して社会から見捨てられた哀れな浮浪者ではない。」(267頁)と訳者は書いてゐる。「たとえ貧しくとも、社旗的束縛から解放されて自由気ままに生きることが出来るアメリ カン・ヒーローである。あの山高帽にだぶだぶスボンというチャップリンの放浪者のイメー ジが云々」(同前)とくると、 チャップリンもまたそんなヒー ローの1人であつたらしいと気づく。ホーボーはそれほど魅力的な存在であり、ロンドンはそれを更に魅力的に描いたのであつた。 ・どれほど魅力的か、これは目次を見ればよく分かる。本書は全9章、「貨車のすきまに」「食卓の幸運」「鞭打ちの光景」「刑務所の生活」「作業所の囚人達」「最高の放浪者」「ロードキッドの社会学」「二千人の放浪者の行進」「デカの追跡」からなる。これからすると本当に「文化英雄」とか「ア メリカン・ヒーロー」とか言へるのかと思つてしまふ。「最高」や「社会学」「行進」を読んでも、他は当然として、魅力的ではあつても、私にはそこに英雄やヒーローがゐるとは思へない。Wikiには、「アメリ カで19世紀の終わりから20 世紀初頭の世界的な不景気の時代、働きながら方々を渡り歩い た渡り鳥労働者のこと。ホームレスのサブカルチャーの一員。 」(「ホーボー」の項)とあるが、ホーボーは基本的に、訳者の言の如く、「社旗的束縛から解放されて自由気ままに生きる」者達であつたらしい。アメリカでは「旅すること、移動することは生活の一部になっている。」(266頁)のだが、 「一カ所に定住することを大事にする農耕民族の日本人」(同前)にはそれは理解し難いのかもしれない。それでも、現在の人間は、ホーボー生活は実に大 変ではないかと思ふ。最後に「写真資料」(279頁〜)がある。いかにスピードが遅いとはいへ、貨車の下にもぐつた り、屋根の上を歩いたり、連結器上に登るなどといふのは危険である。私からすれば、命の危険を顧みずにするだけの価値があつたかどうか、甚だ疑問である。肉体的な危機以外にも危険は多い。「デカの追跡」には警官に浮浪者として追ひまくられるホーボーが描かれてゐる。自由気ままに生きる代償なのであらう。定住民に放浪者は目障りである。定住民たる私はそんな代償を払つてまでする生き方ではないと思ふ。ただ、それをかうも魅力的に描いた作者の筆の 冴えは見事である。ヒーローかどうかはともかく、束縛の多い人間からすれば、そんな生活も良いと思はせる魅力があつた。 本書は一時期の米国の若者風俗素描であつた。
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ジャック・ロンドンはつくづく読みやすい文章を書くなあと感心する。小説もバツグンに面白いけど、自伝エッセイも最高にワクワクした! 若さとエネルギーがはち切れんばかりの自信に満ち溢れた筆者の言葉にどんどん惹き込まれる。わくわくする。自信満々でも全然鼻につかないのは、真っ直ぐな言葉だか...
ジャック・ロンドンはつくづく読みやすい文章を書くなあと感心する。小説もバツグンに面白いけど、自伝エッセイも最高にワクワクした! 若さとエネルギーがはち切れんばかりの自信に満ち溢れた筆者の言葉にどんどん惹き込まれる。わくわくする。自信満々でも全然鼻につかないのは、真っ直ぐな言葉だからか。嘘つきだし犯罪者だし、意地悪だし、道徳的に誉められない部分もあるんだけど、それもひっくるめて、めちゃくちゃ魅力的な人だったのだろう。悪いところにも衒いがないのだ。それゆえにどうしても惹かれてしまう。 本人も大嘘つきだと称するくらいだから、この本のどこまでが本当の話かは分からない。でもそんなことはどうでもいい。嘘八百で人を魅了させることのできる想像力と頭の回転の速さがこの作家が名作家たる所以なのだろう。この人にならもっと騙されていたいとすら思ってしまう。
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