夜明けを待つ の商品レビュー
佐々さんのノンフィクションが好きなので、通読。 前半とか、禅の話はかなりのめり込んで読んだ。ノンフィクション作家としての苦しさ、メンタルを削る感じが伝わってくる。それでも、知りたくて仕方ない、そんな気持ちだったんじゃないか。 もしかするとそのストレスで、寿命を縮められたかもしれな...
佐々さんのノンフィクションが好きなので、通読。 前半とか、禅の話はかなりのめり込んで読んだ。ノンフィクション作家としての苦しさ、メンタルを削る感じが伝わってくる。それでも、知りたくて仕方ない、そんな気持ちだったんじゃないか。 もしかするとそのストレスで、寿命を縮められたかもしれないが、ご本人が書かれている「命は長いから価値がある、というわけではない」というところには、佐々さんだからこその実感と重みが伝わってくる。 欲を言えば、佐々さんの本をもっと読みたかった。
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追悼を捧げます。 本人を初めて知った上に、「エンゼル・フライト」も見ていません。 でも心の叫びを読み易い、短いセンテンス、章の区切りで表すことに拠ってか、内容的に血反吐を吐くような想いのモノでもスゥ~っと心に染みました。 読んで泣く、涙が止まらないというレベルの内容ではないと心...
追悼を捧げます。 本人を初めて知った上に、「エンゼル・フライト」も見ていません。 でも心の叫びを読み易い、短いセンテンス、章の区切りで表すことに拠ってか、内容的に血反吐を吐くような想いのモノでもスゥ~っと心に染みました。 読んで泣く、涙が止まらないというレベルの内容ではないと心から思います。 私より一回りも若く、したいことが山積み、毎日を【楽しい】と思えるような人間が召されたことは、心よりの敬意をもって頭を下げるばかりです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
気になるところに付箋を貼りつつ読んでいたら付箋だらけになってしまった。 佐々さんの文章がとても染みる。以前読んだ「エンジェルフライト」や「紙つなげ!〜」がとても良かったので本作も早く手に取りたかったけれど出会えたのは亡くなられてからになってしまった。 病を得て余命が僅かであることを知ってから綴られた文とその以前からの文との陰影を感じながら読み進めた。 最初の章のエッセイはまだ余命を知る前に書かれたものなのかなと思った。 でも状況や物事の捉え方がやはり深くてとても命を意識した表現に自然となっていると思った。 p58「弔いの効用」の中の枕経のシーンで、とても悲しい場面なのにどうしてもおかしい状況が出てきてしまい堪えきれずにみんなで大爆笑してしまう場面が出てきた。そこで佐々さんは人は「どんなに大切な人を失っても一緒に死んだりはしないように作られている」大発見について書いている。 自分にも似たような経験がある。どんなに悲しくても辛くても人は笑うことができるという発見は、確実に生きる力になると私も知っている。 当たり前のようなことだけれどとても大切なことだと思うしこれを知っていると知らないでは悲しみや困難の乗り越え方が変わるだろうと思う。 他のどの章も胸が痛くなりながら読んだ。p84「ひろちゃん」は、精神科に入院している母のことを友人に話して傷つけられて以来、自分の友達たちには二度と母のことは話さないと決めた事を思い出した。 第2章からのルポ「ダブルリミテッド」にも考えさせられた。書かれた日にちを見ると10年以上前の話だけれども、今のほうがむしろ事態としてはより深刻になっているのではないかと思う。 日本語と他言語が母語であるのにどちらも話せない状況を「ダブルリミテッド」と呼ぶということを初めて知ったけれど、その状況にいる子どもは郊外に住んでいる自分も今やよく目にする。 特別支援などを受けて対応しているところもあるが学校現場は多忙すぎて手が回らず実質放置されてる子供もいるように感じることもある。教師をしている友人はそのことに一層の危機感を持っていて、早急に対応しないと今もどんどん外国人が生活の場へ入ってきているのでこのままそういう人がさらに増えていくと日本の社会が回らなくなっていくだろうと言っている。 佐々さんが10年も前に言っていたことが今現在良くなるどころかもっと深刻になっていることに憂う。 その後からの章では宗教や死生観に絡む話が続く。火葬場の灰の上に寝るシーンは、佐々さんが死に呼ばれている感じがしてきて怖くなった。読み進めると何だか呼ばれすぎていると感じる箇所が他にもあってざわざわした。その後の作品を手掛けてきたきっかけがこういう体験の数々だったのかなとも思うけれど、形にするまでは本当に心がしんどいことだったろうと想像される。 p245「人は死を目の前にするとスピリチュアルにならざるを得ない」確かに。 先日読んだ「人は死なない」もそれと同じことだろうと思った。何かを信じる信じないは別として、命のことを考えたら宗教的にものに惹かれてしまうのは性や本能のようなものなのかなと思う。 あとがきがまた染みた。2023年現在記となっているが、悪性脳腫瘍の一つグリオーマは10万人に1人の発病率で平均余命は14カ月だという。自分の親は14年前に同じ病で亡くなったがその頃とほぼ発病率も平均余命も変わってないことにショックを受ける。 佐々さんは覚悟している。あとがきから感じられる。でももっと書きたかったし生きたかったろう。自分ももっと佐々さんの書く本が読みたかった。 良い本だと思うにつけ残念だと思う気持ちが増してしまう。切ない。 読後本の装丁の空の写真がまた染みた。
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エッセイ作品集 「紙つなげ」の文章が好きで知ったライターさん 同世代なのに脳腫瘍で亡くなるなんて
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第2章ルポタージュの日本語学校が考えさせられた。 技能実習生、看護、介護、海外からきた労働者の子供の日本語学校。日本語だけでなく母国語さえも使えなくなる現状に驚く。 「会えない旅」は会えない故に父親の心境が、彼のそれまでの苦悩と共に伝わってきた。
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エッセイに共感し、ルポルタージュでは佐々さんの取材姿勢や物事の受け取り方に感じ入りながら読み進めた最後に、ご自身の脳腫瘍のくだり。しかも余命数ヶ月という。 「誰もがいずれは通る道」「その瞬間を生き、輝き、全力で楽しむ」そして、「ああ、楽しかった」と言って別れる。 目の前に死が迫...
