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山県有朋 明治国家と権力 中公新書2777
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山県有朋 明治国家と権力 中公新書2777

小林道彦(著者)

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山県有朋 明治国家と権力 中公新書2777

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2023/11/20
JAN 9784121027771

山県有朋

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商品レビュー

4.8

5件のお客様レビュー

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2024/10/11

小林道彦「山県有朋 明治国家と権力」中公新書 山県有朋という矛盾に満ちた政治家の評伝。軍人政治家として徴兵制などに尽力したが、地方自治などの設計にも関与し、内務官僚と縁が深まった。帝国大学を卒業して官僚として奉職した人達が政党政治家の猟官・政治任用を嫌って山県に頼るようになった...

小林道彦「山県有朋 明治国家と権力」中公新書 山県有朋という矛盾に満ちた政治家の評伝。軍人政治家として徴兵制などに尽力したが、地方自治などの設計にも関与し、内務官僚と縁が深まった。帝国大学を卒業して官僚として奉職した人達が政党政治家の猟官・政治任用を嫌って山県に頼るようになったというのは人間心理として理解できる。彼は日清戦争では自ら出征、日露戦争では元老として振る舞う。ただし日露戦後は子飼いのはずの児玉源太郎や桂太郎らが山県の棚上げに走るなど権力基盤は空洞化していた。大正時代に入ると国際情勢の現実と彼の認識の齟齬は隠せなくなってきた。最終的に、裕仁親王、後の昭和天皇の婚姻への干渉で事実上失脚し、まもなく死亡する。桂との不仲、原敬への親近感などは意外でもある。本書では伊藤博文も好意的に描かれている。山県の評伝として著名な岡義武さんの著書とも読み比べたい。

Posted by ブクログ

2024/09/18

山県有朋 明治国家と権力 著:小林道彦 中公新書 2777 おもしろかった、明治期の日本は、今日のような米国の核の傘に守ってもらっているような日本ではない まさに、明治維新によって、独立したばかりの小国である日本は、ロシアという超大国の脅威にさらされていた。 明治という時代は...

山県有朋 明治国家と権力 著:小林道彦 中公新書 2777 おもしろかった、明治期の日本は、今日のような米国の核の傘に守ってもらっているような日本ではない まさに、明治維新によって、独立したばかりの小国である日本は、ロシアという超大国の脅威にさらされていた。 明治という時代は、仮想敵国であるロシアからの防衛戦争を行うための時代であった。 それを可能としたのは、明治天皇のカリスマ性、伊藤博文の内政的手腕、そして、山県有朋の陸軍創設とその拡張性であった 山県有朋の構想した防衛計画とは、主権線という日本領内のラインとともに、利益線という日本国土を防衛するためのバッファとして設けられるラインを設定している二重防衛計画である 今日、中国も、第1列島線、第2列島線といい、ロシア(ソ連)も本国と東側諸国をまきこんだ、旧ワルシャワ条約機構がそれにあたる 日本の利益線とは、まさに満州であり、朝鮮であり、台湾であり、そして、中国の東岸諸地域を設定していた これらの地域を押さえることにより、ロシアの南下を阻止できるとともに、日本本土を列強から直接攻撃させないことである 天皇の軍隊とは、天皇の私兵と言う意味ではなく、各藩兵をあつめた連合軍ではなく、日本国軍と言う意味である 廃藩置県 日本を中央集権的国家として欧米列国に対抗できるための措置 徴兵制 西南戦争などで反乱軍に負け続けていた、弱兵である政府軍を増強し一本化するための施策 教育改革 徴兵した兵が文字を読めないと戦争ができないので兵に最低の教育を行う 地租改定 ロシアの軍備に対抗するための財源の確保 参謀本部 陸海軍を機動的に運用するための心臓部、頭脳、天皇と直結していて帝国議会の決議を必要としない 軍人勅諭 軍の意識改革 地方分権 過度の中央集中の分散化、憲法下の基本的枠組みの構築 教育勅語 天皇を中心に据えた、国民道徳の制定 日清戦争 ロシア南下による朝鮮への影響力の増大に対する対抗 三国干渉で朝鮮から遠ざかる、台湾を領有 元老 明治天皇が指名した最高政治顧問、明治憲法下で不足している権力の調整弁としての政治制度 日英同盟 対ロシアの政治的な取り決め、対露抑制 日露戦争 ウラジオストック―旅順の海上交通路の切断、ロシアの朝鮮への南下の阻止   明治天皇のことば、「懸崖に臨む」切り立った崖の淵にたって谷底をのぞき込む心境   山県有朋は、負ければ日本には生きてかえれない、その後の政治を伊藤博文に託した(実際参謀本部は国内にあったので、その心意気をいう) 伊藤博文のハルピンでの暗殺、そして、日韓併合 日本は、大陸に権益をもつ帝国であり主権線は、鴨緑江まで延伸していた 辛亥革命、そして、明治帝の崩御、乃木希典の殉死 山県有朋のいう、偉大な時代は、おわった 本紙は明治時代は、明治憲法と言うシステムではなく、明治天皇を中心とした、元老を含めた統治を展開する多分に属人的な統治体制の時代であると締めくくっている 目次 はじめに 第1章 政治的自我の形成―長州藩での台頭 第2章 近代的国民軍の建設―一八六八~七八年 第3章 明治国家揺籃の時代―一八七八~八七年 第4章 総理大臣、枢密院議長 第5章 権力の老練な操り師―一八九五~一九〇〇年 第6章 懸崖に臨む―日露戦争 第7章 明治の終焉―一九〇五年~一二年 第8章 世界政策、デモクラシーとの対峙―一九一二~一八年 第9章 君主制の動揺とその死 終章 二一世紀に召喚される山県 あとがき 参考文献 山県有朋 略年譜 ISBN:9784121027771 出版社:中央公論新社 判型:新書 ページ数:320ページ 定価:960円(本体) 2023年11月25日発行

Posted by ブクログ

2024/04/29

巻末に付いている山縣有朋の伝記のほぼを読んでいるが、伊藤之雄『山県有朋』(2009年)から山県評がどうも民主派によりすぎになってきている気がする…。昔は元老の中でも最右派、なんなら太平洋戦争の遠因などと言われたものだが。右からは左、左からは右と言われる、という人は意外に多くいるも...

巻末に付いている山縣有朋の伝記のほぼを読んでいるが、伊藤之雄『山県有朋』(2009年)から山県評がどうも民主派によりすぎになってきている気がする…。昔は元老の中でも最右派、なんなら太平洋戦争の遠因などと言われたものだが。右からは左、左からは右と言われる、という人は意外に多くいるものだが、まさか山縣有朋がそういうポジションにおさまる日がこようとは。 新書なのでより深い内容は引用元(『山縣公のおもかげ』からの引用が妙に多い気がするが、この著者は入江貫一という山県の秘書なので、この本からの引用が多くなされるほど山県って実はいい人だよね、と思わされる罠がある…と個人的には思う)の本を読んだ方が良い。最終章に「二十一世紀に召喚される山県」という章があるが、この本の執筆後、元安倍首相の殺害事件があり、菅義偉元首相が弔辞に岡義武『山縣有朋』からの引用を使ったが、まさに山県有朋が忘れられ、封印されていた時代は終わったのだと思う。山縣有朋が「民主的」に思えるならば(もちろん新史料の発見があり研究が進んだこともあるにせよ)我々が右によりすぎているのではないか?との視点を忘れずにいたい。 ところでミネルヴァの人物評伝シリーズから一向に山縣有朋がでない(昔予告を見た気がするのだが)んですけど、何でなんですかね…。

Posted by ブクログ

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