商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社インターナショナル/集英社 |
発売年月日 | 2023/11/24 |
JAN | 9784797674385 |
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商品レビュー
4.2
58件のお客様レビュー
佐々さんのノンフィクションが好きなので、通読。 前半とか、禅の話はかなりのめり込んで読んだ。ノンフィクション作家としての苦しさ、メンタルを削る感じが伝わってくる。それでも、知りたくて仕方ない、そんな気持ちだったんじゃないか。 もしかするとそのストレスで、寿命を縮められたかもしれな...
佐々さんのノンフィクションが好きなので、通読。 前半とか、禅の話はかなりのめり込んで読んだ。ノンフィクション作家としての苦しさ、メンタルを削る感じが伝わってくる。それでも、知りたくて仕方ない、そんな気持ちだったんじゃないか。 もしかするとそのストレスで、寿命を縮められたかもしれないが、ご本人が書かれている「命は長いから価値がある、というわけではない」というところには、佐々さんだからこその実感と重みが伝わってくる。 欲を言えば、佐々さんの本をもっと読みたかった。
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追悼を捧げます。 本人を初めて知った上に、「エンゼル・フライト」も見ていません。 でも心の叫びを読み易い、短いセンテンス、章の区切りで表すことに拠ってか、内容的に血反吐を吐くような想いのモノでもスゥ~っと心に染みました。 読んで泣く、涙が止まらないというレベルの内容ではないと心...
追悼を捧げます。 本人を初めて知った上に、「エンゼル・フライト」も見ていません。 でも心の叫びを読み易い、短いセンテンス、章の区切りで表すことに拠ってか、内容的に血反吐を吐くような想いのモノでもスゥ~っと心に染みました。 読んで泣く、涙が止まらないというレベルの内容ではないと心から思います。 私より一回りも若く、したいことが山積み、毎日を【楽しい】と思えるような人間が召されたことは、心よりの敬意をもって頭を下げるばかりです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
気になるところに付箋を貼りつつ読んでいたら付箋だらけになってしまった。 佐々さんの文章がとても染みる。以前読んだ「エンジェルフライト」や「紙つなげ!〜」がとても良かったので本作も早く手に取りたかったけれど出会えたのは亡くなられてからになってしまった。 病を得て余命が僅かであることを知ってから綴られた文とその以前からの文との陰影を感じながら読み進めた。 最初の章のエッセイはまだ余命を知る前に書かれたものなのかなと思った。 でも状況や物事の捉え方がやはり深くてとても命を意識した表現に自然となっていると思った。 p58「弔いの効用」の中の枕経のシーンで、とても悲しい場面なのにどうしてもおかしい状況が出てきてしまい堪えきれずにみんなで大爆笑してしまう場面が出てきた。そこで佐々さんは人は「どんなに大切な人を失っても一緒に死んだりはしないように作られている」大発見について書いている。 自分にも似たような経験がある。どんなに悲しくても辛くても人は笑うことができるという発見は、確実に生きる力になると私も知っている。 当たり前のようなことだけれどとても大切なことだと思うしこれを知っていると知らないでは悲しみや困難の乗り越え方が変わるだろうと思う。 他のどの章も胸が痛くなりながら読んだ。p84「ひろちゃん」は、精神科に入院している母のことを友人に話して傷つけられて以来、自分の友達たちには二度と母のことは話さないと決めた事を思い出した。 第2章からのルポ「ダブルリミテッド」にも考えさせられた。書かれた日にちを見ると10年以上前の話だけれども、今のほうがむしろ事態としてはより深刻になっているのではないかと思う。 日本語と他言語が母語であるのにどちらも話せない状況を「ダブルリミテッド」と呼ぶということを初めて知ったけれど、その状況にいる子どもは郊外に住んでいる自分も今やよく目にする。 特別支援などを受けて対応しているところもあるが学校現場は多忙すぎて手が回らず実質放置されてる子供もいるように感じることもある。教師をしている友人はそのことに一層の危機感を持っていて、早急に対応しないと今もどんどん外国人が生活の場へ入ってきているのでこのままそういう人がさらに増えていくと日本の社会が回らなくなっていくだろうと言っている。 佐々さんが10年も前に言っていたことが今現在良くなるどころかもっと深刻になっていることに憂う。 その後からの章では宗教や死生観に絡む話が続く。火葬場の灰の上に寝るシーンは、佐々さんが死に呼ばれている感じがしてきて怖くなった。読み進めると何だか呼ばれすぎていると感じる箇所が他にもあってざわざわした。その後の作品を手掛けてきたきっかけがこういう体験の数々だったのかなとも思うけれど、形にするまでは本当に心がしんどいことだったろうと想像される。 p245「人は死を目の前にするとスピリチュアルにならざるを得ない」確かに。 先日読んだ「人は死なない」もそれと同じことだろうと思った。何かを信じる信じないは別として、命のことを考えたら宗教的にものに惹かれてしまうのは性や本能のようなものなのかなと思う。 あとがきがまた染みた。2023年現在記となっているが、悪性脳腫瘍の一つグリオーマは10万人に1人の発病率で平均余命は14カ月だという。自分の親は14年前に同じ病で亡くなったがその頃とほぼ発病率も平均余命も変わってないことにショックを受ける。 佐々さんは覚悟している。あとがきから感じられる。でももっと書きたかったし生きたかったろう。自分ももっと佐々さんの書く本が読みたかった。 良い本だと思うにつけ残念だと思う気持ちが増してしまう。切ない。 読後本の装丁の空の写真がまた染みた。
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