エッセイに共感し、ルポルタージュでは佐々さんの取材姿勢や物事の受け取り方に感じ入りながら読み進めた最後に、ご自身の脳腫瘍のくだり。しかも余命数ヶ月という。 「誰もがいずれは通る道」「その瞬間を生き、輝き、全力で楽しむ」そして、「ああ、楽しかった」と言って別れる。 目の前に死が迫っているその瞬間にこれを言える佐々さんの、「強さ」という言葉だけでは言い表せない、人としての深さを感じた。 知らずに読み始め、慌てて調べたら、1ヶ月前の9月1日に亡くなっていた。この日は自分の誕生日。年齢もさほど変わらない。大病から命拾いした身としては、自分が今生きている事実を重く受け止めずにはおられない。他の作品も読んでみたい。
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追悼読書 エッセイ エッセイは難しいと思う。そもそも好きな著者エッセイしか読まないし、その中でも、好きな著者の書いたものとしてもエッセイは好き、嫌い、良し悪しあると感じる。 この本を書いていた時に、こんな苦労があったり、プライベートではこんな事があったのだなあと言うことを感じ...
追悼読書 エッセイ エッセイは難しいと思う。そもそも好きな著者エッセイしか読まないし、その中でも、好きな著者の書いたものとしてもエッセイは好き、嫌い、良し悪しあると感じる。 この本を書いていた時に、こんな苦労があったり、プライベートではこんな事があったのだなあと言うことを感じるには良い。
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エッセイを一つ、ルポルタージュを一つ読むたびに 「佐々さんはもういないんだな」と想いがこみ上げてきた。 途中、闘病中の番組をYouTubeで観たりもして、どんな気持ちで執筆されていたんだろう…と。 たくさんの「死」と向き合ってきた方だけど、ご自分のとなると一筋縄ではいかなかっただ...
エッセイを一つ、ルポルタージュを一つ読むたびに 「佐々さんはもういないんだな」と想いがこみ上げてきた。 途中、闘病中の番組をYouTubeで観たりもして、どんな気持ちで執筆されていたんだろう…と。 たくさんの「死」と向き合ってきた方だけど、ご自分のとなると一筋縄ではいかなかっただろうと思う。 過去のもの〜最近のものまで書かれた年代はバラバラだけど、どれも大切に読ませてもらった。 特にあとがきの言葉は、すっと心の奥まで入ってきた。 今、この瞬間を「あー楽しかった!」と言えるように。限りある幸せを存分に味わえるように。 メッセージ、しっかり受け取りました。
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ダブルリミテッドの話は、西川美和「スクリーンが待っている」でも同じような話が出てきたのでとても興味深かった。 本当に使える生きた日本語は「どけ」とか「やめろ」とか、命令形であってですます調の丁寧な日本語ではない。 「会えない旅」がとても印象に残った。アポも取らず、会えるともわから...
ダブルリミテッドの話は、西川美和「スクリーンが待っている」でも同じような話が出てきたのでとても興味深かった。 本当に使える生きた日本語は「どけ」とか「やめろ」とか、命令形であってですます調の丁寧な日本語ではない。 「会えない旅」がとても印象に残った。アポも取らず、会えるともわからないけど会いに来る。こういう行動力があって、多くのノンフィクション作品を生み出したんだろうなとうかがえるエピソードだった。 ご冥福をお祈りします。
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「エンジェルフライト」のドラマを観てとても面白かったので、原作を読もうと思い手に取ってすぐ、佐々さんの訃報が。 調べたら、最新刊のこの本の「あとがき」にご自身の病のことも触れられているとわかったので、さっそく図書館から借り出して読みました。 いくつかのエッセイやルポルタージュ...
「エンジェルフライト」のドラマを観てとても面白かったので、原作を読もうと思い手に取ってすぐ、佐々さんの訃報が。 調べたら、最新刊のこの本の「あとがき」にご自身の病のことも触れられているとわかったので、さっそく図書館から借り出して読みました。 いくつかのエッセイやルポルタージュの中には、なにやら暗示的な事柄も書かれていました。 一日一日を大切に生きなければなりませんね。
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