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狼の義 新 犬養木堂伝 角川ソフィア文庫
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狼の義 新 犬養木堂伝 角川ソフィア文庫

林新(著者), 堀川惠子(著者)

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狼の義 新 犬養木堂伝 角川ソフィア文庫

1,760

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 KADOKAWA
発売年月日 2024/01/23
JAN 9784044007652

狼の義 新 犬養木堂伝

¥1,760

商品レビュー

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2025/07/16

「狼の義 新犬養木堂伝」林新/堀川惠子 犬養毅とその側近であった古島一雄、この二人の物語を読み終え、深い感慨に耽っている。今の程度の低すぎる候補者やすでに議員になっている人に是非読んでもらいたい本である。私欲を排し、国家の行末を真剣に考え、命を削る覚悟で政界を生きた犬養毅。壮絶...

「狼の義 新犬養木堂伝」林新/堀川惠子 犬養毅とその側近であった古島一雄、この二人の物語を読み終え、深い感慨に耽っている。今の程度の低すぎる候補者やすでに議員になっている人に是非読んでもらいたい本である。私欲を排し、国家の行末を真剣に考え、命を削る覚悟で政界を生きた犬養毅。壮絶な一生に学ぶべきものがあると思う。 ・犬養毅が心から尊敬したのは福沢諭吉だけだった。 ・犬養毅はいつも貧乏だった。年がら年中高利貸しに追いかけられていたが、それでも支援を求めてくる人には気前よくなんでも与えていた。 ・犬養毅は護憲派の政党をひとつにまとめ、全員が胸に白バラをさして議会に入場して、藩閥政治の桂園時代を終わらせた。 ・犬養毅は亡命者をよく匿って面倒をみていた。武器が欲しいと言われれば、調達もした。その長たるのが孫文だ。中国はその恩を忘れず、彼が亡くなった時は国賓としてその葬儀に招かれた。霊廟に入れたのは蒋介石とイタリア公使と犬養だけだった。 ・犬養毅は明治憲法下で立憲政治の実現そして政党政治の確立を目指し、普通選挙の実現をおこなった。 ・犬養毅は普通選挙が実現した時に引退を宣言したが、地元岡山の支援者たちが納得せず、支援者たちが勝手に立候補の手続きをとり当選してしまった。 ・犬養毅は軍部に抵抗、反対した。満州はとるなと言った。なので、満州事件解決のために策を練り上げ、ある人物を蒋介石に送ったが、軍部にみつかってしまい頓挫した。 ・犬養毅は軍部に抵抗したために、海軍若手将校たちに公邸で射殺される。将校たちが乗り込んできた時も泰然としていた。「話せばわかる」とはその時の言葉でたった一言ではない。「まあ、待て。君らはなぜ、このようなことをする。まず理由を聞いた上で、撃たなくてはならないことがあるならば、その時に撃たれようじゃないか」「総理は張作霖から賄賂を……」「ああ、そのことか。それならば話せば分かる。撃つのはいつでも撃てる。あちらへ行って話そうじゃないか。(応接間へ)(煙草をとりだしながら)君らもどうだ。おい、靴ぐらい脱いだらどうじゃ」「何か言い残すことがあれば早く言え。問答いらぬ、撃て」 と、かなりの至近距離から撃たれてしまう。しかし即死ではなく17時半頃に撃たれてから23時25分に息を引き取った。最期の言葉は「テル、もう帰ろうや」。テルとはお手伝いさんの名前で帰る場所は長野県富士見にある別荘。 ・犬養毅が亡くなった後は政党内閣は息の根を止められてしまい、軍人が君臨する「挙国一致内閣」といった恐怖政治が始まる。 ・古島一雄いわく、「金の問題を起こす政治家は、着服した金で自分の手下をこしらえようというんだ。そうなると、政党というものは『政党』ではなく『徒党』になっちまう。闘争本位で利権ばかり漁っていると、政党自ら傷ついて信用を失う。そこを慎むのが政党の党首の仕事だよ」 犬養毅のファンになってしまった。もっと彼のことを知りたいと思う。この本を書かれたのは、林新さんだが半分ほど執筆された時に亡くなってしまい、妻の堀川惠子さんが、その意思を継いで完成させたとあとがきに書かれていた。

Posted by ブクログ

2025/04/17

書評:命を懸けて、言葉を信じ抜いた人間の肖像 ――『狼の義 新 犬養木堂伝』(角川ソフィア文庫) 「話せばわかる」——その言葉の裏には、犬養毅という一人の政治家が、言論による政治、政党による民主主義を誰よりも強く望んでいた事実がある。本書『狼の義』は、五・一五事件で暗殺された総...

書評:命を懸けて、言葉を信じ抜いた人間の肖像 ――『狼の義 新 犬養木堂伝』(角川ソフィア文庫) 「話せばわかる」——その言葉の裏には、犬養毅という一人の政治家が、言論による政治、政党による民主主義を誰よりも強く望んでいた事実がある。本書『狼の義』は、五・一五事件で暗殺された総理大臣の伝記という枠を超え、「国家とは何か」「人は何のために生きるのか」を静かに、そして力強く問いかける。 犬養毅は、藩閥による専制の時代にあって、国家と政府を明確に区別し、政府が国家に反すると判断すれば倒閣も辞さない。その一貫した信念は、時に政局において不可解にも映るが、彼の中では明確な論理が通っていた。国家の未来のためには、現政権とて容赦しないという、「筋」を通す覚悟である。 彼の言葉は印象的だ。「悟りとは、平気で死ぬことではなく、平気で生きることだ」「覚悟は人を寡黙にする」――この静かな言葉の数々は、自己を律し、己の役割を果たし切るという厳しさに満ちている。命を懸けてまで守ろうとしたのは、言論の自由と、民衆の力への信頼だった。 民衆の力を「恐ろしい」とも「頼もしい」とも語りながら、彼は普通選挙こそ国家の成熟には不可欠と考えた。「民衆を直に政治に参加させ、結果に責任を持たせる」ことが、本当の国家運営であると。これは、民主主義に対する深い信頼と同時に、危うさへの冷静な理解でもあった。 総理官邸で凶弾に倒れてなお、犬養の背に逃げた傷はない。軍人さえ奪えなかったもの——それは、自分の時間とやり方を誰にも譲らず、生をやり切る気高さだった。その姿に、著者は西郷隆盛の死と重ね合わせ、政治家としての「生き様」の問いを立てる。 本書はまた、犬養と盟友・古島一雄との関係を通して、「本当の保守とは何か」「真のリベラルとは何か」を問い直す旅でもある。派閥や人気取りに流されないその姿勢は、混迷を極める現代政治においても、光を放つ。 「蓋棺事定」——人の真価は死してなお問われる。だとすれば、犬養毅という人間の評価は、時代を超えてなお、今の私たちに何かを響かせるはずだ。叩けば響く、釣り鐘のような政治家。その重みある響きを、私たちはどう受け止めるのか。本書はその問いを、私たちに静かに投げかけている。

Posted by ブクログ

2024/07/03

犬養毅については、今までに掘り下げたことがなかったが、読み終えて、幕末や戦国と同じくらい激動の時代を生きた人だと感じさせられる。暗く悲しい時代だけれども、知るべきことであるし、大河ドラマで取り上げてほしいと思うくらいだった。

Posted by ブクログ